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カテゴリー「不動産登記」の記事

抵当権抹消登記の完了が飲み放題500円程度には嬉しいわけ(東京福島出張7泊8日 3日目)

出張に出ているからといってその案件のみに関わっていられるわけではありません。当然ながらいくつかの仕事が出張とは関係なく進んでいます。

そのうちの一つが表題の件。今日の飲酒の理由ではあるのです。

昨晩確認したところ、この冬から依頼をうけゆっくりと進めていた抵当権抹消登記が無事に終わっておりました。

※実は法務局からの電話に怯えながら過ごしていたのですがそれは過去の話です

以下、理由です。

本件は判決によって抵当権抹消を目指す事案でした。

地元の同業者はバレたら業界誌に晒される水準の手抜きをして=昭和40年代に住所地番が変わったことは当然知ってるはずなのに変更前の住所に内容証明を送ったあとで供託して抵当権抹消を終えた、そんな休眠抵当権の設定者がいます。僕の依頼人はその設定者本人ではなく転得者にあたります。

上記の手抜きは稚拙だ、ということは戸籍謄本の職務上請求などしなくても変更後の地番で不動産登記を追跡すればわかってしまう、という状況なのです。抵当権者の相続人が健在だ、ということは実はわかる、と。

つまり休眠抵当権を抹消せねばならぬが供託による方法は不可、ということで正攻法=訴訟を起こして判決をとり、それを登記原因証明情報にして抵当権抹消登記申請をしようではないか、というご依頼をうけておりました。

このため、数年ぶりに簡易裁判所における訴訟代理権、ってやつを使ってみたのです。なにしろ請求の価額は数百円。戦前に設定された抵当権の債権額ですから抹消請求訴訟を起こす場合、訴状に貼る収入印紙代のほうが多い(笑)

そんなこともありましてこのプロジェクト、実費込み税込み総額10万円で受任してみたのです。抵当権者の相続人を調べる戸籍謄本代から訴状に添付する登記事項証明書代、代理人としての裁判所出頭に伴う日当交通費に今回の抵当権抹消登記に必要な登録免許税、当然ながら訴訟代理や登記申請代理の報酬まで含めてとにかく総額10万円ポッキリで抵当権を消し飛ばしてやろう、と。

訴訟代理もやる、と申しました。交通費も含む、と。
出頭先は愛知県ではなく愛媛県の、しかも松山の飲み屋でその街に仕事で行く/行ってきたというと『遠いねぇ』と感情を込めてお店の人からねぎらってもらえる、失礼ながらそうした立地の裁判所です。一回ではありますがそこまで行くための交通費も含んで一式10万円、なのです。

※今回の出張前半では意図的に依頼費用の話しを盛りこむようにしています

さらに、抵当権者は死亡しているのですが死亡前に抵当権が時効消滅しているという事案です。もしも裁判所が登記原因日付を判決主文に書いてくれない場合、抵当権者死亡にともなう抵当権移転の登記を計3回やらねばならん、という状況でもありました。

まずこれを免れる上申事項をちゃんと書くことができ、望み通りの判決で望み通りに抵当権抹消登記だけすればよくなった、というのが嬉しい点の一つめ。

ちなみにもし判決に登記原因日付が記載されない場合、抵当権移転の登録免許税●万●千円、が必要だったはず。
今晩使った飲み代の4回分!を節約できたのです。なんて嬉しいことでしょう。

次に実務書に書いてある情報のさらに先が未確認といえば未確認だった事案でもあるのです。

抵当権者が死亡し、その相続人を被告にする訴訟で欠席判決(いわゆる調書判決)をとったあとの抵当権抹消登記申請に際して、判決理由に『被告にした人たち以外に抵当権者の相続人がいないこと』が示されていたら抵当権抹消登記に相続証明書を別に添付する必要がないようだ、という下級審の裁判例が出たところまでは実務書に出ておりました。

ですので僕も、今回の抵当権抹消登記申請では抵当権者の死亡から相続を示す戸籍関係書類を(持ってはいますが)出さないで申請してみたのです。そうしたらちゃんと通った、というのが嬉しい点の二つめ。

さらに、これを一般的にする場合の記載事項を訴状作成の段階から工夫しておいたのです。

将来的にテンプレートを公開して一般市民が使えるように、ということで同業者さんには全然嬉しくない工夫ですがこれで大丈夫だと確認できたのが嬉しい点の三つめ。

被告欠席時に簡裁で取れる調書判決は、判決の理由として訴状の記載を援用されます。今回はなるべく一般的な表現を使って訴状を作ることにし、どんな表現で訴状を書いたら抵当権者の相続人が複数、相続の発生が複数回あっても大丈夫なのか、を確認できたのです。これがいちばん嬉しい点です。

これらの成果があとあとブログやウェブサイトで提供できる情報になる、というのも当然嬉しいことではあります。そうしたことがありまして、東京滞在最終日の今日だけは外に飲みに出ることにしました。カウンターのよく空いた宮崎地鶏のお店がありまして、昨日声をかけられてもいたのです。

1時間の飲み放題は丁度よい感じでした。明日は6時に宿を出るつもりです。

非代理案件で用いるQRコード付き商業登記申請書作成代行に関する考察

当ブログにはここ15年間で2900件余の記事を公開していますが、商業登記に関するものは初めてかもしれません。なにしろカテゴリーにも、『不動産登記』は設けていますが商業登記はない(苦笑)

今年は創業以来初めて、年間の商業登記申請書類作成受託件数が4件に達することになった(まだ到達していない)ことでもありますし、商業登記の話題です。

同業者さんを呆れさせるか困惑させるであろう、表題の件。まずオンライン申請を常用されておられる諸先生方は読者層からはずれます。

書面申請に徹する古風な諸先生方も、実は読者層からはずれます。実はこの記事、同業者向けにはならないだろうと考えているところです。

さて、先頃受託した今年3件目の商業登記申請では、お客さまは管轄法務局と同じ区内に住んでおりました。

僕はその法務局から350kmほど離れたところに住んでおります。

原本還付を要する添付書類はなく、いくらなんでも(僕でも)補正にはなるまい、という申請類型。ただ、少し申請を急ぎたい、というご意向が示されています。

あと、僕のところでは登記申請にオンラインは使っていません。司法書士さん用の電子証明書、持ってません。

その点では僕も書面申請を旨とする一派に属するものの、コンピュータを扱うのは好きだ、というところにゆがみが生じています。そこで。

このご依頼、僕が代理してしまったら委任状の動きはお客さま→当事務所→法務局、という流れになります。

なら代理なんてしなきゃいい(暴論)

えぇ司法書士法第3条を久しぶりに眺めますと、同条第2項では『法務局に提出し、または提供する書類または電磁的記録(中略)を作成すること』が司法書士の業務として挙げられています。代理じゃなくて。

ちなみに登記供託の代理は第1項、ということでこれは普通の司法書士さんの関心順に並んでいる条文なのかもしれません。

紙の登記申請書も、登記申請に関しては電磁的記録も作っていい、ということを確認してさらに考えます。

司法書士さん用の電子証明書を持たずオンラインで登記申請しない僕でも、法務省謹製の申請用総合ソフトでQRコード付きの登記申請書を作れることは承知も活用もしています。

