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陰謀論者の強制執行停止決定

ここで転倒→意識喪失→凍死、ってことにはならないはずです。あまり自信はないですが。

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朝食後に外へ出て補助者さまへのお給料の振り込みを終えたら、日中はもう宿に引っ込んで過ごすと決めました。
20時発上野行きのバスの予約がとれています。ホテルは22時までにチェックアウトすればいいという大変結構な宿泊プランで青森市内に滞在中です。


仕事の合間の無駄話、単なる妄想、として以下の記事はお読みください。特にご同業の皆さまには、実際の事件とは関係ないことをお断りしておきます。

あるところに、どうしようもない被告がいたとします。
常識的にみても法律的にみても社会正義の観点からも到底受け入れられない主張を出して、第一審で全面敗訴した、つまり原告完全勝訴の判決がでました。いえ、出たとしましょう。

そんな人にも第一審で訴訟代理人はついていたのです。
この例では請求額は300万円、廃止前の報酬額基準では8%を乗じて24万円(*1)の着手金を取った、そう想定しておいてください。

なにしろ被告は本当に人間の●●、なんでその主張には一片の汲むべき点もない、としましょう。当事務所でもたまにあるのですが、受託時に見えていなかった問題が被告訴訟代理人から見た被告本人に見いだされてしまった、と考えてください。

つまり第一審敗訴の判決が出た時点で、第一審被告訴訟代理人と被告の心が完全に離れきった状態を想定します。

ともかく第一審は終わりましたのでこのまま離任することはかんたん、というより契約上当然に可能です。当事務所の裁判書類作成契約でもそうなっています。

ただ、そうすると。この負け筋な事件を受けちゃった第一審訴訟代理人が得る経済的利得は24万円でオシマイです。
もちろん、面倒みきれない依頼人とお別れできるプライスレスな喜びはあるはずですが…ともかく金銭上の利得は24万円。

一般読者の方に補足します。地裁で訴訟代理できる士業における、廃止前の報酬額基準では訴訟代理の着手金と成功報酬の割合は1:2になっています。請求額300万円の請求を被告側で完全に排除できたなら、着手金は24万円で成功報酬は48万円。完全に敗訴した場合は、成功報酬はゼロ、という構造です。

さて、ここで特殊な事情を一つ持ち込みます。なにしろ被告はほんとうにアレな人なんで、第一審で訴訟代理してくれる人を見つけるのに相当苦労した、としましょうか。

そんな事情も、ありまして。控訴審も第一審とおなじ代理人が受任した、そう考えてくださいね。

さりながら、控訴理由書に見る控訴審代理人の活動は極めて消極的なのです。これまでの主張を繰り返すだけで新たな書証一つ出すでもなく、原判決の読み間違いもあるようなないような、そんなペラが出てきた、そう考えていただきましょう。

控訴審代理人ノ思惑ハ奈辺ニアリヤ、というのが今日のお題です。

もう一つ、業界内では一般的に知られているが一般の方には広まっていない事情を持ち込みます。地裁で第一審を終えたあと高裁に係属する控訴審は、多くが第一回口頭弁論期日で弁論終結→和解勧試または判決言い渡し、となる実情があるのです。その傾向はお察しのとおり、原判決を維持するものです。

ですので控訴に際して本気で逆転を目指したい場合、あるいはその逆転を防がねばならない場合は、依頼人に多少の精神的経済的時間的負担を強いることをいとわず綿密かつ精力的な準備を要します。それが理解できない人からの依頼は受けてはいけないと僕は考えるわけですが…

それは僕がいま青森市内の歩道で滑ったりホテルで昼寝したりブログで妄想を書き綴っていることとは一切関係ありません。そういうことにさせてくださいお願いですから(苦笑)

さ、妄想のお話を続けます。完全敗訴した訴訟代理人が控訴審でも適当な書面を出してきた、なぜ?と。

第一審の判決には仮執行宣言がついています。
控訴審係属中でも、第一審原告は第一審被告の財産を知っていれば強制執行できるようになっているのです。差し押さえをかける、ってやつですね。

ただ、なにしろ事業家としてどうしようもない=成功するより失敗するのが好きなんじゃないか、というような被告です。身の回りにカネなんか匂いもしない、そういう状況だとしましょう。

被告はこれまでにいくつか作った素敵なダミー会社で持続化給付金をしこたまもらって直ちに隠匿したに決まってますが、それも当然ながら僕の妄想です。やっかみ半分の(笑)

