相続人申告登記の受託費用・手続きを来所不要とする扱いについて
右や左の同業者さまに、いま聞いてみたいこと。表題の件、どれだけの事務所がすでにお決めになったのでしょうか。
…高いところでは一発三万円、という事務所も見かけました。
僕のところの相続登記より高いじゃん(゚◇゚)ガーン
4月1日から始まる相続登記の手続義務化に関連して、相続人申告登記の制度に関する省令・申請書式がようやく一揃い公開されました。
僕が省令案公表段階で気にしていたのは被相続人や中間相続人の死亡時の住所をどう届け出させるつもりなのか、でした。これが印鑑証明書付き上申書で行ける、という線におさまったことでどんな作業が必要かは一通り見えてきたようです。
一連作業を、作業分析してみます。この手続きの難易度、というか処理にかかる想定所要時間を出しました。
これに僕がほしい作業時間単価を乗じたのち、この手続きの社会的な意義に基づく減額補正のようなもの、をまぁ一応施して。
当事務所では当分のあいだ、相続人申出書の作成について基本の報酬を5千円(税別。以下同じ)と決めました。
複数筆の土地について同時に申請する場合は1筆2千円を加算し、複数人の法定相続人について同時に申請する場合は1名2千円を加算します。
申請代理をする場合、同じ依頼人から受託し同じ法務局に同時に申請できる全申請をまとめて1回3千円を加えます。
この申請は不動産に関する権利の変動にまったく影響しない性質を持つことに鑑みて、当事務所への来所・面談は不要です。
というより来所による対応は別に相談があるなどの場合をのぞき、原則としておこなわないものとします。
本人確認は本人限定受取郵便による委任状・業務委託契約書の送付により、この実費および手続き終了後の書類送付の実費は上記の報酬に含みます。
付随する手続きとしてはこの手続きに必要な最低限の戸籍記録の収集代行が想定されるところ、これは1親等の尊属(父母)について5千円、2親等の尊属(祖父母)については8千円、以後一親等増えるごとに3千円追加とし、いずれも除籍謄本類取得の実費を含むものとします。
これらの費用体系について、相続登記・山林に関する登記の各ページに掲出を始めました。
基本的には上記の報酬体系で相続人申告関連の各申請に対応する予定ですが、以下の状況では報酬を減額します。
- 申請不動産について、QRコード付きの登記情報・登記事項証明書を取得済みの場合
- 業務完了後、申請不動産について登記情報の取得を要しない場合
- 各種団体・共有者の集団から同時に複数件の発注があった場合
要はこの相続人申告登記について、できるかぎり発生費用を一定にし作業の手間を省きその手間の一部を依頼人側が負担してくれるか大量発注してくれれば安くやってやろうではないか、特に山林その他費用負担力の低い土地・状況で、ということです。
そんな思惑がありまして、事務所内では登記情報についてるQRコードを申請用総合ソフトで読めるようにしてみたり、林業雑誌や研修の講義では森林組合の皆さま方に『山主に対する支援として、登記情報提供サービス経由での登記情報取得代行は法的に可能。手数料収受も可能』という啓蒙活動を展開したりしていたところなのです。
いっそ相続未登記土地の山主さんたちから一ロット100件単位でバルク発注がほしい。
そういうのが全部、発注者側で取ってくれた登記情報(と、できれば依頼人名簿)が添付された状態で受託できるんだったら相続人申告登記一件2000円でやってもよかろう、などと思えています。ある意味手前勝手な発想ではありますが。
ではありますが、どんなことでも下には下がいるものです。
きっとこれも抵当権抹消登記と同様に、一件1980円安いぞ安いぞ見ろ見ろ見ろ、とかいう事務所が出てくるだろうと見ています。
以下は余談です。
上では抵当権抹消登記を例にしましたが、いろんな手続きをやたらに安くやると標榜する同業者の事務所がありました。他県です。
その方のウェブサイトは間違いなく自作で、そしてそれはそれは下品に思えました。
抵当権抹消も相続登記も敷金返還も残業代請求も、とにかくひたすら安さを強調している、と(ケッ)
何ヶ月か前、とさせてください。その同業者の名前が業界誌の後ろのほうのページに出てきました。
…ほーらやっぱりね、と思って興味津々で読みました(僕もこういう局面ではゲスいのです)
どうもそいつは司法書士が代理人になれない案件でいろんなことを依頼人の頭越しにやっていた模様です。
より正確には、やりかけて放り出したように読み取れました。
その程度の支障で放り出すんなら裁判事務なんかやめちまえ、などと肝心な点とは全然別の経緯に怒ってみますが。
だから…ではありませんが、やっぱり気にはなるのです。その下品なウェブサイトに、相続人申告登記の費用情報がおいくらで出てくるか。
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