これは申請データを申請用総合ソフトから電子的に送ってしまい、でも電子署名は付与しない代わりに法務局にデータを送ったことがわかるQRコードの付与を受け、それと申請事項を印刷した登記申請書をオンラインではなく紙での申請の一種として提出する、というもの。法務局側ではQRコードの方を読んで送信済みのデータにアクセスし、たぶん登記申請の処理はオンライン申請(申請に供するデータは電磁的記録として法務局に送られている状態)と同様にやっていく、ということなのだろうと推測しています。

言ってしまえば法務局側は便利なんだろうねよかったね申請の処理もちょっとだけ速くなるかもね、というもの。

申請人側にはメリットがあるかどうかはさておきます。
同業者さんのなかにはちょっと辛辣なご意見をお書きのかたもいらっしゃるようです(笑)

このQRコード付き申請書、司法書士が登記申請を代理しない状況下で当該司法書士が付与されたアカウントから作成提出していいのかよくわからない面がありました。

ソフトとしては作成可能なのです。代理人欄を空白にし、申請人欄で代表者さんに会社印を押してもらえばよいわけですから。

司法書士法上も、条文上は問題ないことは確認できています。

あとは申請用総合ソフトと法務省様のオンラインシステムの利用に関する規約で、『他人の登記申請のために自分のアカウントを使わせてはならない/自分が申請人にならない登記申請書を作成してはならない』などといった規制がないかどうかですが…

ない、ようなのです。

より具体的にいいます。A株式会社が僕に目的変更の登記申請書の作成を依頼しました。僕は登記申請を代理せずにA株式会社(の代表者)が申請手続きを進める想定で、登記申請書と付属書類の作成のみを受託します。この際、登記申請書はQRコード付きのものを僕のアカウントで僕が作ってよい、ということです。

当然ながら、作った登記申請書の2ページ目には僕の職名を記して職印を押すことはするのです。アナログばんざーい(笑)

で、そうすると。

お客さま=会社代表者はそうした申請書一式を、あくまでも本人申請というかたちをとって法務局に持ち込みます。法務局は特になにかいうでもなくこれを受理します。

つまり、お客さまから当事務所への委任状の流れをカットできます。
僕が作成した(法務局へは送信済みの)登記申請書類をいきなりお客さまのところに送り、お客さまはそれを法務局にハンドキャリーすればいいわけです。

で、翌日。登記申請が完了になった旨のメールは、僕のところに入ってきます。お客さまが知るよりも早く。

※ちなみに、同時期の通常の商業登記完了予定日は申請提出から1週間後。ちょっと凄い処理速度ではありました。

この手続終了の連絡を僕が受けてはいけない、という規定も関連法令にはないので、あとはお客さまとの業務委託契約書に『申請完了および補正の指示は当事務所が受けることがあり、依頼人はそれに異議を唱えてはならない』といった文言を加えておけばこの問題も完全にクリアできる、ということになりましょう。

今回は商業登記での話ですが、不動産登記のほうでも全く同じ論理でQRコード付きの登記申請書の利用が、登記申請を代理しない案件でも可能、ということになるはずです。というより論理上、そうならねばなりません。

なんでこんなことをやって嬉しいのか、といいますと。

いま関わっている山林・林業界への相続登記義務化の影響の最小化を視野においています。上記のやり方が可能だと、たとえば森林組合が一つ申請用総合ソフトのアカウントをとっておけば組合員によるアカウントの使い回しは可能だ、ということになります。

ただし森林組合さんは登記申請書の作成代行は不可、あくまでも申請データは各組合員が森林組合備え付けのPCから入力することになりますが。

もう一つは、この申請を僕が=当事務所が受ける場合。なんらかのRPAのシステムと組み合わせたら相続登記申請書作成が1件5千円ぐらいで受けられるのではないか、と思ってしまったのです。先行する同様類似のサービスと同額かそれより安くでき、さらに司法書士事務所がサービス提供者なら依頼人のほうで支障が発生してもただちに相談なり書類作成なりで介入してしまえばよいわけで。

もう少し過激な言い方をすると、あの相続人申告登記(仮称)ってやつも申請データが申請用総合ソフトから送れるようになるはずだから、そうなったら一ロット最低100筆くらいでの受託を条件にして1件1000円、とかそういった価格設定にできないもんかな、と思っているところなのです。

そういう状況で受託する場合、いちいち電子証明なんて付与するのは作業行程として馬鹿臭い(申請の真偽や迅速さを争う人がいない場合、この工程は純粋に時間がかかるだけ=不要と思える。ならPythonで制御するロボットアームを使って紙の申請書に職印押させたほうがまだよさそう)、別の方法で本人確認さえちゃんとできていれば委任を受けるまでもない、と思えてしまうのです。

でもシステム上、代理はしない僕のところに申請完了のメールがくるなら、それはとっても丁度いい、ということになりそうな…気が、するのです。

以上、発想として未整理ですが技術的に代理するまでもない登記申請を迅速簡便大量に実行できるとしたら、特に添付書類の郵送が不可避な状況下においては、実はQRコード付登記申請書による紙申請の活用が最適なのではないか、というお話でした。

では最後にもう一度。

アナログばんざーい。印鑑ばんざーい(失笑)

 

それは売買なのか?(と思うのは僕だけ?)

最近少しずつ増えてきた妙なサービス。いらない土地を引き取る、というものです。県外の実家とか原野商法の跡地とか、残念ながら山林などが扱い物件の例として挙げられています。

確認したかぎりでは不動産業者さんに加えてなんと税理士さんが運営しているサービスもあり、どうやら司法書士は直接手を染めてはいなさそう。今後もそうかどうかはわかりませんが。

システムはだいたいこんな感じです。

  1. 現状有姿で土地売買の契約を締結し、登記上の名義は元の持ち主から引受業者に移転する登記を行う
  2. 移転前後に持参金といいますか、土地を手放したい人から引受業者に金を払わせる
  3. 引受業者は受け取った金でしばらくのあいだ固定資産税を支払う(らしい)

持参金付きで土地を引き取って貰う、というのがミソです。

たとえばこのサービスの背後にいるのが反社さんなら(という想定も酷いですがそのままお聞きください)
思い通りにできる誰か=飛ばしの携帯や銀行口座を売りたいところまで行ってしまった人を適当に見繕って代表者にして適当な一般社団法人を設立してこの事業を適当かつ大々的に展開して、社団法人が受け取ったお金は適当に没収して代表者には適当に消えて貰う、
そんなことを考えつくのは一瞬だよ、と思えてなりません。

ちなみにウェブサイトを回ったところ、上記の土地処分で元の土地の持ち主が用意すべき持参金は10万から50万くらい、といったところ。年に何件か受託できれば、ダミー法人の一つや二つ作ったって十二分にペイする金額です。

さて、そんなサービスにも司法書士は、関与はしているというのです。もちろん登記で。

土地所有権放棄のサポートを標榜する、あるウェブサイトには『持ち主様には司法書士から送られてくる委任状に署名捺印して返送していただければ登記が終わります。司法書士の費用は通常7万円のところ6万円』などと書いてもあります。

僕なら立会を伴わず売買契約書が用意済みの土地所有権移転登記申請代理の司法書士報酬…土地1筆で税別23000円なんですがそれはさておいて。

やっかみ半分どころか95%以上、ということをご了解いただいて本文を続けます。
今年は、売買による所有権移転登記はまだ1件しか受託しておりません(わらうところ)

登記義務者の本人確認なんかしない、と宣言しているに等しいそのウェブサイト&提携司法書士のやってることを、裁判書類作成業務にどっぷり浸かった司法書士として分析してみたくなったのです。

