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用意ドン、でしばらく停止する反訳書作成のはなし(準備編)

反訳書。訴訟で提出する、複数人での会話の記録を文字化した書面です。

民事関係裁判書類作成を主たる業務とする当事務所で、最もやってはいけない作業を三つあげればまずこれだ、といえる仕事が反訳書の作成です。今夜はその業務を一つ終えました…作業が終わったときには20時を回っており、晩ご飯のお買い物に出るのもおっくうになってしまいましたが。

この作業が面倒な理由。人の頭はたぶん、会話を正確に文字として認識していないように思えます。10分なり1時間なりの、ウソやごまかしや怒鳴り合いなどが入った録音データをポンと投げられて、再生と巻き戻しを繰り返しながら文字入力して厳密に逐語訳する作業に慣れている、などというのはこれを仕事でやってるごく一部の人に限られます。講演や裁判所での尋問など、話者が限定されており発言が交錯しない録音を文字化するのよりはさらに難易度が高いのです。

さらに、これは当事務所特有の理由かもしれませんが。
録音中に出てくる人物の最低一人は、反社会的なパーソナリティ(゚_゚;)

会話内容や事案そのものに下手に思い入れると義憤に駆られるかゴミ箱を蹴飛ばしたくなるか昼寝したくなる、併せて関係者ご一同様には代用監獄か閉鎖病棟でいい物件をご紹介してみたくなる、そんな人が必ず出てくるのです。そのいずれかの施設利用歴が既にある人が出てくる会話も時折あるようで、とにかく心穏やかにできる業務ではない、そのことだけが明らかな状態で作業に入る、と。

勝手な人が馬鹿なことをした紛争でほかに書証がないとき、半ばやむを得ず作るのが反訳書。そういうことなのです。

逆に考えれば、事実認定をめぐって激しく争う案件になることが多く真面目に取り組めば代書人としての技量はあがるが時間あたり収益は下がる、そういうことだったりもします。

ですので案件としては好んで受けていることが多いのですが(この点では、依頼人の皆さまには安心していただきたく存じます)とにかく反訳書作成の依頼を安易に受託しないよう常に気をつけているところ。

作業を手伝っていただく補助者さまを意識して、反訳書作成を控えた出張時には特に念入りに、いいチョコレート(お土産)を探せ、というのも重要な注意点です。

そんな反訳書作成のご依頼を受けまして。
一昨年と昨年に引き続き、やっぱり今年も挙動の変な相手方の言動がいっぱい入った録音データがやってきました。

しかし当事務所の実務は、一昨年と昨年とは違うのです。印象としては、作業に伴う苦痛が6割ぐらい減った気がしています。

…昨日から、なんですがね。

実は新しいサービス・ソフト・機材の使用に伴う作業方法をようやく確立できたのが昨日でして。

お客さまとは先月から、複数ある録音ファイルを分担して反訳作業にあたっているのです。

結果として…

正直に淡々と作業に取り組まれたお客さまの努力を裏切ってペースアップすることになったかもしれません。意図してやったわけではありません。

納期約一週間あったうちの半分を、利益を生まない試行錯誤に費やした結果を明日以降記事にします。要約すると

  1. データの漏洩を気にしなくていい状況下にあることを確認したうえで、自動反訳のサービスはNottaを利用する
  2. 録音機材は指定できないから、渡された録音データはAudacityで前加工を施す。施すのは音声の増幅と、若干のノイズ除去。
  3. 音源は音楽用CD形式での提出を考慮して、前加工では最大74分(CDにより80分)ごとの録音時間で録音データを分割する。これも前加工で行い、NottaにはWav形式のデータをアップロードする。
  4. Nottaは適切に整備されたPCと有線LAN、光ファイバーでのインターネット接続がある環境下ではWeb版の利用を可とする。そうでなければタブレットかスマホにアプリをインストールして運用すると、挙動の低速化は防げる。
  5. 複数回この不幸、いえ業務としての反訳書作成に立ち向かう予定がある場合、フットスイッチの導入を強度に推奨する。2ペダルを装備したものがあると、ひょっとしたら幸せになれるかもしれない。
  6. 業務として反訳書作成を行う場合は、依頼人とはできるかぎりNottaのシステムを用いて反訳結果の確認や編集を依頼・分担することが望ましい。
  7. 校正が済んだ反訳データは、Nottaにテキスト形式でエクスポートさせ、表計算ソフトに取り込んで完成させる。

以上で、発言ごとに話者が分離され、録音ファイル中の発言時間が併記された反訳書の内容が入手できることになります。作業時間を短縮する(または、時間の浪費を回避する)のに役だったわりに、世のウェブサイトに載ってないのは上記2・4・5項でした。このあたりの工夫を確実に有用なものにするために…ある程度時間を突っ込んで(見かけ上作業が進んでない状態に耐えて)試行錯誤を続ける必要があったわけです。

なので、作業終了までこっちの進行状況は黙ってました。この作業に関しましては(笑)

フットスイッチを含めて、この作業に必要な費用は5千円でお釣りがきます。ご同業の先生方にはちょっといいフットスイッチを買う1万円コースがよいでしょうか。

本人訴訟の当事者などごくごく少数の読者さんを想定しつつ、この記事は明日以降に続きます。

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