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カテゴリー「本人訴訟」の記事

能ある鷹がやってきて普段は爪を隠して使えるらしいが性能批判は許可制(RTK-GNSSレシーバ導入の件)

当事務所ではたまに、新品の機材を買います。

…新品の価格に直して評価すると中古8新品2、くらいの割合で中古(またはジャンク)が占めている印象。そんな貴重な新品機材がやってきました。表題の件。

今回の記事は当ブログにごく一部いらっしゃる土地家屋調査士さん&林業関係者さん、そうでなければ境界訴訟に関与中のごくごく一部の同業者さんにしか届かない、とは思いますがいいでしょう。要約すると、開豁地なら数センチの誤差で位置が把握できる超高性能GPS機材をウチも買った、という話しです。

導入したのはdroggerのDG-PRO1RWSです。


RTKでメイドインジャパンで国内メーカー製で、安いから(結局ここが重要)。いっそIT導入補助金など使えんのか、と中小企業庁のウェブサイトを見たりもしましたが、安すぎて通常枠A類型にも届きません。あれに引っかかるには30万円ほどおカネを使う必要がありそう。

平成初期の農学部で測量やった人なら誰でも触ったであろうU商会のポケットコンパスよりまだ安い、というのが凄すぎる!と法学部ご出身の同業者さんにはもう絶対理解不能なことで興奮してみたいわけです。

いっそもっとたくさん無駄遣いして、コロナの影響を受けたから新分野に進出すると強弁して事業再構築補助金の対象になることを狙う…という危険なアソビ(最低100万円現金決済で浪費しないと補助対象にならないらしい)を考えたりもします。

昨年はそんな馬鹿げた事業主に関与を誘われたこともありましたが、当然断りましたとも。

そんなわけで携帯電話のキャリア決済と通販アプリを利用し、辛うじて3千円ほどの割引きでやってきた本機。期待に胸躍らせて開封した説明書には不思議なことが書いてあります。

本機を車両に載せる場合にはタテヨコタカサの三軸方向に時計回り反時計回り各2回ずつ回転させて補正せよ、とな。
説明書にはモータースポーツアプリとの連携についてもわざわざ一項目を設けてあります。

そういえば本機をAmazon以外で6万円台で売っていた唯一のお店がYahoo!ショッピングにあったのですが。
そこはバイク用品店、でした。

つまりこいつは超高性能なカーナビ(というより、車両位置記録システム)になるのか…普段の使い道はまぁ、それでいいのか。

もちろんそんな思惑で導入を図るわけではなく、実施がちょっと遅れて来月になるかもしれない福島県での山林調査に投入します。

だって、凄いと思いません?
そのへんの尾根や土場にちょっと木杭打ってやればその位置が世界測地系で把握できるようになるんですよ?誤差数センチ、で。
プロット調査や境界の仮杭位置がトラバース測量などしなくても、ごく普通に確実に記録されるって夢みたいだと思うんです。

僕があの、元首批判が許されない北国から狸穴にきた駐在武官だったら。
これ買えるだけ買って外交行嚢に入れて帰って、先日も渡河作戦に失敗したらしい自動車化狙撃師団の指揮官に分けてやるよウラー、というのも当然冗談ですが、かの国のドローンから日本メーカーのカメラが出てきたのは民生品の軍需転用を考える人がごく普通にいる、ということなんでしょうね。

批判が許されない面は、本機にもあるらしいのです。
説明書には免責事項の下にそんな制限事項の記載があって…これに従う債務を利用者は負っているのでしょうか。ウラー(←偽りの万歳)

Dsc_0361

いい時代になったのかそうでないのかわかりかねる面はあるんですが、d払いを使ってAmazonでお買い物して実質6万3千円ほどでDG-PRO1RWSがとにかくやってきました。精度がここまでいいと、壊れなければ廃業するまで使えてしまいます。

目的は山林調査であり平和利用である、といいながら登山用などのハンディGPSを採用しなかったのは紛争用途=境界関連訴訟などの裁判事務でも使う気満々でいるためです。街区基準点などの公共座標値を持っているところが近くになくても、当事務所の手持ちの機材(距離100m程度の測距が限界のレーザ測量+測角機材)と本機を組み合わせることで都市部でも再現性の高い測量成果を入手できそうな気がしています。復元可能な任意座標、とでもいいましょうか。

余計な心配。
何年後か何ヶ月後かはわかりませんが、この新機材を投入して係争地で測量やって相手方当事者が苦情を申し立てて僕が業界団体の綱紀委員会に呼ばれちゃった場合、リアルタイムキネマティックGNSSとはなんぞや、という話しを調査担当の先生方にせねばならないはずです。

前回は『係争地に近づかなくても測量ってできるのか』と真顔で聞かれてしまい、土地家屋調査士さんの事務所での就労歴があるらしい担当者さんが一人いたので救われた面がありましたが…
いっそ次は、実演でもするか(笑)

低レベルな記念日(実務に使いだす、Python)

昨日、東京から帰ってきました。所定6時間弱かかるバスがあっという間に名古屋に着いたように思えたのは車内で仕事をしていたからです。

ブログへの出現頻度が高すぎる、とは思うのですが録音が膨大にある事案を担当しています。この反訳が膨大な手間を発生させています。
同時にちょっとした新しい経験と、工夫の余地も。今日はそうした話しです。

IT革命というかDX化の失敗というか、そうでなければ現代版ラッダイト運動はこの事案でも堂々発生しました。

膨大な録音をまず自動で反訳するサービス(Notta)にかけるところまではいいのです。
それをお客さまに修正していただきます。

これを受け取って反訳書の書式を整えるのが僕の仕事です。
Nottaの出力結果はテキストで出力され、発言時間と発言内容が自動で記録されます。が。

発言時間→発言者(お客さまにより追加)→発言内容、の順に記録したデータをくれ、とお客さまに申し上げたらそのとおりのテキストファイルが引き渡されました。
CSVでもエクセル形式でもなくて(゚◇゚)ガーン

※指示が曖昧だった僕が悪いのです
そういうことにしときます
(と、血の涙を流しながら言ってみたい)

で、各データの間はカンマではなく全角や半角のスペースを駆使して区切られており、そして一部は区切られておらず、さらに半角スペース全角スペースがランダムに出現します。録音時間と発言内容との間には、発言者(全角2~3字の文字列)が書いてあることもないこともあります。

つまり、これを一発で表計算のワークシートに収容することは表計算ソフトの機能を用いる限り、絶対できないのです。
実は同様データをすでに渡されて、裁判所に提出しています。
その際には置換作業を7回やって、データを分割し、さらに目視で修正するとワークシートに収容可能だ、と確認はしたのです。

前回は提出ファイルが3件で済んだのですが、今回は4件、行数=録音時間は3倍以上、そんな未来が見えてきました、と。

そんなのデータ区切りを指定して依頼人に差し戻せばよいではないか、他事務所なら当然そうするし、どうせ依頼人は手作業でそれをやるから、そのうち当該作業を粛々とこなしてきた当事務所の重要さに気づくであろう。

という意味のことを補助者さまは話します。たぶん彼女は正しいのです。

ですが、それは今や、ハラスメントに該当しそうです。

なにしろ処理対象が余裕で3千行を超えており、4千行に達する勢いです…あはは(乾ききった笑い)

折しも、といいましょうか。補助者さまに対して続けてきたプログラミング言語(Python)の技量習得はオンライン学習サービスの利用を終え、外部から提供されるCSVの読み書き・データ加工が限定的に可能なところまで進んできていたのです。