ただし、やっかみ半分どころか95%以上、というバイアスはかかっています。ご同業の皆さまにはどうぞ笑ってお読みください。

こうした民間による負動産放棄支援サービス(失笑)では、ほとんどの場合土地の元の所有者から土地の引き受け側に金が流れます。通常の売買とは真逆の方向にお金の流れが生ずるのです。

当たり前といえば当たり前ですが、そうでないと引き受け後に発生する不動産取得税・固定資産税負担に耐えられません。

一方で名目上は土地引き受け側から元の所有者にちょっぴり(1円とか1000円とか)お金が渡されて、それをもって両者は土地売買契約を締結した、というのです。

当然、所有権移転登記の登録免許税率も『売買』による税率→贈与よりちょっと安い、評価額の1.5%が適用されます。贈与なら2%。

でも。
月給70万円後半の銀座のホステスさんから月給10万円台前半の四日市の大工さんまで多種多様な人の業務委託契約準委任契約請負契約等々を裁判所で破壊して(好きで壊したわけじゃないですが…解雇予告手当や残業代が欲しかったんですわ)労働者性を認めさせてきた僕としては、本件もあくまで契約とその履行の全体を見たいのです。

本件、負動産放棄支援サービスの提供業者(甲)が元の土地所有者(乙)と交わす契約は二つあるはずなのです。

  • 一つは売買。甲→乙に、たとえば100円の売買代金が渡されます。それと引き換えにほぼ無価値な土地所有権が乙→甲に移転します。
  • もう一つは、別の何かの契約。乙→甲に、たとえば20万円のお金が渡されます。名目は調査料でもなんでもかまいませんが。売買代金とはされません。

さて。そうすると。本件において財産の流れは

  1. 甲→乙 現金100円
  2. 甲←乙 無価値な土地
  3. 甲←乙 現金20万円

となるわけです。すべての契約を俯瞰すればそうなり、これらのどれが欠けても甲と乙は決して契約関係に入らない、のです。

そろそろ民法の条文を引っ張り出してきます。当ブログでは久しぶりな気もしますが。

同法555条では売買契約とは、本件に照らせば

  • 乙が甲に土地の財産権を移転し、
  • 甲がこれに代金を支払う契約、

ということになります。

でも、上記で三つ並べた矢印を整理すると、結局

  • 甲←乙 無価値な土地
  • 甲←乙 現金19万9900円

となって…つまり、乙が甲に19万9900円の対償を支払って無価値な土地の引き受けを依頼する契約となって、甲乙間の契約は売買契約にはなりえない、と思えるのです。

強いて言えばこの契約、売買でないなら負担付き贈与、でしょうか。

甲は理由がなんであれ引き取った土地を乙に返還しない義務を負い、その代わりに土地とお金を無償で貰っている、と。

完全に塩漬けになる土地ならこの負担付贈与で、転売可能ならば…脱法的信託あるいは委任、でしょうかね。甲は乙に代わって買主を探し、さっさと売り払え、という趣旨の契約で、土地は先に所有権移転してしまい報酬19万9900円も乙が甲に先払いした、そうとも言えます。

いずれにせよ甲と乙の契約の実質は売買ではないのです。絶対に。

そうすると、こうしたサービスに関わって登記原因を売買として所有権移転の登記をするのは司法書士としては危険、とも思えてきます。
少なくとも労働紛争労働者側で働いてはいけないな、経営側でもダメだ、とも。

まぁ、もうひとひねりすれば。
ダミーの法人を二つ作り、一つの法人は現金を調査料なり相談料なりの名目で受け取って、もう一つの法人では土地を引き取って、と言う形にして、さらに双方の法人で代表者を全くの他人にしてしまえば…当分はバレないだろうな、とも思えます。

反社さんならこのくらい、楽にクリアできるだろうな、とも。

一般人の方々には、こうしたサービスに安易に関わってはいけません、という趣旨でこの記事をお読みください。

同業者の皆さまには、当事務所における売買による所有権移転登記受託実績が業界平均の約100分の1とか、そういうやっかみ半分どころか95%以上の思いを込めた記事としてお読みいただければよろしいかと存じます。

最後に一つ悪い冗談を追加するとしたら。

もしこのブログで挙げたような負動産の引き受けサービスをする法人が破産して。
もし破産管財人が僕だったら『これは売買を仮装した不正な契約であり、公序良俗に反して無効だ』とかなんとか言って土地を片っ端から元の持ち主に突っ返し、破産財団を身軽にしちゃうかもしれません。で、同時に発生する持参金の返還義務は当然のように踏み倒す、と。だって破産するわけだから(笑)

悪すぎる冗談はこのくらいにしておきましょう。

冗談かどうかは微妙なんですが、来月は売買の登記の依頼があるらしいのです。今年2件目の。

自主規制しつつ利用開始する新サービス-さらなる調査能力の向上を目指して-

今日の記事の読者は極めて限定されます。同業者さんのごくごくごく一部=非定型的裁判事務にクビまで浸かった方と債権回収のために本人訴訟を進めておられる方のごくごくごく一部…当事務所が受託すると決めた人に向けてお送りします。

当事務所ではここ10年ほど、東京商工リサーチのTsr-Van2を利用して『役員名による法人の検索』を、限定的ながら可能にしておりました。

これはどうしようもない社長による賃金踏み倒しその他の詐欺的行為への追及に非常に大きな効果を発揮しており、このほど当事務所では法人格否認の法理によって社長の個人責任を認めさせる判決を得たところです。

超簡単に言うと、社長の名前をインプットしただけでそいつが作り散らかしたダミー会社がごろごろ発見される、そういうサービスの恩恵にあずかっている、と。これは公式な登記制度=法務局が出す登記事項証明書や登記情報提供サービスにはない機能なのです。

で、今日。

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当事務所もようやく、登記簿図書館のサービスを利用開始できることになりました。

このサービスは、利用者(当事務所)と民事法務協会提供の登記情報提供サービスのあいだに介在しています。当事務所が登記簿図書館を通じて登記情報提供サービスから登記情報を取った場合、そのデータは登記簿図書館にも蓄積される(で、他の利用者もこのデータを検索・取得できる)ことになります。

そうした仕組みによってちょっと安く登記情報が手に入れられるというのが売りですが、僕はそこにはあまり注目しません。

そうやって登記簿図書館に長期に膨大に蓄積された法人・商業・不動産の登記情報から、所有者や役員などの個人名で該当する法人や不動産が検索可能になる、というのがこのサービスの偉大なところなのです。昔は見ただけで鼻血が出るような高額な基本料金でしたが今はなんと、基本料金無料。

ある弁護士さんのブログによれば、このサービスはテレビによく出演する同業者がどんなところに別荘持ってるかを覗き見るなどのゲスい目的でよく機能する、のだとか。う~ん、ゲスい。納得したけど(笑)

僕のところでは使い道は2つあります。一つは責任追及中の対象者について、どんな法人に関与しているか=氏名から役員になっている法人を探す作業。そしてズバリどんな不動産を持っているかを、氏名から探す作業。

もちろん同姓同名の可能性はありますが、不動産登記で氏名からの検索ができることの効果は文字通りはかりしれません。このサービス、個人では士業のひと以外に契約できないということですので当事務所の個人客ご一同様には楽しみに待っててくれ、と申し上げます。

もう一つは。

登記簿図書館のサービスの流れを概観するとヒントがあります。このサービスを通じて登記情報を取ってしまうと、かならず登記簿図書館に登記情報が残り、それが他の登記簿図書館利用者から検索可能になるわけです。氏名で。

