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2024年3月

相続人申告登記の受託費用・手続きを来所不要とする扱いについて

右や左の同業者さまに、いま聞いてみたいこと。表題の件、どれだけの事務所がすでにお決めになったのでしょうか。

…高いところでは一発三万円、という事務所も見かけました。
僕のところの相続登記より高いじゃん(゚◇゚)ガーン


4月1日から始まる相続登記の手続義務化に関連して、相続人申告登記の制度に関する省令・申請書式がようやく一揃い公開されました。

僕が省令案公表段階で気にしていたのは被相続人や中間相続人の死亡時の住所をどう届け出させるつもりなのか、でした。これが印鑑証明書付き上申書で行ける、という線におさまったことでどんな作業が必要かは一通り見えてきたようです。

一連作業を、作業分析してみます。この手続きの難易度、というか処理にかかる想定所要時間を出しました。
これに僕がほしい作業時間単価を乗じたのち、この手続きの社会的な意義に基づく減額補正のようなもの、をまぁ一応施して。

当事務所では当分のあいだ、相続人申出書の作成について基本の報酬を5千円(税別。以下同じ)と決めました。

複数筆の土地について同時に申請する場合は1筆2千円を加算し、複数人の法定相続人について同時に申請する場合は1名2千円を加算します。

申請代理をする場合、同じ依頼人から受託し同じ法務局に同時に申請できる全申請をまとめて1回3千円を加えます。

この申請は不動産に関する権利の変動にまったく影響しない性質を持つことに鑑みて、当事務所への来所・面談は不要です。
というより来所による対応は別に相談があるなどの場合をのぞき、原則としておこなわないものとします。

本人確認は本人限定受取郵便による委任状・業務委託契約書の送付により、この実費および手続き終了後の書類送付の実費は上記の報酬に含みます。

付随する手続きとしてはこの手続きに必要な最低限の戸籍記録の収集代行が想定されるところ、これは1親等の尊属(父母)について5千円、2親等の尊属(祖父母)については8千円、以後一親等増えるごとに3千円追加とし、いずれも除籍謄本類取得の実費を含むものとします。

これらの費用体系について、相続登記山林に関する登記の各ページに掲出を始めました。

Photo_20240401002701

基本的には上記の報酬体系で相続人申告関連の各申請に対応する予定ですが、以下の状況では報酬を減額します。

  • 申請不動産について、QRコード付きの登記情報・登記事項証明書を取得済みの場合
  • 業務完了後、申請不動産について登記情報の取得を要しない場合
  • 各種団体・共有者の集団から同時に複数件の発注があった場合

要はこの相続人申告登記について、できるかぎり発生費用を一定にし作業の手間を省きその手間の一部を依頼人側が負担してくれるか大量発注してくれれば安くやってやろうではないか、特に山林その他費用負担力の低い土地・状況で、ということです。

そんな思惑がありまして、事務所内では登記情報についてるQRコードを申請用総合ソフトで読めるようにしてみたり、林業雑誌や研修の講義では森林組合の皆さま方に『山主に対する支援として、登記情報提供サービス経由での登記情報取得代行は法的に可能。手数料収受も可能』という啓蒙活動を展開したりしていたところなのです。

いっそ相続未登記土地の山主さんたちから一ロット100件単位でバルク発注がほしい。
そういうのが全部、発注者側で取ってくれた登記情報(と、できれば依頼人名簿)が添付された状態で受託できるんだったら相続人申告登記一件2000円でやってもよかろう、などと思えています。ある意味手前勝手な発想ではありますが。

ではありますが、どんなことでも下には下がいるものです。
きっとこれも抵当権抹消登記と同様に、一件1980円安いぞ安いぞ見ろ見ろ見ろ、とかいう事務所が出てくるだろうと見ています。

以下は余談です。

上では抵当権抹消登記を例にしましたが、いろんな手続きをやたらに安くやると標榜する同業者の事務所がありました。他県です。

その方のウェブサイトは間違いなく自作で、そしてそれはそれは下品に思えました。
抵当権抹消も相続登記も敷金返還も残業代請求も、とにかくひたすら安さを強調している、と(ケッ)