そうしたわけで、補助者さまへの説明を兼ねて簡単なプログラムを書くことにしました。

当初は正規表現を使わずに、パターンでマッチする文字列だけ置換してファイルに出力することを想定(妄想)していたのです。
うまく行かなくなった箇所に対応するだけの置換条件を増やしたためコードがやたらに長いわけですが…補助者さまへの説明用だ、とご理解ください。

Photo_20220412120301

これで1ファイル3千行の処理は1秒弱で終わり、手作業で修正する箇所は10行弱=0.3%程度にとどまります。

プログラムの作成、というよりお客さまが渡してくるテキストファイルに用いられる全半角スペースの出現パターンの分析に数時間を要したため、この業務単体で言えば表計算を用いた手作業より時間は要するのです。

ただ、今後も同じようなファイルはいくつも来るのです。
僕がお客さまに、納品データの形式変更を指示しなければ

ここで安易な変更を行うことはさらに混乱を招くわけですから、ならばこちらで作業を吸収して現状維持をするのが妥当です。

顧客には優しいが方向性は間違ってる気もしてはいます。ですが記念日というべきかもしれません。
当事務所においても、ようやく実務にPythonを使って数時間単位の作業時間を減らせるようになった、とは言えるのです。

このコードが 長いねと補助者さまが言ったから 4月11日はPython記念日
( ↑ 20代30代の方には、俵万智という歌人がおりまして…と解説を加える必要があるのでしょうか)

何かを踏みつけるとシアワセになれそうな反訳書作成のはなし(ちょっと意外な機材編)

この週末は林業雑誌への寄稿を準備しておりました。通常は3~4ヶ月周期で依頼される本件、おそらくはオトナの事情なのでしょうが2ヶ月連載のご注文をいただいていたのです。

そんな今週の凶事。中華プロジェクターが故障しました。

Img_20220221_034800

丸い黒いシミが画面左側で成長し、他の小さなシミを吸収合併しながら少しずつ移動しています。
3日後には画面右下にももう一個、仲間のシミが生まれました。

むかしむかし、Basicで作ったライフゲームを連想してしまいましたがこれは40代以上の、しかもコンピュータがお好きな方にしかご理解いただけないはずです。

いつもはこの投影画面を左右に分割して、右はテキストエディタ左はPDFその他の資料を表示しているところ、もうやりにくくてしょうがない(苦笑)

このプロジェクター、新品での導入から1年8ヶ月ほどしか経っておりません。調べたところ、液晶プロジェクターやノートPCの液晶パネルにこうした故障が出ることはあり、しかも中華プロジェクターの場合は1年弱で出る人もいる…言ってしまえばハズレ多めのクジ引き、ではあるらしいのです。

そんなこともあって、反訳書作成業務の話題を続けた今回は、最後に機材の話です。


複数の話者が録音なんか意識せず適当に言い合い、録音そのものもそのへんのスマホなど適当な機材と適当な環境でなされる、でもそれを文字化して提出しないと裁判所は証拠として採ってくれない、業者に出すと1分300~400円超の報酬を要求し依頼人自身がやろうとすると録音時間の10倍以上の時間投入を要する。そんなステキな裁判書類、反訳書。

もちろん素敵というのは皮肉です。
うっかり関与すると泥沼にはまる裁判書類作成業務の筆頭がこれだ、よって本件のみタイムチャージ制とする、とお客さまにも断言しています。

この作成をクラウド型の自動反訳サービスで行うと少しは不幸から遠ざかれそうだ、当事務所では一応Nottaを用いたい、という話の続き。

当事務所でも、昨年までは録音内容の反訳を完全にスタンドアロンなシステムで行っておりました。再生ソフトはこの世界ではおなじみのOkoshiyasu2を使い、キーボードに割り当てたショートカットキーで再生と停止と巻き戻しを定義して、聴き取った結果は表計算ソフトに入力していたのです。

これに対してNottaを使う場合は、ブラウザ経由で音声の再生と文字の編集ができます。あとは通信回線とPCの能力が十分であればいい。
見ているとHDDが律速段階になり、SSD搭載機はあまり影響を受けにくいように思えます。

うちのPCは全部SSDなんですが、HDD装備機を運用するお客さまがときに悪戦苦闘なさることがあるようで…必要なら費用をもらって介入するようにはしているところ。たぶん代書人と電器店は兼業できるのです(冗談)

で、本題。ブラウザ版Nottaにもショートカットキーが一応あります。カスタマイズはできないようです。再生/停止、3秒進む、3秒戻る、検索、この4動作はショートカットキーが決められています。このほかHomeで文頭、Endで文末へカーソルジャンプし、文中でEnterキーを押下すると文章が分離され、分離箇所に録音時間が表示されます。

反訳結果を例示します。冒頭にはNottaが付与する発言時間が示されています。

01:05
この労働契約ではバナナはおやつになりますよね。そうです。ならばバナナの規則は就業規則違反になりません。

上記の例で(←いったいどんな労働相談なんだろう)、『そうです』という部分は依頼人、これ以外の部分は代書人がしゃべっているのですが自動反訳サービスが認識を誤って1行にまとめてくることは結構あるのです。

このほか赤字の部分は誤認識箇所です。『なります』→『入ります』、『規則は』→『喫食は』と修正を要する、としましょうか。

※録音してるとわかってる話者は、変わった言葉を使わない・明朗にゆっくりしゃべる・できるだけ標準語を話す・自分から相手の会話に割り込まない、といった配慮をしたいものですが、そうすると『なんだか妙にお行儀のいいひと』になってしまいます。何年か前にそういう意識をして同業者さんと話した結果を補助者さまに反訳していただいたとき、彼女には見破られました(苦笑)

お話しを戻します。上記反訳例で編集作業としては、赤字の箇所周辺の再生停止巻き戻しをしつつ

  1. なり→入り との修正
  2. ますよね。|そうです。 の箇所で改行
  3. そうです。|ならば の箇所で改行
  4. 規則は→喫食は との修正

をサクサク行う必要があります。できるだけ停止や巻き戻しを減らし、他の再生箇所が正しく文字化されているのを見ながら編集作業をするのが時間短縮のコツです。

ここで、キーボードから手を離したくない、複雑なショートカットキーを押したくない、という発想がでてくるのです。

実は昨年末、中華な機材がもう一個壊れておりました。ペダル1個のUSB接続フットスイッチです。お値段千円ちょっとで5年は使ったでしょうか。

説明します。これは言ってみれば、マウスのボタンだけが足で踏めるスイッチになったもの、です。ボタンには希望のキーストローク(右クリックとかAlt+Ctrl+Delとか。『バナナハオヤツニハイラナイ』といった定型語句も可)を割り当てておくことができます。

このフットスイッチ、当事務所では図書館で借りてきた本1冊まるごとスキャンして電子化するのに使う重要機材なのです(みみっちい重要機材ではありますが)。フラットベッドスキャナに本を置いたあと、マウスに手を動かす時間が節約できます。で、これが壊れたのをきっかけに

国内メーカーが出してる、ちょっとお高いフットスイッチに買い換えておりました。今回は2ペダルを装備しています。

気がつけば電子化した図書が百冊を超えておりまして…本を買わずに済んだ差益をほんのちょっぴり投じたら買えた、ということです。

このペダルに普段は左クリックを割り当てていますが、反訳作業時は『Shift+Space』と『Enter』を割り当てます。
Nottaでは前者は再生・停止、後者は改行、つまりNottaが自動ではできなかった複数話者の分離に使います。

