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有料特急で行く銭湯

よく空いた閉店間際のレストランでお客さまとの夕食を終え、宇和島駅まで連れてきていただきました。
あと3分で松山行きの特急が出ます!

お土産の蜜柑を強奪するように受け取って(あ、これは急いでいても手放せません)、車中の人となりました。八幡浜まで戻ります。所要時間は、30分強。

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  • 僕は宇和島から特急列車に乗って、八幡浜のお風呂屋さんに行きます。

日本語の教科書になら載せられる文章にはなっています。文法上の破綻はありません。
内容的には若干の問題をはらみます。

地名の組み合わせを東京から立川または大宮、名古屋から知立、大阪から神戸、博多から鳥栖、などに差し替えていただけると大体ご理解いただけるでしょうか。いったいどういう風呂屋だ、とイヤらしい目をして突っ込まれる筋合いはないのですが、確かにこのお風呂屋さんは…いささか特殊です。

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愛媛県八幡浜市にあるお風呂屋さん『大正湯+Plus』は2階が簡易宿所なのです。一泊2500円。もちろん宿泊者は風呂入り放題。

チェックインは番台でおこないます。記帳を済ませると、男湯の入り口から番台の前→女湯の入り口側→階段というかなり特殊な動線で(女湯の入り口→番台の横→女湯、という動線と直交します!)階段を上がり、2階にある小部屋に案内されました。広さは2畳ほど。窓はなく、小さな小さなテーブルと2段ベッドがある、エアコンはあるが鍵はない、テレビはない、他に一つだけテレビがある客室があるようで、その音や他の部屋の利用者の会話が聞こえてくる、洗面所は共同、2階のトイレは男女共同…それが今日選んだ『平成の部屋』なのです。

一言でいうとフェリーの2等寝台。
ベッド幅は1m弱あるのでB寝台とは言うまい、そんな感じです。

鍵がない…のですが部屋には長さ90cmほどの角材が一本配備されています。これをつっかい棒にしたらいいのか?と思ったのですが、引き違いになっているもう一枚の障子は開けられます(苦笑)とにかく鍵はありません(これ、旅館業法かなにかの規制の関係でしょうか?)。

そうではあっても相部屋にはなりませんしWiFiも使えます。登記識別情報通知その他の重要書類を運搬しているときには利用しないことだけ注意しておけば、これはなかなかいい宿です。登記より裁判事務の仕事で来るならいいか(苦笑)

歯ブラシやひげ剃りはありませんが(このあたり、まさに2等寝台ですよね、と旅好きな方には申し上げます)、洗面器一個とタオル2枚が貸与されます。

…1階の浴場まで60歩ほど、銭湯にいく気分を楽しんでくれってことか?と考えかけたのですが違うのかもしれません。
先ほど述べた、女湯入り口付近における動線交差の問題をこれで解決しているのかもしれません。洗面器持ってる男は宿泊者であるが持ってない奴は不審者だと識別するとか(笑)冗談です。

1階はまさに街の公衆浴場、銭湯、お風呂屋さんです。お湯のカランからは思いっきり熱いお湯が出て、黄色い洗面器はケロリンの広告を兼ねていて、ただ現代的なのは小さなサウナとマイクロバブルを吐出する浴槽が併設されています。

壁の絵はセオリー通りの構図です。青い海、緑豊かな山々、ひときわ高くそびえる、霊峰富士。
と、宙を舞う蜜柑の輪切り。蜜柑ジャム(蜜柑ピールかもしれません)が入っているらしい、ガラス瓶。

日本語の教科書には載せられるが意味内容としておかしい記述をした自覚があります。いま、追加で。

もう一回繰り返します。銭湯の壁絵に、オーソドックスな海と山と富士、それに加えて蜜柑の輪切り、ならびに蜜柑のジャムらしい蜜柑加工品入りのガラス瓶、が空中に描かれています。

蜜柑の、輪切りが(*゚Д゚)

ここまで言ってしまったのでさらに補足すると、描かれている山々には蜜柑の木ではなく蜜柑そのものが描きこまれています。他の樹木船舶地形と対照した結果、本件図上における蜜柑一個の推定寸法は最小30cm、最大15mほど、そんな蜜柑がいくつも描かれていますヽ(゚Д゚)

蜜柑が日本を征服した後の世界を描いたライトノベルの表紙にするなら大変よろしい絵だな、と思います。
蜜柑が大好きな人の欲望をいたずらに刺激する特殊な浴場の壁絵としても最高だ、とも。

あとは子ども向けに水鉄砲一丁と黄色いアヒルのおもちゃが1個小隊ほど待機していたり、水風呂とマイクロバブルの浴槽のフチにペンギンのオブジェが佇んでいるなどなど、なかなかお茶目なお風呂屋さんでした。

ここは僕の好きな場所、です。壁絵が気に入ったかどうかはさておいて。

久しぶりに『美味しいお店と素敵な宿と』のカテゴリーに記事を追加します。
これまでの記事では素敵な同行者がいたほうがよさそうな物件ばかりを紹介しておりましたが…ここはお一人さまの旅におすすめ、だと思うのです。

僕からすれば名古屋から普通列車で乗り継いで日着圏ぎりぎりのところに安くて綺麗な宿がある、というだけでも価値が高いのです。
いつも使う四万十・宇和海フリーきっぷより1500円ほど高く自由周遊区間が広い四国西南周遊フリーきっぷを使えば宿毛ー宇和島のバスに加えて宇和島ー八幡浜の特急列車も乗り放題になってしまいます。

そうすると。一泊4千円台の宿しかない宇和島からここまで宿泊のために複数回移動しても交通費が増えません。つまり連泊すれば単純に宿泊費が減ります。

今年は宇和島より八幡浜で決まりだ、と勝手に思っているだけなら害はないだろう、と思っています。

 

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