つまり当事務所の依頼人を守るため=第三者がみだりに僕の依頼人を氏名で検索可能な状態を作らないためには、登記簿図書館のサービスを使うべきでない、ということになります。より具体的には、不動産登記の完了後の確認で登記情報を取得するときには登記簿図書館を経由してはならない、と。

その逆はどうか、と考えてしまったのです。

かつて当事務所では、競合または利害対立する弁護士さんに流す情報を操作しながら投資詐欺の親玉になった社長への責任追及を誘導する、といったミッションに関わったことがありました。そのときにも活躍したのが、役員名で会社が探せるTsr-Vanのサービスだったのです。このサービスを使っている、というより役員名で会社が探せる能力がある人が僕しかいなかったので結果として僕と僕のお客さまが背後で弁護士さん達を操ることになった、そんな事案がありました。

言い換えます。他の人たちが検索できる可能性を高めたい人=ワルいことしてる人!の会社や所有不動産を探索するときには、積極的に登記簿図書館のサービスを経由して登記情報を取得したらいいのかもしれません。そうすれば他の方々も、相手方当事者の名前でいろんな情報を得やすくなるはず。あの社長のあの会社やあの被告のあの建物なんかを今後は意図的に登記簿図書館経由で情報取ることにしてみようか、といった使い方がただちに考えつくわけで…これまたゲスい(苦笑)

とは申せこのサービス、何年か前から東京都弁護士協同組合の特約店になったとか。
想定される使い方はさておいて、そう怪しいものではないという外形を持つに至ったのが今回当事務所が契約に踏み切った理由です。

そんなわけで、使用感を聞いてみたいという方にはちょっとご連絡ください。もちろんリピーターの方、またはすでに依頼中の方に限りますが。

4月1日にふさわしい話題を探す件

まずは同業者さん=司法書士さん向け。

今年も!商業登記のご依頼が来たんです!

…あ、これはウソじゃなくてウソのようなホントの話だ、当事務所では(苦笑)

来年1月に出す業務報告書に商業登記2件をカウントできることに感謝して、次。

社労士さん向け。

そんなことやったら関与を打ち切るぞ、と言い放ってみた。
もちろんここでは、経営側。

…あ、これもウソじゃないか(失笑)

当ブログを先月から続けてお読みの皆々様には僕が先月注意勧告をもらったことをご承知のはずですが、僕は普段の執務ではかなり厳しいのです。

片手の指で数えられる経営側社労士としての関与先にそんなこと言っていいかどうかはさておいて、忠告は受け入れられたようです。次の話。


突然お便り差し上げる無礼をお許しください。このたび貴殿に対し、訴訟を提起することになりました。ついては略儀ながら、本書を呈上します。わたくしは原告の代理人で、鈴木慎太郎と申します。

…そんな手紙を起案しています。これを平和に暮らしている普通の人たちに4月1日付で差し出すのはちょっとどうか、と思えているところなのです。

例によって戦前に設定された休眠抵当権を大真面目に抹消しよう、訴訟で、という話しです。

結論から先にいうと、自分たちのお祖父さんが90年前に何やったかなんて知るよしもない相続人を相手にして抵当権設定登記を抹消するには
訴訟が一番ラクなのです。抵当権者の相続人の皆様方にとって。

相続人を調べても見つからないふりして供託=法務局にお金を預けて抵当権設定登記を消し飛ばす、司法書士も依頼人も楽だけど見つかればもれなく業務停止処分、という不正を選択肢から外した場合、現行の不動産登記法を前提とすれば実はこう言わざるをえません。

このほかの選択肢として、抵当権者の相続人が全員裁判外で協力する意思を固めた場合には彼ら全員から印鑑証明書を徴求して法務局から本人確認郵便で事前通知を送らせてそれを受け取って送り返してもらって、ということも可能ですが…

面倒なはず(苦笑)

これに対して訴訟にした場合は、単に裁判所から送られてくる(本人限定受取郵便ですら、ない)訴状をご自宅で1回お受け取りいただくだけで結構です。気が向いたら答弁書をお出しいただいてもかまいませんが、正直なところそういうことをしないでいただけると裁判所も原告代理人も仕事が楽になります。なお、もし事実と異なることを主張して争われた場合には実力で勝訴判決を勝ち取り交通費出頭日当を含めた訴訟費用を請求させていただくことがございますので当職が起案する抵当権抹消登記請求訴訟の訴状では、訴訟費用は被告の負担とする、というお約束の請求を訴状から削りません…

みたいな連絡文書を作っているんです(あ、灰色部分は書いてませんが世の中善人ばかりではないので、休眠抵当権の抹消登記請求とはいえ訴訟費用負担であえて提訴時に譲歩する必要はないと僕は考えます…あれはきっと、当事者を敵味方に分けて派手に争う訴訟をやらないでも暮らしていける幸せな担当者の発想です)

再びお話しを戻します。
つまり僕や依頼人は、不正をせず合法的に可能な選択肢のなかから相手にとっていちばん負担の少ないものを!あえて!選ぼうとしているわけです。

正当性を主張するほど怪しくウソくさくなってくる、というのはどうしようもない訴訟のひとりよがりな被告さんを見ていても時折実感させられますよねぇ(嘆息)

そうは言っても原告の心被告知らず、というべきでしょうか。いきなり訴状が飛んできたら何の罪もない被告さん達も驚くだろうから事前に挨拶状の一つも送っておこう、ということであれこれ文書を起案しているのです。

もちろんこれもテンプレート化して公開する思惑で、ですが。

ただこの文書、何をどうやっても『これからあなたを訴えますから/無駄な抵抗しないでください』という内容にならざるを得ません。
丁寧に書けば書くほど振り込め詐欺一歩手前な感じがしてきます。

『民事訴訟の世界へようこそ』とか『はじめて訴えられた方へ -被告Q&A-』とかそういう別文書をつけようか起案したものの、ますます怪しくなるのは一体どうしてなんでしょう。いくつか寄せられそうな質問には回答しておくつもりなんですが、優しいのか怪しいのかよくわからんな、とは思えているところです。

少なくとも、ウケ狙いなタイトルはつけないほうがよさそうです。上記のような。

農林漁業金融公庫融資の抵当権抹消登記:抵当権設定者に相続発生後、転得者が抹消申請する場合の登記原因証明情報

この週末は仕事の本をまとめて1万円ぶん買い込みました。Yahoo!とLINEの資本提携がどうこう、とのことでYahoo!ショッピングで派手にポイントをばら撒いているのです。

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…あ、仕事の本ですよ仕事の。何を仕事にしようとしているかはさておいて(笑)

仕事の話しをします。タイトルがやたらに長いのですが、表題の件。探したのですがネットに情報を放っている人がいないので、書き置くことにしました。

守秘義務に反しないよう、事実関係を改変します。

当初の農地の所有者は豊臣秀吉さんです。昭和40年に農林漁業金融公庫から融資を受けました。

たぶん太閤検地のやり残しかなにかがあったのでしょうね。
公庫は構造改善事業の一環かなにかだと考えて融資に応じたと。ここで問題の抵当権設定登記を経由しました。

※もちろん冗談です 決して本気になさらないでください

昭和60年に融資は完済されました。その後抵当権抹消登記の手続きを取ることなく相続が発生し、法定相続人の一人である豊臣秀頼さんが農地を相続します。この相続登記が平成30年に完了しました。

