A71で三厩へ(春を迎えられない気動車で見に行く津軽海峡冬景色)
雪に沈む駅。色白で伏し目がちな少女が一人、降りた。
奥羽本線、大釈迦です。降りたのは人間ではなくて、雪ん子だったのかもしれません。
少なくともこの駅で降りて5分以上凍らずにいられる自信は、僕にはありません(苦笑)
さて、旅の話しです。先の出張では打ち合わせ日程の変更にともない、2月14日は青森県内で一日自由に過ごせることになりました。14日の宿をまったくほかの場所に=弘前なり大湊なりに変えてしまうことも考えましたが、青森の宿に荷物を置きっぱなしにして身軽に動ける小旅行をしようと思ったのです。徐々に新車が投入されつつあるらしい五能線がまず、選択肢から外れました。
気がかりな、というより無視できない情報があります。
JR東日本管内最後の国鉄型気動車=キハ40系がこの春のダイヤ改正で引退すると。
その終焉の地が、実は青森一帯なのです。
だからこの出張を設定したわけでは、決してないのですが…往復夜行高速バス利用さらに日当なしであっても青森まで来たいな、と思わせるだけの影響はありましたとも。ただ、日程は空いたらいいなと思っていただけで決して口に出したことはありません。お客さまに選択可能な日程をお示しし、自由にお選びいただいただけです(強弁)
JR東日本秋田支社では日々のキハ40系の運用を公開しています。検討した結果、2月14日はA71の運用が奥羽本線弘前-青森-津軽線三厩-蟹田、A72なら逆ルートで日中3時間程度、キハ40に乗っていられそうだとわかりました。
さらにA71のほうが、三厩での折り返しに伴う滞留時間が長い、とも。
鉄道ファンではない読者の方に説明すると、津軽線は青森から津軽半島東岸を北上する路線です。途中の中小国までは、青函トンネルへのアクセス路線としても機能しているのですが現在は貨物列車だけが使用しており、中小国から本州最北の駅である三厩(みんまや)までは純然たるローカル線であります。ちなみに僕が三厩を訪れたのは高校1年の夏、だったはず。30年以上前ですよ(苦笑)
ちょうどいい切符も出ています。青森-三厩は往復2340円ですが、土日だけ使えるあおもりホリデーパスは津軽線全線に加えて奥羽本線の弘前-青森までが自由周遊区間に含まれています。発売額は2520円。
そうしたわけであおもりホリデーパスを買い、まず青森から弘前に向かった途中で見たのが冒頭の情景。弘前から青森までは、川部で接続を受けた五能線から流れてきた鉄分濃さげな中年壮年老年男性で多少賑やかになっておりました…とはいえ4人掛けのボックスシートが相席にならない程度の乗車率でしたが。この日の東北新幹線が運休になっていなければ、もう少し混んだのかもしれません。
一気にそれらしくなってくるのは13時19分発の三厩行きになって青森を出たあとです。A72の三厩発青森行きと列車交換する奥内で鉄ちゃん達も3分の2が脱落し、2両編成の先頭車には僕ともうお一人のご同業=ここでは司法書士じゃなくて鉄道ファンの方、だけになりました。以後は終着までの1時間、この方と二人だけの状態が続きます。おかげで津軽浜名から三厩までの海沿い区間、この季節ではありますが窓を開けて楽しむことができました…あちらさんもそうしておられました。
三厩では不思議な情景が見られました。
乗ってきた客が全員折り返す、と(わらうところ)
そうは言っても乗ってきたのは6名だと(さらにわらうところ)
ちなみに、三厩には1日5往復の列車が発着します。
三厩での折り返し時間は46分あり、乗客たちは全員がカメラを抱えて駅構内を歩き回り、それでも見事なまでにお互いをお互いの画角に入れないようにしながらそれぞれ撮影を楽しんでおりました。
僕は到着直後の十数分、自販機のホットコーヒーを飲みながらゆっくりと、その様子を眺めます。
どうもこのささやかな撮影会に参加するには、最低でもミラーレス一眼、そうでなければ2軸以上のジンバル付きのスマホを必須とするようなのです。気合いの入ってる奴だけ来い、というどこかの事務所の裁判事務のような気配を少し感じました(苦笑)
満足したらしい撮影者たちが車内におさまったところで、彼らと比べればはるかに通常人に近い=軟派な僕も手持ちのスマホで撮ってきました。
キハ40の遺影になるかもしれない一枚としては、まずまず悪くない出来だと思っています。
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