自主規制しつつ利用開始する新サービス-さらなる調査能力の向上を目指して-
今日の記事の読者は極めて限定されます。同業者さんのごくごくごく一部=非定型的裁判事務にクビまで浸かった方と債権回収のために本人訴訟を進めておられる方のごくごくごく一部…当事務所が受託すると決めた人に向けてお送りします。
当事務所ではここ10年ほど、東京商工リサーチのTsr-Van2を利用して『役員名による法人の検索』を、限定的ながら可能にしておりました。
これはどうしようもない社長による賃金踏み倒しその他の詐欺的行為への追及に非常に大きな効果を発揮しており、このほど当事務所では法人格否認の法理によって社長の個人責任を認めさせる判決を得たところです。
超簡単に言うと、社長の名前をインプットしただけでそいつが作り散らかしたダミー会社がごろごろ発見される、そういうサービスの恩恵にあずかっている、と。これは公式な登記制度=法務局が出す登記事項証明書や登記情報提供サービスにはない機能なのです。
で、今日。
当事務所もようやく、登記簿図書館のサービスを利用開始できることになりました。
このサービスは、利用者(当事務所)と民事法務協会提供の登記情報提供サービスのあいだに介在しています。当事務所が登記簿図書館を通じて登記情報提供サービスから登記情報を取った場合、そのデータは登記簿図書館にも蓄積される(で、他の利用者もこのデータを検索・取得できる)ことになります。
そうした仕組みによってちょっと安く登記情報が手に入れられるというのが売りですが、僕はそこにはあまり注目しません。
そうやって登記簿図書館に長期に膨大に蓄積された法人・商業・不動産の登記情報から、所有者や役員などの個人名で該当する法人や不動産が検索可能になる、というのがこのサービスの偉大なところなのです。昔は見ただけで鼻血が出るような高額な基本料金でしたが今はなんと、基本料金無料。
ある弁護士さんのブログによれば、このサービスはテレビによく出演する同業者がどんなところに別荘持ってるかを覗き見るなどのゲスい目的でよく機能する、のだとか。う~ん、ゲスい。納得したけど(笑)
僕のところでは使い道は2つあります。一つは責任追及中の対象者について、どんな法人に関与しているか=氏名から役員になっている法人を探す作業。そしてズバリどんな不動産を持っているかを、氏名から探す作業。
もちろん同姓同名の可能性はありますが、不動産登記で氏名からの検索ができることの効果は文字通りはかりしれません。このサービス、個人では士業のひと以外に契約できないということですので当事務所の個人客ご一同様には楽しみに待っててくれ、と申し上げます。
もう一つは。
登記簿図書館のサービスの流れを概観するとヒントがあります。このサービスを通じて登記情報を取ってしまうと、かならず登記簿図書館に登記情報が残り、それが他の登記簿図書館利用者から検索可能になるわけです。氏名で。
つまり当事務所の依頼人を守るため=第三者がみだりに僕の依頼人を氏名で検索可能な状態を作らないためには、登記簿図書館のサービスを使うべきでない、ということになります。より具体的には、不動産登記の完了後の確認で登記情報を取得するときには登記簿図書館を経由してはならない、と。
その逆はどうか、と考えてしまったのです。
かつて当事務所では、競合または利害対立する弁護士さんに流す情報を操作しながら投資詐欺の親玉になった社長への責任追及を誘導する、といったミッションに関わったことがありました。そのときにも活躍したのが、役員名で会社が探せるTsr-Vanのサービスだったのです。このサービスを使っている、というより役員名で会社が探せる能力がある人が僕しかいなかったので結果として僕と僕のお客さまが背後で弁護士さん達を操ることになった、そんな事案がありました。
言い換えます。他の人たちが検索できる可能性を高めたい人=ワルいことしてる人!の会社や所有不動産を探索するときには、積極的に登記簿図書館のサービスを経由して登記情報を取得したらいいのかもしれません。そうすれば他の方々も、相手方当事者の名前でいろんな情報を得やすくなるはず。あの社長のあの会社やあの被告のあの建物なんかを今後は意図的に登記簿図書館経由で情報取ることにしてみようか、といった使い方がただちに考えつくわけで…これまたゲスい(苦笑)
とは申せこのサービス、何年か前から東京都弁護士協同組合の特約店になったとか。
想定される使い方はさておいて、そう怪しいものではないという外形を持つに至ったのが今回当事務所が契約に踏み切った理由です。
そんなわけで、使用感を聞いてみたいという方にはちょっとご連絡ください。もちろんリピーターの方、またはすでに依頼中の方に限りますが。
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