農地の一部は長年の口約束で知人の徳川家康さんが耕作しています。昨年ようやく農業委員会の許可がでまして徳川さん名義に所有権移転登記が完了したのです。両者のあいだには大阪冬の陣・夏の陣などちょっとしたゴタゴタもあり、抵当権設定登記が抹消されないままで相続→売買による所有権移転登記が先行した、そんな経緯がありました。

※もちろん冗談です 決して本気になさらないでください

で、僕が家康さん秀頼さん(抵当権が設定された土地の一部は豊臣秀頼が引き続き所有している)からご依頼を受けた、そんな状況。取り扱い店であるJA某県信連から発行してもらった登記原因証明情報は、以下のようになっていました。


1 登記申請情報の要項

 (3)当事者 権利者(甲)

         義務者(乙)

 ※甲と乙はそれぞれ空欄といういつもの構成です。不動産の表示欄も空欄です。

2 登記の原因となる事実または法律行為

 甲は乙に対し、昭和60年1月1日、本件抵当権の被担保債権全額を弁済した。

 ※この欄、行数としては1行程度の余白を経て日付・宛先法務局等の表示に続きます


さて。訂正印などという贅沢なものは当然打ってありません。この文章と空欄をなんとかして抵当権抹消登記の申請を通さねばなりません。

甲に抵当権抹消登記申請書記載の権利者たる徳川家康&豊臣秀頼、乙に農林漁業金融公庫から権利義務を承継した株式会社日本政策金融公庫、と書いたら登記申請代理人としてもれなく即死できる、というところまでは僕でも考えつきます。

昭和60年に被担保債権全額を弁済したのは豊臣秀吉さんだから。

そうやってみるとこの登記原因証明情報は随分困った作りです。令和3年におこなう登記申請に際して権利者と呼ばれる人間と昭和時代にお金を返していまこの世にいない人間がどうしてもリンクするような書きぶりになってしまっている。これが登記の原因となる事実として『債務者は抵当権者に対し~全額を弁済した』と書いてあったならまだよかったはずですが。

おさらいします。

令和3年に行う抵当権抹消登記としては、権利者は本件土地の転得者である徳川家康さんと、引き続き一部土地を所有している豊臣秀頼さん。義務者は日本政策金融公庫である、と。あくまでも登記申請の当事者としてはそうならざるを得ません。

でも登記の原因となる事実としては『豊臣秀吉は、農林漁業金融公庫に対し~被担保債権全額を弁済した』わけです。たとえ徳川方が自分に有利な史実を作ろうとしてもこの事実は変わらない、と。

そう読み取れる登記原因証明情報を、上記の欄を穴埋めして作らねばなりません(苦笑)

で、考えた結果。当事者欄にまず小細工を施しました。住所や本店所在地は実際には記入しています。


       (昭和60年1月1日当時の抵当権設定者)
権利者(甲) 豊臣秀吉
       本件登記申請の権利者は不動産の表示欄のとおり

      (被承継法人 農林漁業金融公庫)
義務者(乙) 株式会社日本政策金融公庫

こうやっておいて、不動産の表示に書いた土地の末尾に徳川家康さんや豊臣秀頼さんの現在の住所と氏名を書き添えたのです。今回の抵当権抹消登記では土地が複数、その所有者=権利者も複数おりますので、不動産の表示は次のようになりました。

(4)不動産の表示

 所在および地番 名古屋市緑区鳴海町字長田 932番の1

 地目および地積 田 600㎡

(上記不動産につき 権利者 東京都千代田区千代田1番1号 徳川家康)

 所在および地番 名古屋市緑区鳴海町字長田 932番の2

 地目および地積 田 300㎡

(上記不動産につき 権利者 大阪府大阪市中央区大阪城1番1号 豊臣秀頼)


秀頼生きてるのかよ大阪夏の陣あったんだろ、とか名古屋市の農地を大阪の人から東京の人が取得できるもんかよ農地法3条の許可下りねーぞ、といったツッコミは無しにしておいてください。この説例の正確さには影響しません。

説明に戻ります。
少々無理はあるのですが、登記原因証明情報の当事者欄に記載する『』はまず豊臣秀吉だ、という構成にしています。そうでないと登記の原因となる事実欄に出てくる『甲は』という文章につながらなくなります。

ただ、登記原因証明情報には登記申請上の権利者=現在の土地の所有者も書かねばなりません。ですので『当事者欄に書いたことにする』ために、権利者欄には『不動産の表示のところに書いたのが権利者だ(そう読んでくださいお願いします)』と読める言い訳を添えてみた、と。

登記の原因となる事実の欄について、秀吉から秀頼への相続や秀頼から家康への土地売却等の経緯は一切書く必要はありません。

これも落ち着いて考えれば当然で、豊臣秀吉が借りたお金を全部返せば抵当権は自動的に消えるわけですから。
抵当権が消えた後家康が豊臣家を裏切っても関ヶ原で合戦やっても大阪城を焼き払っても、抵当権抹消の登記には特に関係ないのです。

もう一つ、問題がありました。当事者欄に記載する豊臣秀吉さん(故人)の住所ですが、債務の弁済をした昭和60年当時の住所と登記情報から読み取れる住所が一致しない土地がいくつかあったのです。

ひょっとしたら不整合を指摘されるかと思っていた(が、この方が住んでいた素敵な自治体は戸籍電子化前の改製原付票を廃棄しない日本有数のラストリゾートの一つである関係上、法務局から補正指示をくらっても即死はしないと思ってもいた)のですが、そこは不問のままでした。

以上のような記載で補正なく登記申請は通っています。
表題のような事実関係を経て、とってもノーマルな登記原因証明情報を貰ってしまった不運な方にはお役に立つ情報かもしれません。

説例が大げさなんじゃないか、という点はまぁ、そっとしておいてください。実際の相談でもだいたいこんな感じでやってます。

スタートで力んだわりに安楽な結論になりそうな休眠抵当権抹消請求訴訟作業分析

「まぁ頑張って、読んでみて」

先日もらった告知書の件ではありません。
苦笑気味の嘱託さんから冒頭の言葉とともに先週、某法務支局で渡されたのはコンピュータ化に伴う閉鎖登記簿のさらに前、手書きの細かーい文字で被担保債権の弁済条件が書いてある、移記前の登記簿の謄本です。なるほど頑張って読んだら最後の弁済期が見つかりました。どうやら当初の抵当権者が存命中に被担保債権時効消滅となりそうで、この場合は(判決の取り方をミスらなければ)相続を原因とする抵当権移転の登記は実施の必要がなくなります。表題の件。

戦前に設定され平成を乗り切って令和の御代に至るまで、絶賛休眠中の抵当権の登記があります。
これを正攻法で消そう総費用は実費込み10万円だ、という企画です。

抵当権者の相続人なんか見つからないふりして供託する便法を使ってみたくなるし別件でそうなさった別の同業者さんも確かにいます。

でも万が一バレたら本当に業務停止確定なんで(←冗談じゃなく、今の僕がやると本会が法務局に上げる懲戒処分の量定意見で累犯加重されかねないんで)もう完全に正攻法でこの抵当権を抹消しようではないか、ということです。

…あ、半分冗談です。バレようがバレまいが正攻法で抹消すればよく、僕はそうするというだけのことです。

登記簿から読み取れる戦前の抵当権者の住所と氏名を『本籍と筆頭者』にして除籍謄本の請求を、つまり住民票の請求など最初っからせず戸籍からアプローチしたら順当に除籍謄本が取れてしまい、結果として相続人が全員見つかった、これが前回までのあらすじです。

