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農林漁業金融公庫融資の抵当権抹消登記:抵当権設定者に相続発生後、転得者が抹消申請する場合の登記原因証明情報

この週末は仕事の本をまとめて1万円ぶん買い込みました。Yahoo!とLINEの資本提携がどうこう、とのことでYahoo!ショッピングで派手にポイントをばら撒いているのです。

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…あ、仕事の本ですよ仕事の。何を仕事にしようとしているかはさておいて(笑)

仕事の話しをします。タイトルがやたらに長いのですが、表題の件。探したのですがネットに情報を放っている人がいないので、書き置くことにしました。

守秘義務に反しないよう、事実関係を改変します。

当初の農地の所有者は豊臣秀吉さんです。昭和40年に農林漁業金融公庫から融資を受けました。

たぶん太閤検地のやり残しかなにかがあったのでしょうね。
公庫は構造改善事業の一環かなにかだと考えて融資に応じたと。ここで問題の抵当権設定登記を経由しました。

※もちろん冗談です 決して本気になさらないでください

昭和60年に融資は完済されました。その後抵当権抹消登記の手続きを取ることなく相続が発生し、法定相続人の一人である豊臣秀頼さんが農地を相続します。この相続登記が平成30年に完了しました。

農地の一部は長年の口約束で知人の徳川家康さんが耕作しています。昨年ようやく農業委員会の許可がでまして徳川さん名義に所有権移転登記が完了したのです。両者のあいだには大阪冬の陣・夏の陣などちょっとしたゴタゴタもあり、抵当権設定登記が抹消されないままで相続→売買による所有権移転登記が先行した、そんな経緯がありました。

※もちろん冗談です 決して本気になさらないでください

で、僕が家康さん秀頼さん(抵当権が設定された土地の一部は豊臣秀頼が引き続き所有している)からご依頼を受けた、そんな状況。取り扱い店であるJA某県信連から発行してもらった登記原因証明情報は、以下のようになっていました。


1 登記申請情報の要項

 (3)当事者 権利者(甲)

         義務者(乙)

 ※甲と乙はそれぞれ空欄といういつもの構成です。不動産の表示欄も空欄です。

2 登記の原因となる事実または法律行為

 甲は乙に対し、昭和60年1月1日、本件抵当権の被担保債権全額を弁済した。

 ※この欄、行数としては1行程度の余白を経て日付・宛先法務局等の表示に続きます


さて。訂正印などという贅沢なものは当然打ってありません。この文章と空欄をなんとかして抵当権抹消登記の申請を通さねばなりません。

甲に抵当権抹消登記申請書記載の権利者たる徳川家康&豊臣秀頼、乙に農林漁業金融公庫から権利義務を承継した株式会社日本政策金融公庫、と書いたら登記申請代理人としてもれなく即死できる、というところまでは僕でも考えつきます。

昭和60年に被担保債権全額を弁済したのは豊臣秀吉さんだから。

そうやってみるとこの登記原因証明情報は随分困った作りです。令和3年におこなう登記申請に際して権利者と呼ばれる人間と昭和時代にお金を返していまこの世にいない人間がどうしてもリンクするような書きぶりになってしまっている。これが登記の原因となる事実として『債務者は抵当権者に対し~全額を弁済した』と書いてあったならまだよかったはずですが。

おさらいします。

令和3年に行う抵当権抹消登記としては、権利者は本件土地の転得者である徳川家康さんと、引き続き一部土地を所有している豊臣秀頼さん。義務者は日本政策金融公庫である、と。あくまでも登記申請の当事者としてはそうならざるを得ません。

でも登記の原因となる事実としては『豊臣秀吉は、農林漁業金融公庫に対し~被担保債権全額を弁済した』わけです。たとえ徳川方が自分に有利な史実を作ろうとしてもこの事実は変わらない、と。

そう読み取れる登記原因証明情報を、上記の欄を穴埋めして作らねばなりません(苦笑)

で、考えた結果。当事者欄にまず小細工を施しました。住所や本店所在地は実際には記入しています。


       (昭和60年1月1日当時の抵当権設定者)
権利者(甲) 豊臣秀吉
       本件登記申請の権利者は不動産の表示欄のとおり

      (被承継法人 農林漁業金融公庫)
義務者(乙) 株式会社日本政策金融公庫

こうやっておいて、不動産の表示に書いた土地の末尾に徳川家康さんや豊臣秀頼さんの現在の住所と氏名を書き添えたのです。今回の抵当権抹消登記では土地が複数、その所有者=権利者も複数おりますので、不動産の表示は次のようになりました。

(4)不動産の表示

 所在および地番 名古屋市緑区鳴海町字長田 932番の1

 地目および地積 田 600㎡

(上記不動産につき 権利者 東京都千代田区千代田1番1号 徳川家康)

 所在および地番 名古屋市緑区鳴海町字長田 932番の2

 地目および地積 田 300㎡

(上記不動産につき 権利者 大阪府大阪市中央区大阪城1番1号 豊臣秀頼)


秀頼生きてるのかよ大阪夏の陣あったんだろ、とか名古屋市の農地を大阪の人から東京の人が取得できるもんかよ農地法3条の許可下りねーぞ、といったツッコミは無しにしておいてください。この説例の正確さには影響しません。

説明に戻ります。
少々無理はあるのですが、登記原因証明情報の当事者欄に記載する『』はまず豊臣秀吉だ、という構成にしています。そうでないと登記の原因となる事実欄に出てくる『甲は』という文章につながらなくなります。

ただ、登記原因証明情報には登記申請上の権利者=現在の土地の所有者も書かねばなりません。ですので『当事者欄に書いたことにする』ために、権利者欄には『不動産の表示のところに書いたのが権利者だ(そう読んでくださいお願いします)』と読める言い訳を添えてみた、と。

登記の原因となる事実の欄について、秀吉から秀頼への相続や秀頼から家康への土地売却等の経緯は一切書く必要はありません。

これも落ち着いて考えれば当然で、豊臣秀吉が借りたお金を全部返せば抵当権は自動的に消えるわけですから。
抵当権が消えた後家康が豊臣家を裏切っても関ヶ原で合戦やっても大阪城を焼き払っても、抵当権抹消の登記には特に関係ないのです。

もう一つ、問題がありました。当事者欄に記載する豊臣秀吉さん(故人)の住所ですが、債務の弁済をした昭和60年当時の住所と登記情報から読み取れる住所が一致しない土地がいくつかあったのです。

ひょっとしたら不整合を指摘されるかと思っていた(が、この方が住んでいた素敵な自治体は戸籍電子化前の改製原付票を廃棄しない日本有数のラストリゾートの一つである関係上、法務局から補正指示をくらっても即死はしないと思ってもいた)のですが、そこは不問のままでした。

以上のような記載で補正なく登記申請は通っています。
表題のような事実関係を経て、とってもノーマルな登記原因証明情報を貰ってしまった不運な方にはお役に立つ情報かもしれません。

説例が大げさなんじゃないか、という点はまぁ、そっとしておいてください。実際の相談でもだいたいこんな感じでやってます。

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