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20世紀型炊飯器は低温調理の夢を見るか?

両親にはずいぶん物持ちよく育てられまして。大学入学時に買ってもらった炊飯器が今も使えています。

あ、さきごろ45歳になりました。
大学に入学するまでに浪人20年やってた、ということでもありません。

当然ながら内釜のコーティングがあらかたはげ落ちまして、実際にはガス機器メーカー純正の炊飯鍋を使ってガステーブルでご飯を炊いています。

Dsc_0031

そろそろ引退させようかこの炊飯器、と思い立って代替機の検討を始めたのはだいたい一昨年ですが、なかなか決められずにおりました。タイマー予約さえ使わなければ、ガスでご飯を炊けばいいわけですから。

そうしたわけで今では若干持てあまし気味の3合炊き炊飯器を低温調理器に転用しようとしたのは以下の参考文献を図書館で借りだしてきたからです。

あ、左のほうは週刊新潮に食べ物のエッセイ書いてる人の本でした。

同時に予約をかけたため、カウンターでの借り出しが若干恥ずかしい感じはしています。

右のほうは『ごく普通で好奇心が強く、キッチンでもっと面白いことをしてみたい人たち』(初版まえがきより引用)のための料理本です。

食品添加物の使い方に1章60ページあまりが割かれているほか、『キッチンの初期化』『入力の選択:風味と食材』『時間と温度:料理の主要変数』『ハードウェアで遊ぶ』といった章立てになっております。

よく見ていただけるとわかるのですが、オライリー・ジャパンの本だと言ったら当ブログ読者のごく一部の方々=Web関係の仕事をしておられる方にはご納得いただけるか一層ドン引きしていただけるかするとは思います。本書の活用にはプローブ式のデジタル温度計の活用がほぼ必須らしく、僕も最終的には若干引き気味にこの本を読みましたが。

同書で強調される『154°F/68℃ I型コラーゲンが変性する』(目次よりそのまま引用)温度を超えないあたりでの肉の連続加熱=低温調理を、ウチの炊飯器で試してみたかったのです。

プローブ型温度計はありませんが理科室にあるような棒温度計は当然のたしなみとして所持活用しております(補助者さまによれば、当事務所にいくつかある理解不能なアイテムの一つではあるようですが)。まずこれで、炊飯器の保温能力をみてみます。

一般書によれば炊飯器の保温は70℃内外でご飯の温度を均衡させるとのこと。僕のところではお湯を入れた場合、これより低めの69℃あたりで安定するようでした。

最初は素直に炊飯器のふたをあけて温度計を入れていたのですが、思い立って内蓋を外側のふたに固定するゴムを外しました。

Dsc_0032

…まさにちょうどいい、温度計挿入口ができました(笑)

ポリ袋料理に使える(湯せんができる)ポリ袋に鶏むね肉を適当に切って入れてみます。

Dsc_0034

温度が47℃まで下がりました。

さて。この温度を上げるには?

この炊飯器、タイマーはゼンマイ式、スイッチは機械式で炊飯が終わると跳ね上がって保温に入ります。

保温状態からスイッチを押し下げれば炊飯モードに入ります。

つまり、内釜のなかの水温100℃を目指して加熱を開始する、と。

これが毎分5℃くらいのスピード(40~70℃に限る)で水温を上昇させることもわかりました。温度計を使って湯温を測定しつつ、70℃くらいになったところで炊飯から保温に戻せばよいようです。

そのまま1時間ほど放置してふたを開けたところ、鶏むね肉からは若干の肉汁が出ておりました。熱は充分通ったようで、これをいったんフライパンで軽くあぶって『310°F/154℃ メイラード反応が顕著に現れる』(目次よりそのまま引用)状態を作ってからいただくことにしました。

外はパリパリ、中ジューシー、などとクックパッド的軟派表現を一切排すれば、やってることは鶏むね肉のソテーの調理です。

I型コラーゲン変性温度の若干下で長時間加熱することで肉汁の逸出を最小限に抑え、最後にメイラード反応を発生させて仕上げました、と。わーい美味しそう(遠い目)

ちなみに余ったお湯は、賞味期限切れのお茶を入れるなり味噌を溶くなり、人体への影響を気にするなら風呂に入れるなりして有効活用できます。

低温調理に使う、万円単位の値段がする調理器具もでているのですね。お鍋の中で一定温度を保持する機能を持っている、一種のヒーターであるようです。

それを見て、思ってしまったのです。

僕の炊飯器、炊飯モードのスイッチは機械式です。

コンセントの電源を入/切したら加熱/放置を繰り返せます。

※当然ながら、煮汁がなくなったら異常加熱し、温度ヒューズが作動します。コンプライアンス上も問題ない機器利用ができるはずなのです。

最近ではスマートフォンで制御できる、いわゆるスマートコンセントが何種類も発売されています。

これを使ってプログラムを組んで数分ごとに電源入/切を繰り返させれば、室温~100℃までの任意の温度を維持する低温調理装置が数千円でできるのではないか、と思ってしまうのです。

より積極的には温度センサとRaspberry Piを組み合わせて(以下略)

20世紀型炊飯器のIoT化はもう少し事務所がヒマになったら考えるとして、しばらくはI型コラーゲン変性温度ギリギリの低温調理を試してみるつもりです。

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