Enterはキー1回押下なんだから割り当てる必要ないか、とも思いましたが、ブラウザ版Nottaでは別の認識箇所を再生・確認中に別の箇所をマウスクリックしてカーソルを移動させ、改行その他の編集を行うことができます。そうすると、マウスに手を置いたままフットスイッチで改行を連打するのは悪くない、ということになりました。三秒巻き戻しのコマンドを割り当てるよりよさそうだったのです。

それと、漢字変換して修正した文字入力を確定させるときもEnterキーは使います。右と左のペダルを連打すれば入力確定→再生再開、を文字のキーから手を離さずに行えます。これでもう少し、作業速度が上がりました。

そうは言いつつも。
壊れたほうのフットスイッチの修復を終えました。二つのフットスイッチは全然別のメーカー製なので、別のキーを割りあてて計3つのペダルを利用できることになっています。

これで3秒巻き戻しのショートカットキーも、押さずに済むようになりました。

反訳書作成業務で幸せになれる気配はまだ気配だけですが、少なくとも不幸から遠ざかった、とはいえます。

他国の法律がちょっと気になる反訳書作成のはなし(サービス選択編)

日中は久しぶりに、すずき電器店の仕事をしておりました。

当事務所では裁判事務のご依頼を無事に終えた方に、電気製品の修理選定運用等の助言または代行等をおこなっております。ふだんはパーソナルコンピュータ関連品を扱うことが多いのですが、今日の案件は換気扇。

といっても取り外し後の制御部品の故障箇所診断だけですので、電気工事士法および同法施行規則には抵触しないことを確認しています。

…まさか電気工事さんとのあいだに業際問題を発生させるわけにもいかないし(苦笑)

なにをやるにも法律が気になる立場、ということで前回の記事の続きと表題の件です。

民事訴訟でたまに必要となるが、真面目に取り組んだら録音時間の10倍はかかる、大抵の場合立場が対立する複数の話者による会話の文字化。そんな反訳作業と反訳書作成の話の2回目は、僕が自動反訳サービスとしてNottaを選定したわけと留意点について、です。


人の発話を文字化する(テープ起こしなり記事録作成なり反訳で検索すると見つかる)サービスやソフトはいくつもあります。

大きくは、スタンドアロンつまりネットにつながっていないコンピュータ上で動作するソフトと、リアルタイムにインターネットにつながって動作するサービスとの二者に分けられるでしょう。

会話の内容を文字にする、という効用のみに注目すると、スタンドアロンのソフトはクラウドを利用するサービスに比べて劣ります。特に、不特定多数の話者の会話を何がどうあっても文字化せねばならない民事訴訟での反訳書作成業務では、そういえます。

理由は超簡単です。十分に流行っているクラウド型の反訳サービスには、それこそ日進月歩の勢いで『さまざまな音声のサンプル』と『利用者が勝手に修正してくれた音声反訳の成果』がサービス提供事業者にどんどん集まってくるわけだから。

それらを反映してサービス品質は、迅速に確実に顕著に向上します。

性能のみに着目すれば、反訳書作成でスタンドアロンのソフトなんか使う奴は馬鹿だ、と言い切って差し支えありません。
事務局で働く労働者に十分な残業代を払わないからそんなことやってられるんだろ、と僕なら疑いますがこれは極論です(苦笑)

ただしこれは会話を文字化する、という効用に関してのみの話です。

その辺の上司のパワハラとか別れかけの夫婦の駆け引きとか詐欺的投資の勧誘とか、とりあえず当事務所が現在扱っていない案件で例示しましたが…第三者からみてどうだっていいような会話なら興味を持つ人もそうはいない、とは思います。

これが中国政府の打倒だとちょっと話が変わってくるわけです。例えとして極端なのは自覚していますが。

今やってるオリンピックでも一部から指摘が出ているように、開催国に行った選手や随行者のオモテやウラの情報はあらゆる電子デバイスから当局が取り放題♪になる可能性について、少しは意識しておきたいところです。

本人訴訟の当事者として=つまり自分が了解して中国・香港の事業者が提供するサービスやアプリを使うなら別にどうこう言う話ではないですが、士業が誰かから依頼を受けた案件で勝手にこうしたサービスを選定するのはマズい気がしています。

まぁ潜在的にデータが他人に漏れる可能性は、全てのネット関連サービスにつきまとっています。gmailが安全でNottaが危険ということもない。

というよりgmailなんか、アドレス持ってると他人に言うだけでアカウントを乗っ取られる危険度を自分で上げているように思えてなりません。

だってgmailのアドレスって、あれはメールアドレスじゃなくてIDじゃないか、と思うのです。それを使ってログインすれば実にいろんなサービスを受けられるのに…お客さん達、みんな見え見えまるわかりなパスワードしか設定してないんですもん(詳細はこれ以上は言いませんが)

実は僕のgmailのアドレスをお客さまとのやりとりに用いないのには、上記のワケがあったりします。もちろん二段階認証を用いてはいますが…人によってはそれもなかったりします。

結局のところクラウドサービスの提供者から情報が漏れるよりサービス利用者から漏れるほうが可能性としてずっと高い、という不都合な真実はさておいて、お話しを戻します。

今時のクラウド型サービス事業者なら、少なくとも日本語でサービスを提供しているなら、一応見られるプライバシーポリシーを制定公開しています。

まぁ業界団体およびその会則やら専門家倫理、監督官庁からのお呼び出しくらいならクリアできそうな規定を持っているであろう、これは米国所在の超巨大企業からそのへんに生えてるCATVのプロバイダまで共通です。

そこに書いてあるプライバシーポリシーを信頼しました、と遠い目をしてつぶやいていればまぁ、品位保持義務違反を認定されたり懲戒事由への該当を指摘されることはないだろう、とは僕も思います。

ただ中華人民共和国については、最初っから喧嘩腰な法律を制定してくれています。いわゆる国家安全法と国家情報法がそれで、あれはどうみたって香港所在の企業が日本人向けに出してるプライバシーポリシーなんかよりそっちの法律の方が優先するに決まってます。

端的に言うと、あの国で事業やってるかぎり役人が見たいといった情報は全部見せる義務があるようにしか見えません。

繰り返しになりますがお話しが日本国内で完結するパワハラや離婚条件や投資詐欺程度なら真剣に考える必要はないとしても、法体系として守秘義務が害されるような状況になりうるサービスを敢えて利用するなら依頼人の同意は一応求めておいたほうがよかろう、ということで。

会話の反訳でクラウド型サービスを使おうとする場合、提供事業者が日本国内にあるか香港を含む大陸中国にあるかは、士業にとっては重要になってきます。

たとえ会話内容に、天安門事件への歴史的評価や新疆ウイグル自治区の人権状況が含まれていなくても。

クラウド型サービスがいいと言いながら反訳サービスの選定で最後までAmivoiceを残したのはこの提供会社は日本にあるから、だったりします。

性能だけで比べた結果、以前のブログでも少し書きましたがクラウド型ではRimo VoiceNottaの二者が残りました。

この両者は、録音されたデータに含まれる日本語会話の文字化なら甲乙つけがたい精度を持っています。ただし、Nottaのほうが話者を切り分けて改行や録音ファイル中の発言時間を入れてくれる機能に優れています。

このため、話者複数・長時間の録音になりやすい裁判書類としての反訳書作成業務ではNottaが第1選択肢に上がってくるのです。

※Rimo Voiceはそのウェブサイトで、日本語に特化したAIがどうこう、というアピールをしていますがそうした恩恵は感じません。むしろ利用者の数(提供される音声データと修正結果)が多ければ性能は勝手に上がっていくのがクラウド型反訳サービスの特徴であり可能性だ、と考えます。

