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Ricoh SG7200 排紙詰まりとその修理に関する件(これぞリアル版、泥縄)

夏が始まるまえに、プリンタを更新しておりました。RicohのSG7100から、同社のSG7200にしたのです。もちろん中古で。

いえ、正確には、ジャンクで(苦笑)

両機はいずれもA3判対応で、インクジェットプリンタの一種ですがRicohではジェルジェットプリンタと呼んでいます。
手差しトレイを用いた給紙経路が紙をあまり曲げずにすむようになっている特徴を持つため、当事務所では本機を抵当権設定契約書や大判の封筒への印字に使っています。つまり当事務所にはドットインパクトプリンタが無い、ということですが…あんなもの要らない(登記のご依頼が少ないから)、と虚勢をはって話しを続けます。

A3・A4を含むジェルジェットプリンタ各機種最大の特徴として、プリンタ内部での用紙の搬送をローラーではなく静電吸着ベルトに載せて行うことが挙げられます。静電気を利用し用紙をベルトに吸着させて用紙送りを行うこの機能、カタログスペック通りに機能すればプリンタ内部での紙詰まり事故をほぼ皆無にできます。

ではありますが、先代のSG7100では静電吸着ベルトの位置がずれてベルト自体を損傷し、さらにめくれたベルトが印字ヘッドに接触している!といった凄い一品が新潟からやってきました。
当然のように直して当然のようにブログのネタにし、これを手放すことにしたのです。

理由はといいますと、インクやオプション部品を使い回せる現行機種=SG7200が安く買えたから。ジャンクでだけど(苦笑)

例によってフリマサイトで売られていたSG7200は取得価格7000円強。
もともと8000円で買ったSG7100はというと、手取り5000円強で売れていきました。

実はSG7200を去年も1台買ったことがあるのです。ジャンクで。
ただ、12000円で買ったこいつがあまりにも調子よく直ってしまい手取り3万円弱で売れた経緯がありまして。その後もSG7100の使用を続けながら次にSG7200が安く出るのを気長に待っていたのです。

もちろん、ジャンクで。

ちなみにSG7200はAmazonで新品価格5万円強、だとか。別の世界の話しですが。

そんな本機がジャンクな価格で定期的に放出されるのには、ちゃんとわけがあります。
SG7100と7200は、サードパーティー製のインクに取り替えると昇華転写プリンタとして使用できる=転写紙に印字してTシャツその他のいろんなグッズにイラストや模様をつける道具として使える、らしいのです。といってもRicohと関係があるとは思えない他社のウェブサイトにそう書いてあるだけですし、昇華転写用のインクはもちろん純正品などではありません。

…調べたところ、そんな昇華転写プリンタとして利用する場合のSG7200は実売価格10万円を超えています。もう全然別の世界の話しですが。

で、この昇華転写プリンタとして使われたSG7100やSG7200が時折壊れるらしいのです。昇華転写プリンタとしての運用ではなくても、互換インクを使ったりすればエラーを出す、と。
それが文字通りジャンクになってヤフオクやメルカリに出てくる…と!

僕のところに来たSG7200もそんな経緯があったらしく、印字枚数70枚の現行機種が新品実売価格の8分の1で手に入ったのです。

ほぼ新品、未使用に近い、ジャンクで(わらうところ くどいですが)。

そんな一品がまともに動くはずがなく、当然ながら予想も覚悟もして買ってます。
まず、純正のインクに切り替えた瞬間に黒だけ印字しなくなりました(゚◇゚)ガーン

欲望のままにヘッドリフレッシングを3回連続でかけて復旧し、その後も機材の中に滞留している従前の=怪しい互換インクをとにかく吐き出しきってしまうためにカラーサンプルを連続印刷させていたところ、妙な音がすることに気づいたのです。表題の件。

その異音を文字にするとしたら『カッ』という小さな音。何かが当たったような音です。
1行目の印字を終えて、紙の上端が排紙トレイに達するあいだのどこかでこの音がするのです。

それでも印刷は特に問題なく成功しているように思われた、約1週間後に最初の破局がやってきました。プリンタ内部で紙が詰まり、詰まってたわんだ紙に印字ヘッドが横から突っ込んで紙を汚して破る、そんな事象が起きるようになったのです。

この事象は徐々に発生頻度を上げ、やがて十回に一回ぐらいの頻度で発生するようになりました。いつ発生するかは予測できません。

これは登記の事務所に配備されるプリンタとして致命的な故障です。
登記関係者が署名捺印した契約書=取り替えの聞かない紙を絶対安全に印字する、という作業ができないことになるわけだから。

そんなSG7200の使用は、8月下旬にしばらくとりやめて…仕事します。裁判事務の仕事を。

まず先週金曜日、依頼人都合で締め切りに遅れていた準備書面の作成がようやく終わりました。

次いで翌土曜日に依頼が決まった新件の裁判書類作成は、資料が明日あたり送られてくる模様。

仕事の狭間になった日曜日と月曜日、本機と向かい合って過ごすことにしたのです。

まず問題事象を再現させてみました。詰まった紙をよく見ると、用紙右上のほぼ決まった位置にシワができています。

  • その位置には、とにかく紙を詰まらせる何かがあるようです。
  • 用紙の搬送を妨げられる状況は、印字を終えて更に前方に搬送された紙の先端が排紙ローラーの手前で何かに引っかかるかぶつかるかして、物理的に紙送りを停められている状況です。
  • この状況下で、排紙ローラーは回転していますが紙自体が排紙されません。
  • 一方、紙の後ろの部分では静電搬送ベルトが前方に向かってせっせと紙を送っています。
  • 先頭で移動を停められ後方からはどんどん前に送られてくる動きによって、紙はプリンタ内部で波打ち、最後にはたわんでしまいます。
  • 紙がたわむ位置は、よりによって印字ヘッドが往復する位置なので
  • 印刷動作中の印字ヘッドが走ってくれば、たわんだ紙とぶつかる!