何ヶ月か前、とさせてください。その同業者の名前が業界誌の後ろのほうのページに出てきました。

…ほーらやっぱりね、と思って興味津々で読みました(僕もこういう局面ではゲスいのです)
どうもそいつは司法書士が代理人になれない案件でいろんなことを依頼人の頭越しにやっていた模様です。

より正確には、やりかけて放り出したように読み取れました。
その程度の支障で放り出すんなら裁判事務なんかやめちまえ、などと肝心な点とは全然別の経緯に怒ってみますが。

だから…ではありませんが、やっぱり気にはなるのです。その下品なウェブサイトに、相続人申告登記の費用情報がおいくらで出てくるか。

申請用総合ソフト:バーコードリーダを使用せずに行うQRコード読込の導入事例

去る日曜日のこと。ずっと前に和解が成立した労働訴訟のお客さまから連絡があったのです。

…このブログを読んでいる、と(゚◇゚)ガーン

二枚目の焼き芋の写真をちょうどその日に準備していたのですが(前回記事参照)、たまには仕事の話をします。

この記事は現時点ではごく一部の同業者さん向けです。
ですが、ひょっとしたら来月以降の相続登記義務化を巡る一連の申請に対処する一般の方に適応するかもしれません。表題の件。

天にまします(←我々と同じ地平にはいない気がするし、建物があるのはわかるが中に何者がいるかよくわからない点では教会や神社に似てる気もする)法務省では我々下々の者どものために、各種登記申請をオンラインでおこなうことができるありがたいソフトウェアを無料公開しております。それが申請用総合ソフトであります。

その申請用総合ソフトでは、申請データを送信する申請人または代理人の実在性を確認するために各種電子署名=マイナンバーカードに搭載されている電子証明書や、僕はまだ取得していない司法書士用の電子証明書を用いることが標準的な使用方法、らしいのです。

ここまで読んで「ならば下々の者どもには関係ないではないか面倒くさい」と思うのはいささか早計というものです。

上記のめんどくさ…いえ、原則的な方法に加えて、この申請用総合ソフトには4年前からまことに斬新な、我が国の実情に即応した革命的新機能が実装されたのです。

これは簡単にいうと、『申請用総合ソフトで作成した登記申請書をいったんお家で印刷し、これまでどおりにハンコを押して添付書類といっしょに郵便や持参で法務局に提出するが、実は申請データも電子情報処理組織に送信される(ので、法務局担当者はそっちを見ればいい)機能』です。
この形態で行われる登記申請を、QRコード付き書面申請と言っています。

申請用のソフトの無料提供は登記申請のオンライン化が始まった約19年前からあったことを考えれば、これが申請用総合ソフトにおける最も大規模なシステム変更と断言できます。偉大なる法務省は令和の御代に入っていよいよ、我が国における捺印制度と印鑑産業の保護に向けて力強く前進を始めたに違いない、と僕は確信しているところです。

見かけは紙の申請書、だけどデータは先に登記供託オンラインシステムに飛んでる、そんなQRコード付き書面申請。僕の事務所では数少ない=昨年は1件しか来なかった会社設立の登記申請をこのシステムでやったその期間に全国的システム障害を発生させて申請にストップをかけてくれる、そんなお茶目な一面も持っています。よりによって出張先でその一撃を食らったときには遠慮無くブログのネタにさせていただき、この偉大なるシステムを『デジタルとアナログの狭間、主流派と非主流派の空隙、IT革命からデジタルトランスフォーメーションへの過程をさまようような登記申請形態』と申しました。

司法書士開業から20年になるのに事務所そのものが何かの狭間や過程をふらふらしている僕にとってはまことに居心地のよい申請用総合ソフトとQRコード付き書面申請。口にするのも恐れ多いことながら、ソフトの機能にささやかな不満があったのです。