例によって数値は変えます。見つかった相続人は4名、いずれも抵当権者の孫、としましょうか。このほか死亡した相続人が5名。

これだけのデータを得るためにどんな工程があるか、を列挙していきます。なんでしたら加工/運搬/検査/停滞に分けて分析しても結構です、というと司法書士さん達が読者層から軒並み脱落、社労士さん達が残ったりするでしょうがあくまでもこれは登記と裁判の話しです。

与えられたデータは、ある不動産の登記情報とその乙区欄にある抵当権設定登記の抵当権者の住所氏名です。

運搬=職務上請求用紙を役所の窓口にハンドキャリーすることは考えない想定にすると、工程は

加工1:最初の職務上請求用紙を書く(抵当権者の住所氏名を本籍筆頭者として除籍謄本を請求し、存在するならその抵当権者について出生から死亡までの除籍・原戸籍・現在戸籍・戸籍の付票を全部取る)

加工2:市区町村役場住民課の宛名を書き切手を貼り返信用封筒にも切手貼付・住所記入する

加工3:用紙と定額小為替を封入する

↓ (定額小為替の購入とポストへの運搬はお買い物等の際に実施することにして、時間数は無視)

検査1:返送されてきた除籍謄本類の記載を検討し、次の請求資料を決定する(相続人の戸籍記録など)

加工1~加工3~検査1を反復(次の請求対象者分)

戸籍記録収集完了・停滞

こんな感じになりましょうか。個々の作業は1件あたり

  1. 登記情報取得:1分
  2. オンラインによる登記事項証明書取得 上記に1分(決済に要する時間)を加える
  3. 封筒作成:2分
  4. 職務上請求用紙の記入:5分
  5. 請求の理由が多い場合 上記に2分を加える
  6. 戸籍または不動産登記記録の分析:1分
  7. 手書きの場合 上記に1分を加える

これくらいの時間で済むことがわかりました。

時間を食うのは職務上請求用紙です。複写式で手書き、控えを残しておく必要がありちゃんと残さないと非違行為になって綱紀事案になって行政処分を受けて、という可能性に気をつけねばなりません(何か楽しそうに書いてる、と思われた方々には気のせいだとお答えしておきます)。この用紙は請求対象者の住所や本籍地/世帯主や筆頭者、といった一般の請求でも書くような記載事項のほか、具体的な請求の理由を書くことになっています。これが『所有権移転登記(原因:相続)/提出先:○○地方法務局○○支局』程度であれば5分で書き切って職印を押捺、完成とできるのです。が。

請求の事由が『依頼人が譲渡された土地に、請求に係る者の父が抵当権者である抵当権設定登記がなされている。この抹消登記請求訴訟を提起するため抵当権者の相続人を調査する必要がある。提出先:○○簡易裁判所』なんて感じになるとアッという間に2分プラス、なのです。

…世の同業者さんたちが戸籍謄本類の請求代行について一件1000円の報酬を設定することは、かなり正しいということがわかりました。作業時間1時間あたりの基準単価を6千円とした場合にはそう言うことができます。これは暴利でないので非違行為にならず綱紀事案にならず行政処分にもなりません(楽しそうではありますがくどいのでこの辺でやめておきます)

今回は孫の代までの探索に7枚の職務上請求用紙を手書きした、とします。郵送で請求したものはありません。

したがって7分×7枚=49分 これに集まった合計17通分の戸籍記録の分析時間と、そのうち手書きの戸籍記録が7通来たための作業時間加算を加えると24分、仮に郵送でこの手続きをする場合の封筒作成時間は14分/実際に窓口にいた時間は累計35分(この部分、大都市だと絶望的に長いはずですが)、しめて87~108分で抵当権者の孫の代の相続人まで追い切れた、ということに今回はなりました。

もう少し考えてみます。時間のかかる作業工程は職務上請求用紙の手書きです。

この用紙、控えをとっておくことは義務化されていますが手書きしろとか綴りはバラバラにするな、とは定められていません。

ですので思い切って、綴りをバラすことにします。まずRearrange。

-工場勤務の方には、ECRSの話しです-

そうしてしまえばA4判より若干縦に長い(306mmの)紙なので、あとはプリンタに不定形用紙サイズを登録して表計算ソフトに入力用テンプレートをつくってしまえば、作業をSimplifyできることになります。

印影もスキャンして記名と同時に印刷できれば捺印作業がEliminateされるはずなんですがそうやったら捺印じゃなくなる(非違行為になる)ためこのカイゼンは不可、ということになるでしょう。やりません。

請求の事由に定型文を用意するところまでもってこれれば、1枚3分程度短縮できそうには思えています。

相続人とその住所がわかった、ということは検査ならぬ検討工程を経て法定相続分もわかった、ということです。

あとは訴状と訴訟提起前の連絡文書を起案します。次回以降の記事に続きます。


さて、前回前々回の記事には早速複数のお客さまから反響をいただきました。お気遣いありがとうございます。

まぁ前回記事への印象は自分が紛争当事者になった経験があるかないかで随分違ってくるとは思います。
金融機関がくれる登記や登録済貸金業者相手の債務整理に邁進しておられる方、反貧困を自称してるけど判決を取る訴訟なんかやってない方、労働紛争でも退職代行だけやる方(←非弁だと思う)からみれば僕、怪しいことばかりやってる不良書士でしょうね。そう見られることも仕方ありません。

薄っぺらい正義や正当性のみを主張して道を踏み外すことは今後もしないつもりですが、そこから遠ざかろうとするほど葛藤や鬱屈と仲良くせねばならなくなるようで、あのような記事になりました。

そんな僕が無双だとは到底思えないんですがどうでしょうね、ITOさんにはお元気そうでなによりです。むしろ御社ではあなたが無双なのでは?(笑)

僕としてはITOさんの独立(でしょうか?)やトラブルシューティングのブログ開設を楽しみにしているところです。その際にはぜひお声かけください。

わたしはコレで休眠抵当権抹消登記請求訴訟の提起を余儀なくされました(登記名義人調査のもう一つの方法)

まず同業者さん向けのお笑いネタ。

森林経営管理法なる新たな法律が一昨年施行されました。業界紙にも少しでてきましたね。不明な林地所有者の調査を経て市町村が一方的に経営管理権(立木を勝手に伐採売却したうえ、所有者にはお手盛りな事業費をさっ引いた残金を供託すればそれで済む超絶物騒な権利と法律業界内でなら言えます。意欲と能力のある林業関係者の皆さま向けには本法施行に際して皆さまへの期待はおおきい、などと遠い目をして言わねばならない立場なのですがそれはさておいて)を設定できる凄い規定ができているのですが、この不明な所有者の調査、霞ヶ関から当初出たガイドラインでは登記簿上の所有者の子まで調査すりゃそれでいい、ということになっていました。

何人かの同業者さんが倒れ伏したり痙攣なさっておられるかと思います。凄いでしょう?
ただし批判のやり方を間違えると山林業界の団体や県市町村からのお仕事もらえなくなるかもしれない、ということで僕もそれなりに気をつけています。あくまでもここだけの話しですが、とオンライン受講者がいる講義で言ってみたり。

それと比べれば国交省が出している所有者不明土地調査のガイドラインはまだまし、なんでしょうか。ただ、あれも『まず住民票をとってみましょう』ってのはどうなんだろうと思います。法の下の平等を高級官僚に、私的財産権絶対の原則を振り込め詐欺犯に説かれるぐらいの違和感を感じる(苦笑)