つまり仮執行宣言は第一審原告にとって客観的には無意味だと、実務家なら当然に理解できる、そんな状況です。

仮執行可能な状態が、無意味なら。
それを止める申し立ても、無意味なのです。ほんとうは。

そうであるにもかかわらず、控訴審代理人は強制執行停止決定を申し立てました。請求額元本300万円の完全敗訴判決で、強制執行停止決定を得るために裁判所が定めた供託金額は260万円としましょうか。相場よりちょっと高い気もしますがこの金額も当然、僕の妄想です。

一般読者の方に補足します。
先ほど述べた仮執行宣言は、第一審の被告が控訴後に申し立てをするとその効力を止めることができます。

タダではできません。第一審被告は、国(法務局)にお金を預ける必要があるのです。

上記の例を読み替えると、請求額元本300万円プラス遅延損害金若干の仮執行を免れるために被告は現金260万円を国に預けた、つまり供託したわけです。

おカネってのは出てくるときには出てきますよね…
特に人の欲望を実現するときにはもう、すぐに(嫌らしい笑い)

お話を戻します。完全敗訴した判決、崩壊しきった信頼関係、やる気皆無な控訴理由書、執行可能な財産の不在…
そうであっても敢行された、強制執行停止決定申立て。いったいなぜ?そんな妄想をしているところです。

あくまでも妄想ってことにしておいてくださいね。お願いですから。

ただ、ここまで行けば経済的には合理的なのです。被告本人ではなく、訴訟代理人にとって。

前述のとおり、この事案を第一審完全敗訴で放り出せば訴訟代理人は自由になれますが、得られる利得は上記*1の24万円にとどまります。

これに対し、控訴審も受任すればさらに着手金がゲットできます。
想定としては第一審と同額の24万円(*2)としましょうか。

もう一つ。強制執行停止決定は控訴審とは別事件の申し立てです。本案事件の3分の1の着手金を受けることができる、とされています。
この例、いえ妄想では8万円(*3)。

調べきれなかったのですが、ひょっとしたら強制執行停止決定申立に付随する供託の代理でも別に何万円か取ったりするのでしょうか?その気になれば請求できる気もしますが、ここを省いても以下の結論にはあまり影響を与えません。

整理します。この妄想では被告訴訟代理人が得る利得は

  1. 第一審敗訴時に撤退…24万円(*1)
  2. 控訴審も受任し、やる気のない控訴理由書を出し、強制執行停止決定を得る…24万円(*1)+24万円(*2)+8万円(*3)=52万円

以上の差が生じるわけです。
控訴理由書は適当なペラ、ということで控訴審が期待通りに第一回期日で弁論終結になれば、控訴人代理人はもう仕事する必要はありません。

さらに考えると、第一審における訴訟代理人は『頑張って勝ったら、すでに貰ったお金の2倍のお金をもらえる』状態であったといえます。着手金は24万円で成功報酬が48万円なのだから。
一方、控訴審で強制執行停止決定まで申し立てを終えた訴訟代理人は『この先さらに頑張って奇跡的にベストな結果をえても、すでに貰ったお金の合計(52万円)を下回るお金(成功報酬48万円)しかもらえない』状態だということができます。

…要は、訴訟代理人が訴訟に勝つことを目指すインセンティブは明らかに、第一審受任直後より控訴審受任直後のほうが低い、と!

もっと言ってしまいましょう。どうしようもない依頼人に遭遇し、経営上の要請か一時の気の迷いによってかその負け筋な事件を受任して、順当に負けた場合に訴訟代理人がとれる最適解を考えます。業界倫理は脇に置いておいて、行動経済学的な最適解を。

敗北を前提に訴訟代理人にとっての費用対効果を最大化するには、高裁控訴審を引きつづき受任して手抜きすることだ、しかしその裏切りを依頼人には悟られてはならない…!という陰謀論にたどり着くわけです。

繰り返しになりますが、実際の事件とは何の関係もありません。廃止前の報酬額基準を適用して考えるとこう言える、というだけです。

外は雨になりましたが、ホテルの前から丁度いい時間に駅へのバスがでます。

チェックアウトする前に、もう一眠りします。こんな陰謀論は忘れて。


補足です。当事務所でも第一審終了までを一つの事件として裁判書類作成業務を受託する契約を結んでおりますが、事案が気に入るか依頼人が気に入るか相手方がもうほんとうに●●な人だった場合には特に追加費用無く控訴審の書類作成を受けて立つことがあります。

ただし控訴答弁書の作成に際して、第一審で勝ったから控訴審も当然に勝てる、などと呑気に思っている依頼人には辛く当たったりします。打ち合わせ時の交通費は発生しますが日当はあまり必要ありません。必要があれば行きますが寒いところはちょっと苦手です。

これらはあくまでも当事務所における一般論であり、個別の状況に関連する発言ではありません(遠い目)

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