申請用総合ソフトは当然ながら、書面またはデータで登記申請書を作るのが主たる機能です。

このため不動産登記にあっては申請対象の不動産を入力せねばなりません。物件の所在などを直接入力する・地番などで検索した結果を取得するといった機能に加えて、『QRコード読込』という機能が実装されています。

これは、法務局で発行される登記事項証明書や登記情報提供サービスで入手できるpdfに表示されているQRコードをバーコードリーダで読み込ませることで、直ちに物件の情報をソフトに取り込む機能です。

通常は登記申請のまえに登記事項証明書か登記情報を取得しますから、それを反映させれば物件の情報を手で入力する必要がありません。

しかし、この機能を利用するには周辺機器を買わねばならないのが原則です。
想定される機器=USBなどで接続されるバーコードリーダはAmazonを探せば数千円で流通しており、それを買って作業が楽になった、という同業者さんのブログも見かけます。

そうではありますが。
一般市民にそんなものを買えと、偉大なる法務省が考えているはずがありません。僕はそう確信しています。
なにしろ法務省は、オンラインの申請をするソフトにわざわざ紙の申請書に印鑑押して郵便で送れる機能を実装するほどの偉大な役所なのですから。

-文章の一部、または大部分に冗談が混じっているし以下の文章もそうだ、ということはどなたも当然お気づきである、という想定でお話をすすめます-

申請用総合ソフトとバーコードリーダの説明によれば、バーコードリーダはWindowsに対して、みずからをキーボードの一種と称して振る舞い、読み取った文字形式のデータを送りつける、そういう周辺機器です。

いっぽう、今やそのへんのスマホでもふつうにQRコードを読み取り、内容である文字データを表示してくれる機能は持っています。
当然、登記情報提供サービスで手に入れられるQRコードにも読み取りまでは対応しています。Windowsでも、そうした単純な読み取り機能をもつソフトは無料で提供されています。読み取った結果をクリップボードにコピーすることまでは可能です。

と、いうわけで。
Windowsに対して、キーボードをエミュレートするデバイスやソフトが無料・安価で入手できればなんとかなるんじゃないか

と僕には思えたのです。最初はUSB接続のキーボードエミュレータが1650円、といったものに飛びつきかけたのですが…たぶんそっちも可能です。カメラを装備したパソコンAをバーコードリーダにしてキーボードエミュレータの入力側を接続し、別のパソコンBにキーボードエミュレータの出力側を出力すれば完成するだろう、と。これはこれでブログのネタとしては楽しそうです。

純粋にソフトウェアとして動作するキーボードエミュレータをさらに探したところ、本当にあったのです。

INASOFTの『キーボードシュミレータ』がこれにあたります。無料です。
そちらのウェブサイト、作者さんに寄付をするシステムがうまく機能していないようです。ウェブサイト内の広告を適当に踏んであげるとよいのかもしれません。このソフトを作られた方に敬意を表しつつ、説明を続けます。

以後はこの、キーボードシュミレータをインストールできている想定で説明します。
キーボードシュミレータの機能は『ソフトの起動時に表示されている入力用のウィンドウにオペレータが入力した文字列や特殊記号を、所定の時間的間隔で、キーボードからのデータとしてWindowsに送信すること』にあります。データの送信先は、送信の時点でアクティブなウィンドウになっているソフトになります。この点は普通のキーボードと同じです。

というわけで、どこかのよくわからん官庁が作ったよくわからん申請ソフトが存在するとしたら、そしてそのソフトが一応はハードウェアであるQRコードリーダじゃなきゃダメ、などと小生意気なことを抜かしているとしたら、そいつをだまくらかすことは可能なのではないか、と僕には思えてくるわけです。

そうしたわけで、動作を確認しつつ設定を調整します。上記の表現はあくまで一般的なものであり、具体的には偉大なる法務省が作成頒布する素晴らしい申請用総合ソフトでの利用について述べていきます。

まずキーボードシュミレータの入力ウィンドウに、スマホのカメラで登記情報から読み取ったQRコードのデータをコピー&ペーストします。

このデータは、Fから始まるF3192319230001abcde20230605といった全27桁の文字列です。
この例でabcde、の部分は0から9の数字が5桁入っている、と考えてください。