もう一つ、両者の大きな違いはRimoが日本の会社、Nottaはどこに国籍があるか明示されていない会社によって運営されていること、です。

Nottaのほうは、ウェブサイトからは会社がどこにあるか読み取れませんでした。
特定商取引法に基づくサービス提供者の表示も実はないようです。

でもウェブサイトのソースには繁体中国語が書いてある、と。

で、念入りに見ていくと。本日時点の利用規約第22条では紛争発生時の専属的合意管轄を香港国際仲裁センターにしてあることがわかります。

こんな会社、日本にあるわけがない(笑)

むしろNottaの提供会社は香港にあり、ゆえに中国の国家安全法その他の法律が利用規約に優先し、当局がその気になったら録音も反訳結果も読み放題♪という可能性は一応想定しておくのがスマートな利用法です。

そんなNottaを単純にありがたがって使うのはいささか間抜け、ということになりましょうか。
ウェブで仕事するライターがNottaを推奨するツイートをあれこれ見ますが、こんなオッチョコチョイの取材は受けたくないな、と思わされます。

士業としては、依頼人に一応のリスクを説明し、録音会話中に大陸反攻とか自由チベット万歳といったNGワードがないことを事前確認し、さらに念のため文書またはメールによる明示的承諾を得られれば反訳書作成にNottaを使い、そうでなければRimo voiceを使うことにして。

実はこの両者と、音声の文字化に際してスタンドアロン型では大きな国内シェアを持っているであろうAmivoiceとの品質差は凄く大きい、という話を済ませてしまいます。

テープ起こしに関連するサービスをいろいろ調べていると、国内ではVoXTというサービスのウェブサイトが出てきます。
これはAmivoiceを組み込んだサービスを提供する会社が運営する音声認識サービスで、一応クラウド型を標榜しています。録音データをアップロードお金払えば文字化してくれる、というもの。

そのウェブサイト中、音声文字化に供する音声ファイルの品質の重要さを説明するページがあります。
音源が遠かったり雑音があったりすると文字化困難になる、ということで、4つの音声ファイルと同サービスでの認識結果が出ています。

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と、なれば。

そのページで提供されている音声ファイルをNottaの音声認識にかけてみるのは誰でも考えますよ(笑)

結果は当然、Nottaが圧倒的に優越するものでした。
性能のみに着目するかぎり、VoXTその他Amivoiceの関連サービスの採用は非推奨、選択肢にも挙がらない、というわけです。

ただ、上記引用箇所のページ記載の主張内容は正しいのです。

提供される録音の品質は、クラウド型でもスタンドアロン型でも音声認識の精度に決定的な影響を与えます。

限定的ながら、音源の提供をうけた後に若干の対処が可能です。ここで使用するのはAudacityですが、音声の増幅とノイズ除去の機能がありWav形式でのエクスポート可能ならどんな音声編集ソフトでもかまいません。

『Audacity ノイズ除去』等で検索してソフトと使用法は把握していただくとして、説明を続けます。

※気づいたらこの超優秀フリーウェア、開業以来十数年使わせてもらってます…ネットの普及で世の中がよくなった、と思える数少ない例の一つかもしれません。


余談はさておいて。以下の比較を試みました。

守秘義務に反しない範囲で説明します。さいきん提供された要反訳ファイルは以下のようなものでした。

  • 録音機材は一般的なAndroidスマホ+同スマホ標準装備の録音アプリ
  • 録音場所は普通の部屋のなか
  • 録音担当者もそうでない者も勝手に発言する、2名の会話

要するにスマホさえありゃ誰でも録れる音声ファイルが来た、ということです。

これをまず、提供されたままNottaで音声認識にかけました。これをファイルaとします。
自動で反訳した結果の大雑把な印象として、総文字数の半分~7割程度が正しく文字化された感じがします。

さらに、Audacityで音声の増幅を弱めにおこなったものと強めにおこなったものを用意しました。それぞれファイルb、cとします。

最後に、ファイルcで音声増幅後にAudacityでノイズ除去をおこなったものを用意しました。ファイルdとします。

ファイルb・c・dの認識結果を、それぞれ当初のファイル、つまりファイルaと比べました。

比べた箇所は、裁判所に提出できる反訳書作成の手間に直結する『比較したファイルの片方だけ、発話した内容が正しく文字になっている箇所』と、『同じく片方だけ、発話した人が違う箇所の前後で適切に改行した箇所』です。

双方ともに正しく認識したり、双方とも誤認した箇所はカウントせずに比べました。同じ箇所2分間の反訳内容を比べた結果。

ファイルa:修正なし b:弱度の増幅 ファイルc:強度の増幅 d:強度の増幅+ノイズ除去

a  b  |  a  c  |  a  d |

 2  7    4  14   5  16

見にくい表ですね(苦笑)

aとb、つまり提供された音源aと軽度の増幅を施した音源bを比べた場合、aが正確に認識した位置でbが間違った箇所は2箇所、bが正確に認識したのにaが間違っていたのは7箇所、そういった比較結果になりました。

bとcの結果を比べると、ある程度は音声を増幅したほうがいいようには思います。ただし音割れするまで増幅すると、かえって認識結果は悪くなります。Audacityには音声の波形が出ますので、原音の波形が損なわれない範囲で増幅するのがよいでしょう…が、たまたま波形が大きい箇所は会話とは違う雑音が入ってるということも多いもの。録音を一通り聞いてから決めますが、僕は多少波形が壊れても強めに増幅していいと考えていたりします。

実施するかしないか微妙に迷うのはノイズ除去をするかどうか、です。これは機材に固有の(一定の周波数・音量の)ノイズをカットするもので、その辺のICレコーダーやスマホなら絶対入ってしまうノイズの低減に威力を発揮します。最終的に録音を人間が聞き分けるときにも有用ですから、一応微弱に実施するのがよさそうだと考えているところです。

そんなことやったってファイルacとadの比較を見ていると、2分の録音で差し引き10箇所ちょっと修正の手間が減るだけでは?と思われるかもしれません。

いいえ。その音源が180分あり、更にそんな録音ファイルが20個ある状況を考えてください(と、ドス黒い声で言ってみたい今日この頃)


この記事には後日、Audacityの波形の画像を加えたほうがよさそうです。次回以降に続きます。

あと、法的判断に立ち入らない=もっぱら技術的な観点からの助言のみを求める反訳書作成相談については、司法書士法第3条1項5号所定の裁判書類作成にかかる相談として当事務所でお受けします。地裁家裁簡裁などの提出先・請求額にかかわらず対応可能です。

そんな相談するのかい、とご同業の皆さまから突っ込まれそうですが、当事務所ではときどきあるのです。

なにしろ、これは合法的に提供可能なサービスなんですから(遠い目)

用意ドン、でしばらく停止する反訳書作成のはなし(準備編)

反訳書。訴訟で提出する、複数人での会話の記録を文字化した書面です。

民事関係裁判書類作成を主たる業務とする当事務所で、最もやってはいけない作業を三つあげればまずこれだ、といえる仕事が反訳書の作成です。今夜はその業務を一つ終えました…作業が終わったときには20時を回っており、晩ご飯のお買い物に出るのもおっくうになってしまいましたが。

この作業が面倒な理由。人の頭はたぶん、会話を正確に文字として認識していないように思えます。10分なり1時間なりの、ウソやごまかしや怒鳴り合いなどが入った録音データをポンと投げられて、再生と巻き戻しを繰り返しながら文字入力して厳密に逐語訳する作業に慣れている、などというのはこれを仕事でやってるごく一部の人に限られます。講演や裁判所での尋問など、話者が限定されており発言が交錯しない録音を文字化するのよりはさらに難易度が高いのです。

