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冗談から使い始める生成AI

表題の件。当事務所でも限定的ながら、生成AIの利用、というより試用を始めました。ChatGPTのアカウントを取ったほか、Bingの文章生成機能を使っています。

こうした新サービスの導入でまず重要なのは、補助者さまに好意的関心を持ってもらえるかどうか、です。実は丁度いい事案が昨年ありました。

今になって思えば紛争発生源だった関係者(甲)と、そいつが起こしたもめ事に巻き込まれた依頼人(乙)、乙とのあいだで訴訟になっている丙、そんな事案の打ち合わせがあったのです。

その打ち合わせでした、僕と乙との問答2時間あまりを録音して反訳サービスであるNottaにかけて念入りに校正してみました。

そのうえでNottaの新機能である、AIによる自動要約とToDoリストを表示させた結果。

甲さんとの関係を解消する

という一文が表示されたのです。紛争当事者である乙と丙との関係を云々する前に!
従前から甲さんに否定的評価を出していた補助者さまの、もう喜ぶこと喜ぶこと(笑)

補助者さまにはここから生成AIに好印象をお持ちいただくようになった気がします。参考文献の指示を経て、とりあえず今週からはPCのデスクトップにBingのcopilotを立ち上げておくようにしてあるのです。折に触れて半ば無理矢理使ってもらう、という感じではありますが。

僕はもう少しはっきりとした誘惑に駆られています。
来週は約3千字の寄稿があります。来月は約4千字の仕事をいただきました。もちろん生成AIにまるごと記事を作らせる気はないのですが。

試しに、やってはみたかったのです。質問文。

『相続登記の義務化について1000字で説明してください』

字数は1000字でおさまったものの、制度施行の時期が去年9月ですって(゜◇゜)ガーン
過料の額は30万円、これも間違っています。

なるほど間違いは普通にあるんだね、と補助者さまと一緒に納得します。
だから利用を取りやめる、などという軟派なことをするならこんなブログはそもそも書かないのです。

とにかくデータは間違っていてもいい、論理に破綻がないならば、と了解します。
さらに質問文、というより指示。

『相続登記の義務化に違反して過料を取られた人のエッセイを1000字以内で書いてください』

4段落からなる失敗の物語と、今では登記を怠って後悔している、という文章が論理破綻なく出力されました。
結論が後悔というかたちになるのは、たぶんエッセイだからです。

でも出てきた過料の額は30万円(正確には上限10万円なんで、ここは間違いを指摘するところです)。

つまりこいつは…現状における生成AIは、とさらに考えます。
Nottaの反訳をAIで要約するときにも補助者さまと議論はしていたのですが、これは『本職とも補助者とも違う観点・立場に立ちうる仮想的な何者か。その出力物が事実に反するから破棄するのではなく笑って受容したうえでならば議論のたたき台にできる潜在力を持ち、今後その能力を急速に向上させる何者か』と見たらどうか、と。

次の質問文ですが、コンプライアンスの観点から先に言い訳します。
僕が本心から以下のように考えているわけでは、決してありません。

『相続登記義務化に反対する立場で、エッセイを1000字以内で書いてください』

このスクリプトを投入するごとに出力物は変わるでしょうが、そのとき僕と補助者さまに見せられた出力内容はある意味当事務所のブログにふさわしくぶっ飛んだ論理展開を見せてくれました。

  • 曰く、今般の相続登記義務化の本来の目的は、実は相続発生をより精密に国が把握できることによる相続税の徴収強化にある、と。
  • 曰く、相続登記をするか否かは私的な意思決定に委ねられるべきである、と!
  • 結論さらに曰く、相続登記義務化は憲法に定められた財産権の侵害である、と!!

まさか生成AIごときが憲法違反を口にするとは(゜◇゜)ガーン

ただ、ここまで突飛なら返って別の発想のきっかけになるというものです(笑)
こういう設定と出力の試行錯誤に無料に近い費用と無限に近い耐久力で応じてくれるなら、表示されたデータが多少間違っていてもどうということはないのです。

…と、受け入れられないで遠ざかるかこのサービスに今から馴染むかで、今後数年間で強烈に恐ろしい差が士業事務所のあいだで、というか事務職従事者全般のあいだで開いていくよね、という話しも補助者さまとはするのです。

書式集程度の知識を囲い込んでるだけの事務所なんか要らなくなっちゃうじゃん、準備書面のコピペで陳述書作るような職業代理人も、と。

現地調査付き裁判書類作成が好きな事務所でよかったネ、とも言いあいましたがそれは半分ポジショントーク、です。
ではありますが身体性の発揮、言い換えると現地現物現人の状態を自ら適切に把握してコンピュータへの問いを立てる能力が、今後は裁判をやる事務所における戦力倍増要素になる、とは思っています。

逆に、依頼人が整理してきた情報を別の情報に加工するだけ、という業態ほど激しく価値を損ねる気がしてなりません。その加工された成果物が訴状なのか登記申請書なのか会計帳簿なのかはわかりませんが…長期的にはこれらは全部該当しそうな気もします。

結論。
土地家屋調査士こそが21世紀に羽ばたく資格だ。測量士補とっておいてよかった。

というエッセイを生成AIに書かせてみることも当然できます。
冗談かどうかは不明、というより未定です。

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