だったら僕がどうしたか、というのが今日の話しです。
ここからは、たまたま僕の本や寄稿を見つけるなどいろいろな経緯で当ブログにたどり着いてしまった林業関係者さん向けになります。

当ブログの読者は、推測ですが労働紛争本人訴訟など個別の問題で検索にヒットした人やご依頼後も楽しんでくださるお客さま→受験生または同業者さん達→鉄道・旅行・戦史・家電品修理改造などの趣味的活動に関心をお持ちの平和な方々→林業関係者さん、の順に少なくなるかと考えております。それぞれの人を個別に狙ってウケを取りに行く場合、他ジャンルの読み手に話しが一切通じない危険性は重々自覚しているのですがこれはやむを得ないと考えてください。

ついでに言うと、林業関係者さんには僕が林業雑誌にしている寄稿とこのブログを比べると言葉遣いや態度が幾分異なるように見える点もやむを得ないと考えてください。あっちの寄稿先団体はご由緒が正しすぎます(笑)

当ブログの一応のコンセプトとして、守秘義務に反しない範囲で事務所内・相談室内での無駄話が聞こえたらこうなのか、というのを感じてもらえたらいいなと考えているところです。それをもって依頼先決定につながる情報提供になれば、とは思っています。このため講演相談契約書作成その他の行政協力をご依頼の際には、雑誌寄稿風と事務所内風のどっちのノリでいてほしいか明示的にご指定いただけると助かります。ちなみに後者を選んだ某自治体の担当者さんとは、上級自治体がばら撒いてる書式をこき下ろしながら酒を飲んだり(費用は一円単位で割り勘にしてます)我々の作業成果を逆に売りつけようかなどという話しをしたりもしていますがこれはあくまでも内々の冗談です。どこの県の話しかはもちろんヒミツです。

さて。新しい読者層の皆さまへのご紹介はこのくらいにして本題に戻ります。

登記簿から読み取れる昔の所有者の住所からいまの所有者あるいは相続人をどう調べるの?という話しでしたね。とにかく住民票とってみろ、というのは『とにかくやってみる』にはいいのですが…戦前から放置されている登記の名義人がこの世にいてくれるかどうかは微妙です。

見つからないことを期待したいという思惑もありそうだ、というのは森林経営管理法ばかりではありません。

新たにご依頼を受ける表題の件、数値を少し改変します。
お客さまが譲り受けた山林に、昭和5年に設定された抵当権設定の登記が残っておりました。債権額400円。

この休眠抵当権…というより、とうに弁済されて法律的には消滅しているはずの抵当権の残骸を消すには大別して二つの方法があります。これ以上の方法を解説するページはむしろウェブサイト作成者が何も考えずに日常使われない方法を羅列している可能性がある、と考えて除権判決やら弁済証書などという言葉は項目ごと見ないふりをしましょう(←というのは同業者向けでなく一般市民向けの説明だ、というのはご同業の皆さまに重ねてお断りしておきます。異なる読者層を意識し続けるのも楽じゃありませんね)。

第一に、『抵当権者が見つからなければ』登記から読み取れる債権額元本と利息や遅延損害金を国に供託してそれで登記を抹消できる、という方法。例外というか特例はこちら。
 利息と言っても単利で回るため、年利12%を100年放っておいても上記説例なら元利合計5200円(失笑)これを供託すればよいのです。世の中カネだ、とこの金額なら僕でも言えます。
しかし戦後に設定された抵当権の債権額だと、お金より大事な何かがあるなどと遠い目をして言いたくなってきます。

第二に、抵当権者またはその法定相続人をちゃんと全員調べて、協力を依頼するか訴訟を起こすかする方法。原則はこちら。

工数としては第一の方法のほうが少ないに決まってます。あからさまにそれを目指して行政処分を受けた事例も出ています。つまり不正だ、と。

では第一の方法所定の、抵当権者の所在が不明であること…とはどんな状態を指すのでしょう。調査担当者が力を尽くしても見つからないことをいう、程度の規定しかありません。法務局に出す(つまり、この方法での抵当権抹消登記申請に際して必ず製造取得せねばならない)書類としては、登記簿から読み取れる住所に出した郵便が宛先不明で返送されてきた封筒、だけなのです。調査法や基準は明示されていません。

実は僕がご依頼を受けた案件に関連して、同時期に設定されていた抵当権が上記第一の方法で抹消されたという情報は入っていたのです。
…というより登記事項証明書を見ればわかります。昭和4年に設定された抵当権が平成29年弁済、って理由で抹消されてるんだから。

おそらくその抹消登記を受託した方は、登記簿上の住所に内容証明郵便を送ったり住民票取得を試みて失敗した状態を作ったのでしょう。プロトコルどおりに。

ただ、その地区では昭和50年に国土調査による地番の変更があったのです。

それで昭和4年の住所に内容証明送って届いたら文字通りの奇跡だよ奇跡(冷笑)

で、僕がやった調査。住民票?それが取れたら奇跡だよ奇跡(冷笑)

最初に、除籍の謄本を請求しました。当たり前のように取得できました。

そこからは戸籍の記録を前後にたどって抵当権者の出生から死亡まで請求可能になり、さらに相続人全員が孫の代で生存が確認され、戸籍の付票で現住所もわかりました。

かくして『抵当権者が見つからない』という状態を作り出すことには首尾よく失敗し、表題の結論にたどり着いたのです。制度的には当然でして、そもそも戸籍制度が始まった明治時代には本籍と住所が一致していたわけだから、古い時代の登記記録記載の住所ほど本籍と一致しているのも当然なのです。

ちなみに、別件で手抜きの形跡を見いだした供託による休眠抵当権抹消登記。こちらも手抜きだと裏付ける調査が公開情報から可能でした。

抵当権者の除籍謄本を取れば普通に見つかったはずですが、もちろんこれはできません。ご依頼を受けた案件ではなく、僕個人が興味ある、というだけですので戸籍の記録をとるわけにはいきません。

国土調査を経て地番が変わった場合、法務局に変更前後の地番の対照表が備え付けられており、誰でも見られます。

抵当権者の登記上の住所をこの対照表で探し、変更後の地番で登記事項証明書を取ってみました。

そうしたらちゃんと、相続人さんが相続登記を終えてご健在でした…あはは(乾ききった笑い)

住所調査の手法として赤い字の部分に言及した人や官公庁自治体って林業界でいるのかしら?と思ってしまいますが、言ったらきっと立場が悪くなるとは思います。

所有者を調査する時にはこんなこと知らないふりをし、抵当権者や地上権者を探して登記抹消を求めるときには思い出したらいいのだろう、というのはここだけの話しです。

雑誌のほうでは『どちらも全力で探せるし、探せ』と書くようにしてます…不明所有者の調査は息子の代まで探せば終わりにできる、などと思っていた上級官庁の人のことなど知らないふりをして。

どうやらそのくらいの反抗はあちらの団体でも許されるようで、まずまず愉快に寄稿させてもらっているのです。

次の東京出張の件/休眠抵当権の抹消請求訴訟作業分析の件

きのう4泊5日の出張から戻ったばかりではあるのですが、今後の出張の話しです。表題の件1件目。

次の東京出張の日程調整を開始しました。候補日はいまのところ4月6~10日のうち2日間または3日間です。

対象となるお客さまには個別に連絡しつつありますが、その他の方々にも対応余力があります。初めてのお客さまについては、換気と距離の確保が可能な貸会議室等の利用を必須とします。この費用はご負担いただきます。