データの構成として、1923は登記所コード、ここでは津地方法務局管内のある支局を指します。F3-登記所コード4桁-不動産番号13桁-データの取得年月日8桁、がデータの主な内容ですが、全27桁を残らず申請用総合ソフトに送ってやらないとエラーを吐いてきます。

送信を一定時間内に終えないとエラーを吐く、ということもわかっています。
ふつうのキーボードからFとEnterを含む28回の打鍵を正確に3秒以内に完了できるような特殊技能があったら申請用総合ソフトの反応がどうなるか試してみたいのですが、僕にはできませんでした。

また、申請用総合ソフトの解説によればバーコードリーダから送られるデータの最後にEnter,Tabその他の終了を表す符号がくっついている必要がある、とのことです。僕はReturnを加えました。

これらを考慮した結果、キーボードシュミレータの設定は以下のようになりました。

  • QRコードの内容は半角文字で入力(コピー&ペースト)する
  • 『特殊入力』で表示されるVK_RETURNを末尾に付加する
  • 『Enterを入力しない』『TABを入力しない』にチェックする
  • 入力ボタン押下後の秒数は初期値5秒、繰り返し回数は初期値1回のまま
  • 入力文字の間隔が長すぎるとエラーになるので要調整。僕の環境では100ミリ秒とした

スクリーンショットは申請用総合ソフトで『QRコード読込』ボタンを押下した直後のものです。

Photo_20240322142301

ここでキーボードシュミレータに適切なデータを(abcde、の箇所が数字であるデータを)入力し、『入力開始』のボタンを押し、5秒以内に申請用総合ソフトのほうの『QRコード読込』のウィンドウをアクティブにすると

エラーがでます(゚◇゚)ガーン

普通のキーボードで、文字入力の設定を確認せねばなりません。

  • 漢字変換システムが立ち上がっていると全角に相当する文字列が送られ、エラーになります。
  • 普段使っているキーボードのCAPSキーを押しておかないと、データの最初のFが小文字で送信され、これまたエラーになります。

…これに気づかず絶望しかけました(わらうところ)

上記のことまで設定できていれば、データが送信され申請用総合ソフトの側に、該当する不動産が表示されます。表示された不動産は当然、申請書データに取り込むことができます。

なおもエラーが出る、という場合は、いちどブラウザをキーボードシュミレータの出力先に(アクティブウィンドウに)してみましょう。
検索語を入力する部分にFからはじまる半角27桁が入力され、最後にEnterの信号が送られていればその文字列を検索語とした検索が始まる、という動作になります。Enterを含めた入力内容の当否がわかります。

最後に、キーボードシュミレータの入力ウィンドウを複数行使って複数物件入れたらどうなるの?と思ってしまった同業者さんがいるかもしれません。きっと登記で忙しくお過ごしと思います。やっかみ半分で説明を続けます(笑)

試したところ、行末で指定時間(たとえば5000ミリ秒)待機させて複数物件の送信を続ける設定、とさせた場合は失敗しました。最初の一件しか取り込みません。
キーボードシュミレータで、一行(一物件)ごとにメッセージボックスを出して待機させる場合は、OKボタンを押す都度入力と物件データの取り込みが進んでいきます。こちらは問題なく複数物件を送信できました。

QRコードのデータ形式として、不動産番号がわかっていれば取得日時はダミーでよく、冒頭にF3をくっつけて4桁の登記所コードをセットすればいい規則はわかっているのだから…たとえばワークシートで事前に整理された不動産番号13桁の一覧から(QRコードを読ませるのではないが、QRコードを読み込む入力経路を使って)半自動的に多数の物件データを申請用総合ソフトに送信することができそうです。

ですのでこれをうまく使うと、大量物件を迅速に確実に処理するシステムができてしまうのかもしれません。Pythonでプログラムを自作できればなおよいだろう、とも思えます。

