抵当権抹消登記手続請求訴訟のクライマックス(所要時間は本文にて)
南予は朝から、雨になりました。
ベンチで書類を広げながら、バスでなく期日を待っています。
未確認の情報ですが、オリンピックは終わったという説がウェブには流れています(裁判書類作成と教材執筆に追われていてよくわからなかったのですが、本当に東京でやったんですか?)。誰もいない待合室のテレビは甲子園からの中継を映しています。
さて、久しぶりの簡易裁判所訴訟代理の仕事です。僕が愛知県に事務所を持っておりここが愛媛県であることは、漢字一字の違いでしかありません。
ここから歩いて10分ほどのところにある簡易裁判所が提示してきた開廷時刻の候補は、11時と13時。11時を選んだのは失敗で、宿毛からのバスは9時半に着く便と11時18分に着く便しかないことに気づいたのは期日請書(指定日時を受け入れると裁判所に出す紙)を出したあとのことです。
こういうことはお客さまに無用の心配をさせぬよう、やらかしただけやらかした後でブログに書くのが手というものです。あはは(わらうところ)
戦前に設定されたまま残っている休眠抵当権、これを気炎万丈勇往邁進、ただまっとうな手段によって抹消してやろうというプロジェクトはいよいよ最重要な行程にさしかかりました。本日は当職が原告訴訟代理人として提訴に踏み切った抵当権抹消登記手続請求訴訟の第一回口頭弁論期日です。が。
ええと
こっちのほうに裁判所、あるはずなんだけど、な
どうやら区検察庁の庁舎(一応写ってるんですよ)を視界におさめていたようで、裁判所は画面中央の一般住宅の裏、区検の隣にありました。
久しぶりに法廷に入ります。
隣家の庭では柿の実が青く色づいています。その隣は水をたたえた田んぼが広がっています。
ちょっと外し気味のブログの書き出しをこの情景から始めるのもいいかな、と考えたりもします。開廷10分前。
期日そのものは3分弱で終わりました。11時3分にはもう、お客さまに終了の電話をかけた記録が残っています。『はい』と2回答えて首を1回縦に振ったら終わり。
法廷の情景を、より正確に描写すると以下のとおりになります。時刻は10時59分から。
書記官:無言で掛け時計を見る
11時
書記官:無言で腕時計も見る
裁判官:入廷
書記官・僕:起立し、一礼
書記官:「令和3年(ハ)第●号 抵当権抹消登記手続請求事件です」
11時01分
裁判官:「訴状の通り陳述しますか?」
僕:「はい」
裁判官:「では弁論を終結します」
僕:首を1回縦に振る
裁判官:「判決言い渡しは9月●日、●時です。今日はこれで終了します」
僕:「はい」
裁判官:退廷
口頭弁論期日実況中継というものがあるとすれば以上です。
もしYouTubeにアップロードできたら上映時間1分40秒くらいで、せめて事件番号が3桁あれば書記官による読み上げの所要時間が増え、もう1秒伸びたかもしれない(苦笑)
裁判官退廷後、書記官の方に送達状況を少しお聞きして判決の送達にも支障なさそうだと確認し、久しぶりの訴訟代理人としての出廷はまことにつつがなく、無事終了となりました。
業界外の読者の方には、訴訟において訴えを起こされたひと(被告)が答弁書を出さず出廷もしない場合、訴訟は原告が一回だけ裁判所に出廷すれば終わってしまい提訴した側(原告)の主張する事実が認められたものとして判決が出る=欠席判決が出る、そんな制度のためにこの情景になった、とお考えください。
ええ、つまりこれは、原告側職業代理人が受任時に妄想する最も楽な終了パターンの一つです。統計上はサマージャンボ宝くじの7等300円が当たるより高い頻度で発生しているはずですが、なぜか僕のところでは…と言いかけて。本当に6等相当=50分の1を超えて100分の1の間にあるらしい事象であることに気づきました。ひどいよ(涙)
ところでこの裁判所では今日、期日は僕の訴訟しか開かれておりませんでした。誰もいない受付の前のベンチでお客さまの迎えを待っていると不意に出てきた若い職員の方がもの問いたげに僕を見ます。
僕:「あ、さきほど終了した期日の原告代理人でして…ここで迎えを待たせてください」
職:「時間はかかりそうですか?」
僕:「いえ、●●(地区の名前)からですから15分ほどで着くはずですが…退出したほうがいいですか?」
職員の方、首を軽く横に振って曰く
職:「時間がかかりそうなら別の部屋でお待ちいただいても」
あらら、優しい裁判所♪
別の部屋には興味がありましたが(調停室かラウンドテーブル法廷とかだったらいっそ入ってみたかったですが、きっと待合室でしょう)、ほどなくお客さまの車が着きました。
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