さらに、これは当事務所特有の理由かもしれませんが。
録音中に出てくる人物の最低一人は、反社会的なパーソナリティ(゚_゚;)

会話内容や事案そのものに下手に思い入れると義憤に駆られるかゴミ箱を蹴飛ばしたくなるか昼寝したくなる、併せて関係者ご一同様には代用監獄か閉鎖病棟でいい物件をご紹介してみたくなる、そんな人が必ず出てくるのです。そのいずれかの施設利用歴が既にある人が出てくる会話も時折あるようで、とにかく心穏やかにできる業務ではない、そのことだけが明らかな状態で作業に入る、と。

勝手な人が馬鹿なことをした紛争でほかに書証がないとき、半ばやむを得ず作るのが反訳書。そういうことなのです。

逆に考えれば、事実認定をめぐって激しく争う案件になることが多く真面目に取り組めば代書人としての技量はあがるが時間あたり収益は下がる、そういうことだったりもします。

ですので案件としては好んで受けていることが多いのですが(この点では、依頼人の皆さまには安心していただきたく存じます)とにかく反訳書作成の依頼を安易に受託しないよう常に気をつけているところ。

作業を手伝っていただく補助者さまを意識して、反訳書作成を控えた出張時には特に念入りに、いいチョコレート(お土産)を探せ、というのも重要な注意点です。

そんな反訳書作成のご依頼を受けまして。
一昨年と昨年に引き続き、やっぱり今年も挙動の変な相手方の言動がいっぱい入った録音データがやってきました。

しかし当事務所の実務は、一昨年と昨年とは違うのです。印象としては、作業に伴う苦痛が6割ぐらい減った気がしています。

…昨日から、なんですがね。

実は新しいサービス・ソフト・機材の使用に伴う作業方法をようやく確立できたのが昨日でして。

お客さまとは先月から、複数ある録音ファイルを分担して反訳作業にあたっているのです。

結果として…

正直に淡々と作業に取り組まれたお客さまの努力を裏切ってペースアップすることになったかもしれません。意図してやったわけではありません。

納期約一週間あったうちの半分を、利益を生まない試行錯誤に費やした結果を明日以降記事にします。要約すると

  1. データの漏洩を気にしなくていい状況下にあることを確認したうえで、自動反訳のサービスはNottaを利用する
  2. 録音機材は指定できないから、渡された録音データはAudacityで前加工を施す。施すのは音声の増幅と、若干のノイズ除去。
  3. 音源は音楽用CD形式での提出を考慮して、前加工では最大74分(CDにより80分)ごとの録音時間で録音データを分割する。これも前加工で行い、NottaにはWav形式のデータをアップロードする。
  4. Nottaは適切に整備されたPCと有線LAN、光ファイバーでのインターネット接続がある環境下ではWeb版の利用を可とする。そうでなければタブレットかスマホにアプリをインストールして運用すると、挙動の低速化は防げる。
  5. 複数回この不幸、いえ業務としての反訳書作成に立ち向かう予定がある場合、フットスイッチの導入を強度に推奨する。2ペダルを装備したものがあると、ひょっとしたら幸せになれるかもしれない。
  6. 業務として反訳書作成を行う場合は、依頼人とはできるかぎりNottaのシステムを用いて反訳結果の確認や編集を依頼・分担することが望ましい。
  7. 校正が済んだ反訳データは、Nottaにテキスト形式でエクスポートさせ、表計算ソフトに取り込んで完成させる。

以上で、発言ごとに話者が分離され、録音ファイル中の発言時間が併記された反訳書の内容が入手できることになります。作業時間を短縮する(または、時間の浪費を回避する)のに役だったわりに、世のウェブサイトに載ってないのは上記2・4・5項でした。このあたりの工夫を確実に有用なものにするために…ある程度時間を突っ込んで(見かけ上作業が進んでない状態に耐えて)試行錯誤を続ける必要があったわけです。

なので、作業終了までこっちの進行状況は黙ってました。この作業に関しましては(笑)

フットスイッチを含めて、この作業に必要な費用は5千円でお釣りがきます。ご同業の先生方にはちょっといいフットスイッチを買う1万円コースがよいでしょうか。

本人訴訟の当事者などごくごく少数の読者さんを想定しつつ、この記事は明日以降に続きます。

来年の実務を変えるサービス(条件付きで採用するNottaの話し)

重要な会話は録音してある、という相談者は結構います。民事家事関係裁判書類作成・法律相談全体のうち3~4件に1件くらいはそういう展開になるでしょうか。この件数には録音付きの動画も含みます。

ならば相談中にそれを有効活用できる人はどれだけいるか、というと20件に1件を下回ります。

まぁ相手方のほうはさらに酷く、それを有効活用して訴訟を勝ち抜いたひとを見たことがないのです。
あの連中が嬉しげにスマホでデジカメでICレコーダーで取りまくったデータ、いったいどこ行ったんだろう…まさかこの期に及んで肖像権やらプライバシーやらについてご配慮いただいた、なんてことはないはず。

いったい何がダメなのか、録音については明らかな実情があります。録音機器がこれだけ進歩してなお、機材や録音環境に起因するノイズがあったり音量が低すぎたりして記録して役に立たない、あるいは録音はできたが録音件数と時間数が膨大にあって(平均30分の録音が60個♪とか)決定的な録音をどこでやったか当人も覚えてない、この2点に制約されて当事務所の依頼人も録音の有効活用はなかなか難しいのです。

それらを乗り越えるとラスボスが控えています。

録音内容の文字化に結構な手間あるいは時間、そうでなければカネがかかる、と。
生き残った勇者も多くはここで倒れる、と言っていいわけです(苦笑)

ちなみに、いろんな業者が提供している録音反訳サービスの依頼費用は裁判所提出用ですとだいたい録音1分につき200円台~400円台となっております。最低価格の設定もあったりします。いずれにせよ録音60分につき税込み2万~3万円となりまして、当事務所の客層では利用を躊躇するに十分なお値段、なのです。

当事務所で無理矢理に受託する場合は特別に1分100円台の設定をすることがありますが、これはよほど録音時間が短い場合に限ります。裁判書類作成を巡って安易に受けたらひどい目に遭えるサービスの筆頭がこれ、と常々肝に銘じているところ。

その次にキケンな業務は係争地周辺の強行測量でして、ただこれは年1~2件しか機会がありません。

お話しを戻します。重要だけれど外注業者に頼みにくい当事務所直轄事業としても受けにくい依頼人にやってもらおうとすると依頼人が依頼意思ごと挫折しかねない(汗)、そんな『録音データの文字起こし』にようやく決定的な対処法ができたようなのです。表題の件。

音声ファイルに記録された会話を自動で文字に、つまり文字起こしできるサービスを常々探しておりました。

一昨年ぐらいまでは事前に学習させた話者1名(つまり、僕)がリアルタイムに丁寧に発話するなら9割を超える程度の正確さで入力できるサービスにたどり着いてはいたのです。

このため、『すでに録音された、複数話者の会話の録音の反訳』ではいわゆるリスピークを試みておりました。

つまり僕が録音内容を聞きながらそのとおりに一人でしゃべり、僕がしゃべった結果を音声認識させて文字起こしをしていたのです。

この方式だとだいたい録音1分につき6~7分で反訳が済みます。
しかし20分の録音を1分150円で反訳することにしてしまった場合、得られるお金は3千円。でも作業所要時間は最低120分、ということで時給1500円…つまり補助者さまにお任せしても赤字になりかねない、という実情にはあるのです。この作業で利益を上げようとした場合、1分300円あたりの設定が妥当だと僕も思います。