※やってはいけないと考えますが、不動産番号と物件の所在地番を無料で総当たり的に確認していくシステムも理論上は作れることになります。すでにそうしている人はいそうだ、と考えました

お話を場末の零細な事務所に戻します。
これで我が事務所においても、少なくとも物件を手入力することに伴う間違いを最小化できる仕組みがタダで手に入った、とはいえます。これを司法書士20年目の最終日の明るい話題、にしましょうか。

3月22日付で、当事務所は司法書士登録20周年を迎えます。

15日までご依頼の受付を停止します

どうということのないサツマイモが1本98円で売られていました。これを買ってあったのです。

昨日午前。このイモを半分に切って、ウォーターオーブン140℃、60分の設定で加熱開始します。
11時からの電話相談を終え、前の日の晩に来たメールの整理が終わる正午過ぎにはイモの断面から黄金色の蜜が漏出するほど糖化が進み、平凡なイモが甘々なイモに変わるのです。

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実はこの化学変化を、先々月号のラジオライフ(三才ブックス)で知りました。
たしかホットサンドメーカーか何かにプログラマブルな温度制御部品を付加する魔改造を強行して究極の芋焼き機を作る記事、だったと思いましたが…科学って素晴らしい(苦笑)

我が家にはホットサンドメーカーは無く、SHARPのヘルシオしかないのでこれを代わりに用います。仕上げにウォーターグリル20分として皮を少し焼きますと
書類の精査に忙しい日の、昼ご飯ができあがります(゜◇゜)ガーン

…これをすぐには食べず、仕事を続けながらさらに30分ほど放っておくのです。
そうすると焼き上がったイモは片手で食べられる程度の熱さになり、さらによいのです。表題の件。

先月は文章を書く仕事が多かったのですが今月は読む仕事が2件、木曜日と金曜日に続けて入ってきました。

お二人ともこのブログを読んだ、とおっしゃるのですがひょっとしたら何かの間違いかもしれません。当事務所では裁判書類の作成と並んで焼き芋の糖化に取り組んでいます。

そんな日曜日は平日より忙しく、午前午後と相談が入り、しかも相談が延長になったりするのです。

そうしたわけで、久しぶりにご依頼の受付を停めることにしました。15日までは電話の受付も停止します。

サツマイモはもう半分残っています。

読まねばならない書類は1件目がほぼ読了、2件目が4分の1以下の進捗率、といったところです。
次の日曜日までに書類精査後の打ち合わせが入っています。確定申告もまだ出していません。まぁあれは15日の消印有効、で郵送提出すればいいから…

おそらく14日あたり、残り半分のイモに頼ることになると思っているのです。
次はもう少し温度低めにし、2時間程度の加熱時間を試す予定です。

他士業法に違反しないようにおこなう相談準備(山林所得編)

25年ほど前。僕はそのころ、本職が毎朝出勤してきても従業員に決してあいさつしない、そんなふざけた土地家屋調査士行政書士事務所におりました。使い捨ての従業員C、といった位置づけの労働者として、日々怪しい実務を遂行していたのです。そんな在職中に先任者から聞いた言葉でなぜか忘れられないのが『所有権保存登記なんかオレでも出来る』というものがあります。

このヒトきっとなにかやらかすな、と思った数年後、ご開業を経てちょっとした行政処分を受けたのが公表されておりました。ただ事務所そのものはご隆盛、ということであるようです。

法律はどこかで破ったほうが儲かる一方、他人に向かってその仕事を腐すようなヒトには相応の展開が待ってることも示された気はするのですが…表題の件。

ふだんは依頼人に厳しい代書人として、特に裁判書類作成の相談では隣接の(正確には、上位互換の)他士業法に違反しないように気をつけているのです。
残念ながら業務遂行中・終了後に依頼人が裏切る展開も昨年あれこれ経験してしまったため、仮に相談中の発言を録音されてそっちの業界団体あるいはこっちの監督官庁に持ち込まれても大丈夫なように…です。