実は国会図書館東京本館の入館抽選で出張日程が決まりますので、そういうもの(前週まで実施日が決まらないもの)だとご理解いただいた方のご利用をお待ちしています。対応可能分野はこれまでどおり労働紛争労働側、民事家事関係裁判書類作成全般、最近少し引き合いが増えている気がする山林・林業関係の登記裁判その他法務、何かの間違いだとは思うのですが不動産登記、年に5件以上ご依頼が来たことがない商業登記、などとなっております。

この出張に関連して3月29日から4月5日までの間、初めてのお客さまに対する直接の面談を伴う業務を停止します。これは高齢のお客さまに面談する準備として行うものです。すでにご依頼中のお客さまには影響はありません(絶賛闇営業中の接待を伴う飲食店に行ってきた、などといわれたら若干の対策を追加しますが)

まぁ、年度末に不動産売買の立ち会いの仕事が転がり込んでくるような事務所じゃありませんから上記の期間おとなしく過ごしても実害はなかろうかと思います。PCR検査もいずれは受けてみたいものだと素朴に思っているところ。


表題の件2件目は…素朴に思ってしまったんです。

訴訟ってそんなに高いんか、と。もちろん費用が。

実は今日、法人格否認の法理を使ってようやくなんとかなった本人訴訟の弁論が終わって判決言い渡し日が指定されたんですが…それに投じた労力を100とすれば抵当権者の相続人相手に消滅時効を理由として起こす抵当権抹消登記請求訴訟で判決取るまでに要する労力は一般的には3から5、くらいなんじゃないかと思えてならないのです。

だったら実際計ってみよう、タイムスタディ(時間研究)ってやつさ、と社会保険労務士である僕がささやいたのです。司法書士である僕に。

説明をし直します。世の同業者さんたちはいったいどうやって休眠抵当権抹消の報酬を定めているんでしょう?疑問はここから始まります。

なんとなく難しそうなことができるからテキトーに高くしても大丈夫、ということではないと祈りたいのですが、『休眠抵当権 抹消 名古屋市』でgoogle検索して出てきた上位20ページのうち報酬がでていたのは7件(同一の事務所のページは1ページ/1件としました)。

そのうち、失礼ながら依頼予定者からみた情報としては何を言ってるのか不明な、4万円~、または5万円からと記載していたのが計4件、訴状作成10万円からというのが1件、訴訟(代理の有無は不明)20万円からというのが計2件、訴訟(同左)30万円というのが1件、となりました。

上記のうち4万or5万からというのは供託による抵当権抹消のお値段であるはず。また、別に相続人探索につき1人あたり3万とか、あるいは戸籍謄本1通の取得代行が1千円、といった依頼人からみればよくわからない(司法書士側では正当性を主張できることは重々理解しています)オプションがくっついて結局いくらになるのか不明、そうした現状があるようです。

この現状を広い意味での負担力主義によって原価計算した結果だと考えてみます。費用を負担できる人からは取る、と。

これに対して原価発生原因主義によったらどうなるか、というのが僕の問題意識です。

言ってしまえば僕の作業時間数に6千円を乗じて報酬を決めたらいくらになるか、ですのでまず実際の作業工程に応じて作業時間をつけてみようと考えました。実は登記申請書の作成ではそうした調査をして値決めしているのです。裁判書類については作業の標準化にはなじみにくいものの、作業量はだいたい書類作成枚数と正の相関があるんで請求額が多ければ(負担力が高ければ)報われるようにはなっています。

※当事務所の、主に労働紛争関係書類作成では依頼人が得られた報酬額に対する割合で費用の上限を決めることが多く、請求額が少額な場合は僕は最初からわかっていて酷い目に遭える、ということになっているのです。

お話を戻します。実情として相続人相手の抵当権抹消請求の訴状は、一度作ればテンプレート化になじむ(テンプレ化を前提とした作業時間が想定できる)とも思っています。むしろ訴訟よりは非訟、裁判よりは登記に近い気がする。少なくとも、大もめになりそうかそうでないかは早期にわかるはず。このあたりのことを研究してみたいのです。

行き着くところは当事務所で受託する場合の費用明確化と、ご自身で正攻法を採って休眠抵当権を抹消したい方への情報提供となるでしょうか。特に僕が取り組んでいる山林(費用負担力がとーーーーーっても低い土地)に残った休眠抵当権を消しやすくする、というのがはるかな理想です。

次回以降の記事に続きます。まずは抵当権者の相続人調査までの時間数です。

相続登記申請書自動作成サービスの価格変化にがっかりした件

e-相続、というサービスは去年で終わってしまったのでしょうか?去年始まったばかりだったはずですが(失笑)

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引用先(ascii.jp)によればこのサービス、会員登録したユーザーに相続登記の申請書を自動で作成するプログラムを利用させる(ので、サービス提供者は司法書士法の規制をパスできるというお立場を取る)、成果物はpdfで出力され利用者が印刷可能な登記申請書で、利用料は1万0584円、となっておりました。

その前々年くらいに商業登記でこうしたサービスの提供を可とする法務省見解が出て業界内ではちょっとした騒ぎになったはずですが、このサービスも申請データを入力するのはあくまでも利用者である、という体裁。

当時のウェブサイトをみた記憶では、被相続人などの戸籍謄本類の収集代行はオプションで1通いくら、といった感じだったかと思います。

このサービスの法的な是非は論じますまい。きっと合法なんです。

少なくとも個室付特殊浴場やパチンコ屋さんの近くにある景品買取屋さんと同じくらいには合法、なのでしょう。幸か不幸か僕には利用歴がないのですが。

ともかく我々はそういうものがそこにある、という現実を見据えて対処せねばならないのが令和の日本なのだ、という点では核兵器をもった独裁者や台所のゴキブリへの対処とだいたいおなじです。消えろと念じて消えてくれる相手ではありません。

さらに物騒なことをいえば、そのうち信託契約公正証書案から車庫証明申請書まで通り一遍の書類は上記のようなちょっぴり○○な半自動出力サービスで手に入れられようになり、その濫用が様々な紛争を誘発して…

非定型的な裁判書類を作るのが好きな事務所にはやりがいのある世の中になるのだろう、とは思っているところです。

お話を戻します。いま上記ページからサービス提供者へのリンクをたどると、別のドメインにリダイレクトされます。

別のドメインに。

そこには別の名前でおなじようなサービスがあって、提供価格は税別69800円、となっています。

見れば昨年のサービス発足時にはオプションだった戸籍謄本収集代行の報酬と実費がセットになってこの価格、ということです。

たぶんこの代行をしているのは食えなくなった行政書士さん、なのだと思います。

同様の業務として、会社設立案件で定型的な=寝てても書けるような定款の作成や電子化をそれぞれ数千円でやる(やらされる)行政書士の方、というのも商業登記申請書の出力サービスでは存在しています。

ともかく、この相続登記申請書自動作成サービスの最低価格がいきなり7倍になってしまったのがちょっと残念、というよりかなり不満なのです、昨年はe-相続の登場で、相続登記に関連するサービスの最底辺の選択肢が広がったのか、と少々期待していたのに…

今では当事務所の相続登記よりも、高くなってしまった気がするのです(^_^;)

ただ、ここにはなにかヒントがある気もしているのです。後日さらに考察します。

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