そんなに作業時間がかかるの?などと言う、心ない人もいます。
そういうことを言った時点でもう反訳業務の依頼を受けるつもりはなくなりまして、いったんご自身で思い切り頑張ってもらうことにしています。

苦しめ、などとは申しておりません。
三途の川の岸辺からそっと出発を見送るだけです(遠い目)

録音の文字起こしを初めてやった(正確には、不用意な発言をきっかけに『やらされることになった』人を含む)人で、録音時間1分につき10分以内に作業を終えられる人など見たことありません。

人によっては10分の録音を1週間かけて文字化できない(作業そのものを放り出す)、ということもあります。

実は人が頭の中で会話を理解するやり方は案外適当らしく(一語一語を認識するというよりは意味や流れや雰囲気、といったものを捉えているように思える)、無理に逐語訳させようとすると破綻する、という実情はあるのです。

このあたり、工場のライン作業と同じでして脇から見てる分には自分でもできそうに見えますが自分がラインに配置されると全然そうじゃない!というのと同じような面もあるかもしれません。

で、最終的にはワープロなり表計算なりで文字データを入力せねばならない反訳書作成について一番適当な作業方法は作業者によるリスピークだ、という理解でしのぎながら、折々に使えそうなサービスを試していたのです。今月まで。

録音機材はスマートフォンかICレコーダー、つまりマイクはモノラルかステレオまたはデュアルマイクか、はたまた電話(←音質が落ちる)の録音であるかは不明、音質向上に関する配慮は皆無、録音形式はMP3かWav、話者は2~4名、録音時間は数分から2~3時間、そんな音声ファイルがどどーんと数十件やってきた、というよりはキタ━━━(゚∀゚).━━━!!!

そんなかなり悲惨な状況に対処できるサービスの候補を、このたび2つに絞ることができました。

1つはNotta、もう1つはRimo Voiceです。

双方とも、録音データをクラウドにぶん投げれば、ありがたきAIさまが自動解析して文字化してくださるというもの。
当然ながらお布施を納める必要はございますが、録音時間1分あたり数十円におさまります。誤認識の割合は両者ともほぼ同じ印象でした。

例として、テーブル上に置いた適当なスマホで室内の会話を録音、話者2名が時に言い合いをしながら進める日常会話、といった録音をこれらのサービスで文字起こしさせた場合、漢字ひらがな交じり文にしたときの認識率は5~7割ぐらいといったところでしょうか。

当然ながら人名その他の固有名詞の変換は苦手です。複数話者の会話が混じってしまった場合はほぼ変換不能となります。これらは両者ほぼ共通の特徴といえます。

ご同業の皆さまには上記いずれかのサービスの利用を視野においた場合、依頼人や相手方の名字はスズキさんやサトウさんといったシェアの高い名字が好ましく、会話内容はできるだけ日常的なものがよく、珍しい名前の人がでてきたり普段出てこないような話題=劉備玄徳さんと諸葛孔明さんが天下三分の計をめぐらせている、などという録音の反訳はできるだけ関与を避けるべきだ、ということになりましょうか。

まぁ、これは録音データが残ってるなら聞いてみたい気もしますが。

冗談はさておいて。
裁判所に出す反訳書作成準備のためのサービスとしてみた場合、両者には微妙な、でも大きな差があります。

両サービスとも、自動で録音時間数を挿入してくれます。これがNottaの場合は約1分ごと、Rimoのほうは数分に1回程度しか入りません。

つまり、要所要所で録音時間と重要発言を併記したい反訳書作成ではNottaのほうが優れます。

また、両者とも不完全ではありますが複数の話者を分離して改行を入れてきます。
これはNottaのほうが頻繁に改行してくる傾向があります。

ですのでNottaのほうを採用したくなるのですが、士業としては待たねばなりません。

Nottaには致命的というべき欠点があります。プライバシーポリシーを読んでもわかりませんでしたが、利用規約を引用します。

Photo_20211231010401

つまりプライバシーポリシーがどうあれ、データはあの大陸のサーバに送られる可能性があるわけで。

このサービスを使うには、お客さまに事前確認せねばなりません。

ひょっとして、中国政府の打倒などを話題にしておられませんか(笑)

ちなみにRimoのほうは国内の会社がやってるようです。悩ましい選択ですよね。

それは想いが伝わったから(東京出張3泊4日 最終日)

東京滞在を1日延長した4日目は、朝9時半から打ち合わせに入ります。

地下鉄銀座線稲荷町駅にほど近いこのホテルには、ツインの部屋で大人2名泊、朝7時チェックイン翌日22時チェックアウト可能で2名合計5670円、という法外なロングステイプランが設定されることがあるのです。

みんながマスクせずとも安心して暮らせる世の中が戻ってきたら絶対なくなるプランなんでしょうが。まぁおかげで助かってる人がいるのも事実です。

そんな超ロングステイプランを使いはしたのですが、昼前までは淡い望みを抱いていたのです。

東京駅発17時30分の東名高速バス昼行便の最終で帰れるんじゃないかな、と。

そんな望みが潰えまして、本日3回目の休憩を宣言しました。17時10分です。

次に意識せねばならない時刻はチェックアウトの30分前でして、東京駅から新幹線を使って名古屋に帰るには稲荷町を21時30分には出る必要があります。あと4時間延長できることにはなった…のですが。

気になるところを口にしてみました。
朝からずっと気になっていたんです。

「来週末あたりまた、2泊3日でここ(稲荷町)に来たほうがいい気がしてるんですが何故でしょうね?」

『それは僕(お客さま)の想いが伝わったからでしょう』

キレのある即答を返されました。
とりあえず笑いながらベッドに突っ込んでごまかし、休憩。

Img_20211203_002453

※写真はイメージです お客さま退室後に撮影しました

結局この日の打ち合わせは21時前に終了し、さらに再来週の東京出張に向けて日程調整が始まったところなのです(汗)

最近少しずつ増えている、同業者による本人訴訟支援とかいうウェブサイトにはちょっと違和感があります。

結局あれって能力の貧弱な弁護士、と言って悪ければあくまでも法律専門家を標榜する立場からのアプローチであり過ぎる気がします。非弁護士である全ての士業に課せられている法律相談・裁判書類作成の制限に関してほぼ言及がないのも気に入りません。

では僕が書類だらけのツインルームでお客さまと一日何やって楽しんでいたかといいますと、文字通り事実の流れに関する説明の聴き取りとその説明を裏付ける資料の探索、です。

それがやりきれていない、2泊3日12時間弱かけてもやりきれない、という認識を共有しているから追加での出張提案が以心伝心的に通ってしまうのです。この点で、お客さまと想いは通じ合っているのです(あ、なんかちょっとイヤだ)

ではある一方、『それがやりきれていない』から自滅する職業代理人&依頼人を地裁でもよく見かける実情はあります。

だからこそ、自由な法的判断ができない制約に服していても(丹念な事実の探索と相手方主張の矛盾を弾劾することは禁じられていないので)僕は代書人としてなんとか仕事ができてしまう、と最近は納得しているのです。

自分は法律家だ、など優良誤認まがいのことを言わなくてよく、むしろ著述家(添削業務の場合は、編集者)のほうがよほど近い。
お客さまの一部には僕の文章を評価してくださる方がおり、そうした方にはちょっとやる気を出してしまいたくなるものなのです。

ただ、そういう面を標榜する本人訴訟支援のウェブサイトは見たことないよな、と思っています。

検索エンジン対策は難しいはずですが、事実の探求と文章表現にこだわる代書人がする裁判書類作成、でも弁護士じゃないんで自由な法的判断はしませんよゴメンね♪などという業務は何らか需要を喚起できないものなのでしょうか?

