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ナンバリングマシン/ナンバリングスタンプ動作支障時に実施する丸洗いの件

先ごろ受けてしまった記帳代行の仕事。先代の代表者兼経理担当者はおそらく、当事務所に伝説を残すことになる人物だったのです。
動画で例えるならその担当者は、こんな感じで証憑を扱っておりました。

引き渡された、のではなく捜索発見した証憑類には、偽計業務妨害罪の成立を疑える水準のジャミングとサボタージュが施されておりました。この人、現役時代は絶対潰れない種類の事業体の労組でご活動に取り組んだと豪語してましたが…
これぞ左派活動家の仕事、というより現代版ラッダイト運動(゚◇゚)ガーン

事務所の中から請求書や領収書や納品書やレシートの群れをまず探して持ってくる、発見できた証憑類の5倍の可燃ゴミ=死蔵書類を捨てさせる、というだけで3泊4日の出張日程がまず吹っ飛びまして。

この仕事の難易度所要時間を発注者側で誰も把握していないことにも驚愕したのですが。
カンタンそうに言ってしまえば各年ごとに数百仕訳になるかならないかであろう各種証憑類をとにかく突合可能なかたちで整理しクラウド会計ソフトに入力せねばなりません。それが単票でテキトーな封筒にどさっと入れてある、というならまさにカンタン、単に労力を投入すれば済むわけですが、もちろん違います。

この関与先では『大部分がバラバラな単票、若干がA4の紙の片面に貼ってあり、中には紙の両面に貼ってあるものもあり(←切り離し不能、ということ)、貼ってある証憑類は期間でも勘定科目でも整理されていない=ただなんとなく貼ってあり、ある物は剥がれ落ちる。そんなファイルが収録期間も収録された証憑の種類もバラバラに5つあり、そのうち3つは表紙があるが2つは紙をホチキスで束ねただけで、ついでに言うと証憑類と何の関係もない別ファイルのなかにも納品書や領収書が綴られているファイルもあればいないファイルもある』のです。令和4年1月のレシート貼った次のページに3年6月のが貼ってある。もう普通に。その担当者が経営する別の事業所から持ってきた、利用者の個人情報ダダ漏れな裏紙にも貼ってある。

この担当者、就労支援B型の事業所でなら働けると思いますか?
執務室にテーブルを二つ追加して広げた証憑類を眺めながら、補助者さまに尋ねてみます。
彼女は昼職の関係上、就労支援の制度・運用に一定の実務的見解をお持ちです。

無理だと思います、と即答が返ってきました。
そんな人が先代の社長。そんな会社が僕の発注者。

そうやって積み上げられた紙たちが織りなす無秩序と混沌とを夜、一人で見ていると。
心は静かに乱れていくのです。狂を発する、というべきかもしれません。

そんなことを考えてはいけない、と言ってくださる聖人君子の方のお立場も一応わかります。

ではありますが、この作業に報酬が支払われるか否かは出張2回を経てなお未定、というよりこんな"帳面つけ"(←発注者の世代に合わせて、昭和風に言ってみた)にカネがかかるなんて考えてもいなかったらしい人達が依頼人であり、そうであっても僕はこのブルシットジョブに100時間超を投じつつなんとか今月の事務所経営を成り立たせた、という点で情状酌量の余地を主張したいと思います。正確には出張しておこなった家宅捜索兼大掃除、結果を示しての説明と問題点の指摘、にだけは報酬が支払われています。作業の最初と最後にだけ、ってこと。

 

この作業に対してにこやかに敢然と取り組み作業員達の士気を保って期間内に完成させる、ということは当然できません。
ですが、やると言った以上は創意工夫と自分の意地と補助者さまのご協力によって日程内には完了する、ことになるわけです。で、ようやく表題の件。

最初にこの証憑その他雑文書が織りなすカオス、を見て考え込んだのです。

証憑類のほうに修正不能なかたちで連番付与して、会計ソフトが自動付与する連番=取引番号と一致させておくようにしないと絶対に破綻する、と。

報酬の支払いに問題があって撤退なさったらしい先代の担当税理士さんのところでは作業中にモラルハザードが起きたのか、そちらの担当決算期のほうでは総勘定元帳と突合不能なかたちでレシートの束が返ってきておりました(苦笑)さらに、入力済みの証憑より未入力の証憑のほうが多い気配が漂っています。少なくとも金額ベースでは未入力のほうが多いが決算は済み法人税申告書が出ている、というファンタジーが成立している(驚愕)
自分の仕事をサービス業と了解したうえで発注者サマをどうこう言っていいわけではない倫理観があり得るのと同様に、どうこう言わない代わりに手抜きで応じるのもよろしくないはずです。
こっちでは絶対手を打たねばならん、手書きもダメだ、と。

で、おカネはないのです。表題の件。

amazonを探すと取得価格千円台で、打刻ごとに自動で番号を進めて捺印できるスタンプが売られています。中国の適当なメーカー製。

5千円台になると誰でも知ってる国内メーカー製のが視野に入ってきます。コクヨ/マックス/プラス など。メーカーにより、ナンバリングマシンとかナンバリングスタンプとか、あるいは単にナンバリング、と呼んでいたりします。