…ということです。先代のオーナーが何か内部で詰まらせたのか(以前使っていたSG7100を分解清掃したら、年代物の輪ゴムが出てきたことがあります)、と思って給紙経路を覗いてみるのですが、異物があるようには見えません。

でも、何かがひっかかる音はするのです。
そして、アトランダムに紙が詰まるのです。

排紙トレイからプリンタ内部を見ると、写真の銀色の帯がついて水平にセットされている部品に異常があるような気がします。

Img_20230912_230255

具体的には、中央から左端のあいだのあたりで、この部品がやや下向きに凹んでいるように見えます。
本来なら直線状でなければならないはずなのですが。

この部品には拍車がついていて、下側の排紙ローラーと接触しています。
最も凹んでいる箇所は、詰まった紙にシワがよっている箇所と概ね一致します。

仮説。
この拍車ユニットが下向きにゆがんだ結果、最もゆがんだ箇所で拍車が排紙ローラーに接触する力が増大し、紙が通過できなくなって排紙に支障が発生した。結果、排紙されずに紙詰まりになる事象が発生する。したがって紙詰まり事故を起こした紙は、事故の大小にかかわらず上端の一定箇所でシワがよる。

実験。菜箸を用意する。
菜箸を排紙トレイの側から突っ込んで、拍車ユニットの下向きにゆがんだ箇所を少し上に持ち上げるように力をかけながら印刷動作を試みる。

気になっていた異音が、消えました!

さらに、排紙ユニット側から厚紙を突っ込んでみます。

問題のある拍車と排紙ローラーは排紙トレイからプリンタ内部を見て左から2番目。この拍車にかからないように紙を突っ込んだときの抵抗(紙の通しやすさ)と、問題の拍車にかかるように紙を入れたときの抵抗は確かに違います。紙が通りにくい。
問題の拍車だけが、紙の通過に余計な抵抗を与えています。

この拍車ユニットの歪みをどうにかすればいい、ということで本体カバーを外します。
本機には何かのハメ込みや見えないネジが隠れている、ということはありません。分解自体はネジを8個外すだけです。拍車ユニットを外すためのスペースが広く取れるのと、他にも何か詰まっているかもしれないと思ったのでとにかくカバーを外してしまったのですが、器用な人が狙って作業するならカバーを外す必要はないかもしれません。

下手人である拍車ユニットは、簡単に外して引っこ抜くことができるとわかりました。印字ヘッドが往復する部分からよく観察すると、樹脂製の拍車ユニットは両端で金属製のフレームの穴にハメ込んであるだけです。はめ込み式の部品を少し曲げれば取り外せるようになっています。遠慮無く取り外します。

この拍車ユニット、材質はABSなんでしょうか…固いのですが手で曲げれば一応曲がって元に戻り、ムリに曲げたらパキッと折れそうな感じです。熱を加えて曲げすぎになってもイヤです。

でも、確かに曲がっているのはこの部品を照明にかざしてみるとわかります。

Dsc_1943

…わからんか(苦笑)

よく見ます。右に向かって曲がっています。
この部品は、写真右側が上、左側が下になるようにセットされます。

Dsc_1942

クランプを使って一晩ゆっくり曲げてみることにしました。

Img_20230912_230537

修正後。

Dsc_1946

この写真で歪みが直ったと示している…とは僕自身にも到底思えません(これが地裁通常訴訟なら、レーザー光を当てるとか断面をスキャナにかけるとか、とにかくもう少し気の利いた撮影方法を工夫せねばなりません)が、とにかくこれで直っています

拍車ユニットを元通りにセットして電源を入れ、印刷を試みます。
例の異音は、ほんとうに消えました。

そうではありますが。

排紙されてきた紙にはほんの少し、問題の位置に微妙なシワが残っている気がします。それこそ写真に写らないようなシワが。

先代の所有者が何をやったのかはわかりません。詰まった紙を取りのける際に拍車ユニットに妙な力をかけたのかもしれませんし、あるいはこれ、初期故障に属する事象なのかもしれません。プリンタは実は各部品の微妙なバランスで成り立っている製品なのだ、と再認識させられました。

あとは印刷を沢山やって様子を見るだけです。
丁度いいことには、明日から新たな裁判書類とその書証の作成出力が1件、週末には研修教材の出力が1件、それぞれ待っています。

丁度いい、というよりも。
僕は表題カッコ書きの状態を作ったのかもしれません。

印字作業の大量発生がわかったあとでプリンタを直す、というのと泥棒を捕まえたあとで縄を作ることには、共通点があるような気がしています。

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