同業者の下品なウェブサイトに興味がありまして(面談での本人確認をパスできる正当事由を探ってみる件)
こいつはとびきり下品だ、と思えるウェブサイトがあります。
関西地方某県に事務所がある同業者のもので、残業代請求のサイトができていたために気づきました。おそらく自作なんですが、色使いから画像から文章からとにかく下品だ、と僕には思えるのです。
で、そのサイトの抵当権抹消登記のページをもう一度見てみたくなったのです。
相変わらず下品で安心しました。きっと本職、元気なんでしょう。
そんなことをした理由は昨今の社会情勢にあります。あの救いのない連中=抵当権抹消登記一式1980円とか2980円とかいうウェブサイトを作って全国対応を標榜している事務所群は、いったいどれだけ本人確認を手抜きしているんでしたっけ?
正当性は毛ほどもないはずです。どの事務所でだってできる業務を報酬の安さを売りにかき集めているだけだから。
で、どうもそれらの事務所は受託に際して本人限定受取郵便すら用いていないようです。彼らが提示する費用と工程を見る限り、そう読まざるをえません。
ひょっとしたら本県同業者団体だけが過酷な本人確認規程を持っている、ということなのかもしれません(冗談ですが、抵当権抹消をやたら安くやる事務所が本県に現れないのは…登記が少ない当事務所にはわからないヒミツがあっても不思議じゃないと思ってはいます)
本県では、相談を除く登記や裁判書類作成の受託に際して依頼人の本人確認は面談によるのを原則とし、『合理的理由によりそれによらない場合は』通信手段を用いる方法が使える、とされています。
自分が手抜きして儲けたい、というのはきっと合理的理由たり得ないはずです。
とりあえず欲望優先な依頼人確認の極北が『委任状はダウンロードして印刷し、あとは免許証のコピーを送ってネ♪』というところにあることはわかりました。
事務所が傾くほどの非効率さを満喫しているのは当事務所です。開業直後に一回だけ郵送での本人確認にした簡裁通常訴訟の書類作成が一件ありましたが、あとの15年ほどのあいだ裁判書類作成では全件、面談で本人確認しています。登記については判決や調停調書を使って行うものだけ(裁判所による本人確認が済んでる、という理由で)本人限定受取郵便を用いるほか、あとは全件面談。
まぁ在外居住者から依頼を受ける登記事件がない、という幸せな状況に助けられているので葛藤がない、ともいえますが。
そうも言ってられなくなるのか、たとえば労働者側で賃金未払い事案の発生を受けて行う裁判書類作成のため本人確認規程を尊重しておこなう出張は不要不急の用件か、ちょっと考えさせられているのです。
冒頭で挙げた連中のレベルまで落とすことはないとしても、わざわざ遠距離を移動して知事が来るなと言ってる大都市に行って面談やって、という振る舞いが、社会的にはいいことなのか?とも。
業界団体も連合会もそこまで親切じゃないらしく、今なら本人確認を端折っていいとは言ってくれません。
この際だからオンライン申請の利用を促進しよう、というお達しがいち早く出たのはちょっと笑えましたが黙殺して、話を進めます。
いっそ自粛ではない外出禁止が決まれば文句なしの正当事由になるでしょうが、何か間違って『その場合は業務も停めて寝てろ』というお達しがでちゃっても困ります(苦笑)
受託に際して面談不要とするのは、本質的には作業工程に関する手抜きの計画立案実行、ですので適当な理由をつければ2秒後から実施可能ではあるのですが、今のところは堂々と面談不要をうたうだけの切迫感はないようなのです。
そうこうしているうちに先週は関西地方から二つ、裁判書類作成になるらしいお問い合わせが来まして…いずれも当事務所のウェブサイトを読んでこられている関係上、適当に他事務所にたらい回しするわけにもいきません。
もう少しのあいだは原則通り面談必須で走ってみるとして、例えば少額な労働紛争で他事務所の相談(相談までは民事法律扶助などの利用を想定します)と本人確認を終えた依頼人は面談不要で受け入れてしまうようなことを考えていいものか、もう少し考えてみたいところです。
どうせ誰とも競合しないだろうから、労働紛争労働側での裁判書類作成にかぎって面談不要を宣言するのが一番気持ちいいのですが…どうせなら、地元の他事務所さんで一回か二回、法律相談援助を受けてからにしてもらったほうが業界内に敵を作りにくいかな、と。
下世話な関心に戻ります。
抵当権抹消を一発2千円とか3千円とかでやるあの同業者さんたち、ほんとうに免許証のコピーもらっただけで本人確認できたつもりでいるんでしょうか?
興味はすっごく、あるんです(悪~い笑い)
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