下に押すごとに番号が一つ変わる、というのを単純に想定していましたが、この世界も奥深いものがありました。番号の進み方が『進まない(番号固定)/一つ進む/二回押すと一つ進む/以下、2~20回押すと進む設定を複数持つ』ものがあるほか、使わない桁の印字をさせない機構を持っていたりします。○桁●様式、というのはこの進段設定の豊富さをさすのだ、と知りました。

ライオン事務器の5桁5様式の形式名には鉄道ファンとして心惹かれるものがありました。C-58とかあったら衝動買いしたかもしれません。

 

そんな国内メーカー製のを一つ買いました。ジャンクで(わらうところ)

知らない中国製の新品よりよかろう、とは思ったのですがやっぱり難がありました。

作業開始前に好みの番号に合わせるにはプラ製の棒(使用済み歯ブラシの首を切って、寸法材質形状とも丁度いいのが自作できました)で一桁ずつ番号を進めていくのですが、3桁目の数字を動かすと隣の4桁目の数字がつられて動きます。おまけにこれが固い。動かない!

何度か棒が滑り、棒を持った人差し指がナンバリングマシンの角に結構な勢いであたるのです。

何度か棒が滑り、人差し指第二関節に傷ができ、出血したところで。

僕の心のなかでも何かが、壊れてしまったのです。

超音波洗浄機を押し入れから出してきました。水を入れます。

インクジェットプリンタのヘッド詰まりには威力を発揮する、台所用マジックリンを適当に注ぎます。インクパッドを外したナンバリングを入れ、洗浄機起動。

もやもやと…おそらくはあっちこっちで固着していたインクが漏出してきました。

Dsc_0422

こうなったら行けるところまで行くのがよいであろうと思うのです。
(この案件そのものが、そうなってる気もします)

写真のような感じで一回3分の洗浄コースを2回、洗剤取り替えてさらに2回×2回、すすぎとして水だけで2回。
計8回の洗浄にかけてピカピカになったナンバリングマシンをベランダに連れていきます。その前にドライヤーで水分をあらかた吹き飛ばしました。

さらに、天日に干して2時間。時々向きも変えてあげます。

ベランダからナンバリングマシンを引き揚げ、押し入れからはミシン油を持ってきます。摺動部回転部を中心に1~2滴ずつ注油して。

インクを保持するインクパッドも新品に取り替えました。マックスのインクパッドとプラスのインクパッドは高さが0.5mm違うのですが幅と長さが同じで、双方のメーカーのを流用しても問題ない模様。インクも含めて、国内メーカー各機は消耗品を各社で使い回せる気がします。

で、結論。

破壊…ではなく整備を終えたナンバリングマシンはどうやら新品並みに稼働するようになりました。

各桁とも棒で押してやると、軽やかな金属音を立てて数字が進んでいきます。任意の桁を引っ込めて印字せずにおくことも当然できます。
インクの補充をこまめにしてやれば印字品質を維持できる(横着するとインクがベトベトに着いたりかすれたりする)のは普通のことです。

このメタルインクがラッカーシンナーで溶ける、ということも昨日わかりました。
使用せずに長期保存する際にはインクパッドを洗ってしまえばよさそうです。

さて。
ひょっとすると僕は、これで向こう10年使えるナンバリングマシンの国産機を手にしたのかも…しれません。

まさかこれが、本件業務における唯一の経済的利得、と思いたくはないのですが(゚◇゚)ガーン


複数回打刻後の進段とか任意桁の印字休止など、いろんな機能をアナログで実現するナンバリングマシン。
複雑な内部機構を持ってるはずですが、実は写真のように丸洗いできてしまうようです。

机から床に落とした、などで生じる機構的破損や歪みでなければインクの浸入・固着がナンバリングマシンの故障の主要原因と考えますが、インクに由来する故障であれば

  • メガネ用の超音波洗浄機と台所用のマジックリンでどうにかできてしまうかもしれない

ということでした。超音波洗浄機がない場合、温度高めのお湯と濃いめのマジックリンに長時間浸けてやることでもまぁ似たような効果が得られるような気がしています。

最後に二つ。

お約束通りですが、ナンバリングマシン/ナンバリングスタンプの水洗いに際しては自己責任で挑戦してみてください。経理体制が崩壊した零細企業の記帳代行業務に巻き込まれたとき以外でも、普段のしごとが少し気分良く進められるようになるかもしれません。

もし、余所のまともな税理士さん公認会計士さんが受託を回避するほどの経理体制崩壊が先代先々代の担当者によって生じた、自分にはなんの罪もない、または、そういうことにしたい(←役員解任登記やら損害賠償請求訴訟の準備とリンクして、そういうことにしたい、など)会社がある、そんな場合には。
当事務所で記帳代行業務を行うことができる、かもしれません。前提となる事業所内の実況見分→証憑類の探索発見作業から承りますが、手間に応じて費用は高いです。出会い頭に100万円請求されても動揺しない自信があり、発見分別されたゴミは自治体の規定にしたがって処分すると決めた方のみお問い合わせください。

そう言われると随分高いと思われるかもしれませんが、そうやって発見できる未記帳の領収書1千万円分(その他、前担当者の故意過失)、には相応の価値があるはずなのです。

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