※上記文章において、『でも』以下がある限りウェブサイト閲覧者の9割は即決で逃げ出すであろう自覚はあります。もちろん(苦笑)

優しい代書人が提示する選択(東京出張3泊4日 3日目)

東京メトロ銀座線上野~浅草一帯、わけても稲荷町・田原町両駅周辺は僕にとって優しいところです。

小綺麗な店と思って覗きこんだら仏壇屋(笑)、蕎麦屋も居酒屋もインド料理屋もどこか申し合わせたようにどこか小ぎた…いえ親近感を覚えるたたずまい。チューハイ片手に作業服姿のおっさん、歩くより遅く自転車を走らせて銭湯に向かう婆様、ゴシックとロリータの違いには誰より鋭敏そうなフリフリヒラヒラのコスチュームで大根足の娘、そんな人々がふらふらと曖昧な時間を過ごしています。

そして中華料理は途方もなく美味く安い店が点在し、駅前の日高屋など足下にも及ばない店が日高屋の角を曲がった20m先に隠れていたりするわけです。ランチのホットドッグ1480円の中目黒と焼き餃子一皿390円水餃子一皿390円茄子の胡椒炒め390円ハイボール一杯390円で晩ご飯が済む稲荷町が同じ国にあるとはちょっと考えづらいのですが…きのう中目黒で見たのはきっと、お客に優しくない登記専業書士になれた夢だったのでしょう。あそこで外食を楽しむには独身でも年収一千万ほど必要な気がしてなりません(わらうところ うつろな目で)

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お話が変わります。日中は国会図書館で書見を終えて優しい街へ…稲荷町へ戻ってきました。

この街ではホテルまで優しく、駅も中華料理屋もインド料理屋も徒歩3分以内という素晴らしい立地にあるお気に入りの宿にはチェックイン朝7時チェックアウト翌日22時という超ロングステイプランがあります。しかもツインルーム大人二人で5600円。おかげで男性のお客さまと都内で打ち合わせをする際には貸し会議室を使わずに済むことが多いのです。

実は備え付けの宿泊約款には正規料金4万8千円と書いてありますがそういうことは東京でも山の手のほうでやってほしい(笑)

余談はさておきこのホテルチェーンの超ロングステイプランには今年の2月、控訴答弁書作成対策で出かけた青森でもお世話になりました。今回は地裁通常訴訟の準備書面作成が打ち合わせのテーマです。

打ち合わせ開始は17時、予定時間1時間、ですが。

打ち合わせ開始までに準備しておいてほしい、と伝えてあったお願いに対して、約束が果たされていないのです。

そうであっても僕は優しいのです。表題の件。

お客さまにはにこやかに、選択肢をお示しします。

  • いまから3時間。僕といっしょに未完の作業をやってもらうか
  • 明日の打ち合わせを延長するかわりに、帰りの高速バスを新幹線に切り替える差額6千円をお出しいただくか

どちらかを選べる、と優しくにこやかにお伝えしたのです。決してお客さまを責めてなどおりません。

僕はあくまでもお客さまの自己決定権を尊重しただけです。

軟禁と恐喝の二択などとは、考えていただきたくないのです(遠い目)

守秘義務に反しない一般的説明をします。

当事者双方の主張がするどく対立する訴訟は当事務所ではよくあるものです。大抵の場合、こちらは依頼人にウソをつかせず(僕がゲートキーパーとして作用します)対立側はやりたい放題、という構図をとることが多いのです。

とはいえお客さまはふつうのひとですから、相手の言ってることなんかウソばっかりだ、と言って思考停止することもよくあります。

僕はといいますと、ウソかどうかはさておいて相手側準備書面の記載には一片の真実もない、というふうには全然考えません。針ほどの事実はあってそれを芯に棒のような陳述がなされているだけだ、ということは多いのです。

※ごくまれに相手が本当に閉鎖病棟に送り込むべき人材だ、念のため聞いてみたらすでに通院歴があった、ということもありますが息をするようにウソをつき妄想を体系的に語れる人はあまり多くなく、ましてそれで訴訟に勝てる人はさらに少ない気がしています。

上記のような思惑の違いはありますので、僕としてはあくまでもお客さまを優しく指導督励ときにはちょっぴり圧迫または客観的に必要な二択の提示等して事実を丹念に探り、準備書面作成の作業を進めているところです。そうした努力がありませんと、相手方当事者の適当なウソにすら勝てない実情は確かにありますから。

歓迎か謝絶か自分でもよくわからない回答(もちろん労働紛争労働者側)

零細企業の支配権奪い合いだの怪しいコンサルタントにくっついての山林林業関係業務だのに取り組んではおりますが、少ないながらも労働紛争労働者側からのお問い合わせは入ってきます。先日のお問い合わせは不当解雇に関するもの。

送信内容を一見する限りでは解雇に正当性はない、薬にしたくてもない、そういうものではあります。

ではありますがそういう判断を口にしてはならぬ、というのが弁護士ではない当事務所の法律相談の恐ろしいところであります。理由はかんたんで期間の定めのない労働契約における地位確認請求訴訟は地裁のみが管轄する=簡裁での事案に決してならない以上、必然的に業法3条1項7号にいう法律相談圏外、になるから。

このあたり、業界団体連合会のウェブサイトの労働トラブルCase4は不当解雇の相談のようになっているにもかかわらず上記限界に一言も言及していない、という点に卑怯くささを感じます。

そういう記事にかぎって僕がもってる資格名を明示しない僕も意図的に卑怯な記事をもちろん書いてるわけですよ。どんな法律なんでしょうね業法3条って(笑)

ではこの資格で許された、地方裁判所への提出書類作成およびそれに関する相談ってなんなんだ、というのは方々で言われているとおり、弁護士が可能な選択肢の推奨や請求の当否といった法的判断は…やっていいことにはなっていないわけです。

この制限を僕なりに解釈して、労働紛争労働側からのたとえば不当解雇に関する対応措置の相談の場合は

1.労働者がみずから手続きを選択しており

2.その手続きでする法的主張の骨子をみずから決定できている

ことが審査により確認できた場合には裁判書類作成なり関連相談なりを受託する、ということにしています。

これを不当解雇に関する初動の相談での一般的な回答にすると、以下のようになります。


 

(メールを受信した、という挨拶の直後に)
 さて、せっかくのお尋ねですが本件は解雇の効力(有効か無効か)を争うものになっています。
 この相談で、特に労働審判について法律面での助言ができるのは弁護士だけです。当事務所は弁護士の事務所ではないので、つぎのような質問にお答えできません。
 
・問題の解雇が有効か無効か
・労働審判の申立をしたほうがいいか
・そのほか適切な手続きがあるか。成功の見込み

以上、簡単にいうと今聞きたいことはほぼ全部不可、となるはずです。
これは弁護士法・司法書士法の制限に服しているためですのでご容赦ください。

先にお伝えすると、『あっせん』の申立てはほぼ無駄と考えて差し支えありません。そうした実情があります。

当事務所の相談は、弁護士等への相談でご自身の解雇が無効だと知り(または、自分でそう主張すると決めて)、解決金を得るための手続きとして労働審判手続きを選んだあとの段階で機能します。

言い換えると、選択する裁判手続きと主要な法的主張を自分で決めた人が、その主張を申立書類に反映させる相談は司法書士として行うことができる、ということになります。
この場合は弁護士を代理人にする必要はなく、費用面ではお見込みの中にギリギリ収まる対応が可能かと思われます。