そんな僕が今月直面した課題。今回は法律相談ではなく、税務相談です。

山林所得が発生するらしい依頼人を、税務相談に該当しないようにして税務署の相談に誘導せよ、というものです。

ただし相談先で相談そのものの失敗を招かず適切な回答を得て帰ってこられるように、というところに凄い制限がかかっています。

山林=林地および立木の相続売買贈与あるいは法人への移行、にここ数年わりと積極的に取り組むようになった当事務所にとってにわかに意識せざるを得なくなったのが税理士法による制限です。同法2条1項3号では他人の求めに応じ課税標準の計算に関する事項について相談に応じることは税務相談に含み、税務相談は税理士業務であり、税理士業務は非税理士がやってはいけない、という流れで山林所得の計算そのものも非税理士たる僕がやっちゃダメ、となっています。

ふだん給与計算に従事する社労士さんが年末調整業務=給与所得を確定させる判断をしちゃいけません、というのとまったく同じ理屈で、司法書士は土地や立木を譲渡する契約を扱っても山林所得を計算して確定させるような助言をしてはいけない、ということになっています。

ですが時あたかも確定申告の季節、なのです。
そして今回、お客さまから聞いたところでは普段、確定申告書は自治体の相談会で作ってもらってるのだそうです。
聞けば従前、この相談会における自治体職員様のご対応はわりとぬるめ、いえ納税者に優しい印象がありました。
しかし今回、山林所得は複数の発生源があり自治体の相談会では対応困難…守秘義務を守って一般化すればそういう状況です。

そうだ、税務署、行こう。

お客さまはそういうのです。それは発想として正しいけれど。
あの役所、納税者から得られるおカネの最大化を目指してないか、と思えることが時々あるのです(苦笑)

しょうがないので空欄を意図的に設けた山林所得の収支内訳書を依頼人にファクスします。

さらに解説書も起案します。計算の流れ、と題して。


-計算の流れ-

 山林所得の計算の際には、次の3つの数値を使います。
 今回、間伐・売却した山林は■■様が相続した山林なので、すべて16年以上所有していることになります。
概算経費控除を使うかどうか相談で確認されたら、そのようにお答えください

○森林組合の間伐について
 ○○円…収入金額
 ○○円…伐採費

○立木の売却について
 ●●円…収入金額
  上記の金額は、立木の売買契約書に記載した代金です。
  
○計算の流れについて
 上に挙げた収入金額□件 を合計して
 伐採費 を、いったん差し引いて
  上記の額から、概算経費の額 を計上して
 収入金額合計から、あらためて伐採費と概算経費を差し引いて
  上記の額から特別控除の額を差し引くと山林所得の額になりますが、正確な金額は、税務署の相談で確認をお願いします


本件では15年前の12月末日以降現在まで山林を保有している人が立木譲渡収入を発生させた場合に譲渡収入から譲渡費用を引いた金額の半額を経費として控除してしまうステキな特例=概算経費控除を使わせるのが絶対に重要なのです。

ではありますが当人が主体的に選択しないとそういう特例は用いられないような作りに、計算書がなっています。

しょうがないので意地でもこれを使わせるように誘導する文言は入れますが、概算経費控除が使えると僕からは言わないのです(苦笑)
さらに正確に上記の起案をお読みいただくと、『概算経費控除を使うと答えよ』という助言もしていないのです。
僕は単に、この制度を使える期間、山林を所有していると言うように助言しただけである、と。

で、僕が足し算や引き算や割り算ができるかどうかはさておいて、文末赤字部分はとにかく強調せねばならないのです。

こんな計算オレでも出来る、などといったら負けなゲームをクリアするため、ではありますが…まぁそれもいいか、と思っています。

これについては、ちょっと思うことがあるのです。

上記のような面倒くさい動作を通じて、お客さま方に法律相談やら税務相談に該当する営み(その相談で得られる判断や、その根拠になる法律や制度)に関心を持って貰えるならそれでいいのではないか、と。

…そうでも思わないと上記の資料作成のような無料作業に耐えられない、とも思ってしまうのですが。

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