ただし解決金額はお見込みよりずっと低くなります。
法的判断ではなく私の経験としてお伝えすると、在職○ヶ月以内の不当解雇を労働審判手続きにかけて解決金額が月給●ヶ月分を超えた事例は、当事務所にはありません。

不本意とは思いますが上記のことをご承知おきいただければ今後も相談や申立書作成のご依頼を受けることは可能です。よろしくご検討ください。

なお、以後の回答は無料ではできかねますのでご了承ください。


で、表題のような感慨をいだいてしまうわけですよ。返信したメールを読み返すと。

ちなみに今回、上記の返答をお送りしたところ音信不通とあいなりました。

そう、普通はそうなるはずで、上記のような回答文をぶつけられてへこまなかったごく一部の人たちがここに来るのです。それが弁護士ならざる代書人の、裁判書類作成業務およびその相談というものだ、と僕は解釈しているのです(苦笑)

厳しい、かもしれませんが業法と弁護士法の解釈を素直に受け入れると上記のようにならざるをえません。
労働紛争の世界ですと近年は同業者も手を染めるようになった退職代行なんか僕から見たら非弁そのものです。このほか倒産型債務整理や相続紛争に割り込む家族信託なんかもちょっとどうかな、と思えてしまう面は実はあるんですが、弱者救済に邁進している諸先生方に『ところでその破産って方針、誰が決めたんですか?』とか聞いたらたちまち業界外へ放逐されかねませんので…反貧困をかかげる方々は敬して遠ざけるのを基本方針としているところです。労働側で賃金請求訴訟を起こしたら会社の破産までの時間稼ぎ的な移送申立てとか、連合会でご活躍のセンセイがなさったのを見たことあったりしますけど。

反貧困のご活動は尊敬してるということにしておきます。
僕は今後もやらないと言ってしまうのは、事務所にもよるはずですが関与の状況が仕事として綺麗じゃないことを…反対側で見せつけられることがあるから。家族信託も、そうした『制度利用者とその支援をする士業に困らされている人』の情報が入るようになってきつつあります。次のテーマはこれだよな、とあくまでも反対側で予感しているところです。

※逆に、手続きの利用を推奨する側では向こう何年か盛り上がれるんだと思います

債務整理についてはときどき免責に対する異議申立て書類とか作ったりその前提として同業者さんが作った破産申立書類の謄写を拝見していたりしますけど…それはもちろん依頼人がそういう申立てをすると自分で決めたから、ですから。

それ以外のいろんな手続きへの対抗措置についても依頼人が手続きと方針を決めたら地裁家裁への裁判書類作成で受託する、ってだけですから(遠い目)

抵当権抹消登記の完了が飲み放題500円程度には嬉しいわけ(東京福島出張7泊8日 3日目)

出張に出ているからといってその案件のみに関わっていられるわけではありません。当然ながらいくつかの仕事が出張とは関係なく進んでいます。

そのうちの一つが表題の件。今日の飲酒の理由ではあるのです。

昨晩確認したところ、この冬から依頼をうけゆっくりと進めていた抵当権抹消登記が無事に終わっておりました。

※実は法務局からの電話に怯えながら過ごしていたのですがそれは過去の話です

以下、理由です。

本件は判決によって抵当権抹消を目指す事案でした。

地元の同業者はバレたら業界誌に晒される水準の手抜きをして=昭和40年代に住所地番が変わったことは当然知ってるはずなのに変更前の住所に内容証明を送ったあとで供託して抵当権抹消を終えた、そんな休眠抵当権の設定者がいます。僕の依頼人はその設定者本人ではなく転得者にあたります。

上記の手抜きは稚拙だ、ということは戸籍謄本の職務上請求などしなくても変更後の地番で不動産登記を追跡すればわかってしまう、という状況なのです。抵当権者の相続人が健在だ、ということは実はわかる、と。

つまり休眠抵当権を抹消せねばならぬが供託による方法は不可、ということで正攻法=訴訟を起こして判決をとり、それを登記原因証明情報にして抵当権抹消登記申請をしようではないか、というご依頼をうけておりました。

このため、数年ぶりに簡易裁判所における訴訟代理権、ってやつを使ってみたのです。なにしろ請求の価額は数百円。戦前に設定された抵当権の債権額ですから抹消請求訴訟を起こす場合、訴状に貼る収入印紙代のほうが多い(笑)

そんなこともありましてこのプロジェクト、実費込み税込み総額10万円で受任してみたのです。抵当権者の相続人を調べる戸籍謄本代から訴状に添付する登記事項証明書代、代理人としての裁判所出頭に伴う日当交通費に今回の抵当権抹消登記に必要な登録免許税、当然ながら訴訟代理や登記申請代理の報酬まで含めてとにかく総額10万円ポッキリで抵当権を消し飛ばしてやろう、と。

訴訟代理もやる、と申しました。交通費も含む、と。
出頭先は愛知県ではなく愛媛県の、しかも松山の飲み屋でその街に仕事で行く/行ってきたというと『遠いねぇ』と感情を込めてお店の人からねぎらってもらえる、失礼ながらそうした立地の裁判所です。一回ではありますがそこまで行くための交通費も含んで一式10万円、なのです。

※今回の出張前半では意図的に依頼費用の話しを盛りこむようにしています

さらに、抵当権者は死亡しているのですが死亡前に抵当権が時効消滅しているという事案です。もしも裁判所が登記原因日付を判決主文に書いてくれない場合、抵当権者死亡にともなう抵当権移転の登記を計3回やらねばならん、という状況でもありました。

まずこれを免れる上申事項をちゃんと書くことができ、望み通りの判決で望み通りに抵当権抹消登記だけすればよくなった、というのが嬉しい点の一つめ。

ちなみにもし判決に登記原因日付が記載されない場合、抵当権移転の登録免許税●万●千円、が必要だったはず。
今晩使った飲み代の4回分!を節約できたのです。なんて嬉しいことでしょう。

次に実務書に書いてある情報のさらに先が未確認といえば未確認だった事案でもあるのです。

抵当権者が死亡し、その相続人を被告にする訴訟で欠席判決(いわゆる調書判決)をとったあとの抵当権抹消登記申請に際して、判決理由に『被告にした人たち以外に抵当権者の相続人がいないこと』が示されていたら抵当権抹消登記に相続証明書を別に添付する必要がないようだ、という下級審の裁判例が出たところまでは実務書に出ておりました。

ですので僕も、今回の抵当権抹消登記申請では抵当権者の死亡から相続を示す戸籍関係書類を(持ってはいますが)出さないで申請してみたのです。そうしたらちゃんと通った、というのが嬉しい点の二つめ。

さらに、これを一般的にする場合の記載事項を訴状作成の段階から工夫しておいたのです。

将来的にテンプレートを公開して一般市民が使えるように、ということで同業者さんには全然嬉しくない工夫ですがこれで大丈夫だと確認できたのが嬉しい点の三つめ。

被告欠席時に簡裁で取れる調書判決は、判決の理由として訴状の記載を援用されます。今回はなるべく一般的な表現を使って訴状を作ることにし、どんな表現で訴状を書いたら抵当権者の相続人が複数、相続の発生が複数回あっても大丈夫なのか、を確認できたのです。これがいちばん嬉しい点です。

これらの成果があとあとブログやウェブサイトで提供できる情報になる、というのも当然嬉しいことではあります。そうしたことがありまして、東京滞在最終日の今日だけは外に飲みに出ることにしました。カウンターのよく空いた宮崎地鶏のお店がありまして、昨日声をかけられてもいたのです。

1時間の飲み放題は丁度よい感じでした。明日は6時に宿を出るつもりです。

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