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債権差押命令申立事件:ゼロ回答の理由

先日申立書類を作成した債権差押命令申立書。よくあることですが銀行預金を差し押さえよう、というご依頼です。

申立書そのものはつつがなく受理され、当然ながら第三債務者たる某銀行さんから陳述書(差押えに係る債権と支払意思の有無を第三債務者が書いたもの。状況により、申立債権者を歓喜させたり絶望させたりする書類)がお客さま方に送られてきました。

が、しかし。

-取引無し-

との添え書きがあるのです。債権の存否はもちろん「無し」。

表題通りのゼロ回答に、お客さまからの報告が少々痛い瞬間です。いくら司法書士が地裁案件で自由に法律上の判断ができないとは申せ、思考停止状態で申立書作ったわけではありませんから。

実際のところ、相手は無防備だし債務名義取得以降のタイミングも十分ずれてるし最初の一発はヒットするだろう、と思って(←この部分、お客さまに言ってしまうと法的判断=弁護士法違反になりかねませんので絶賛自粛中なんですが)受託した経緯はあり、こっちもちょっとショックです。

おかしな点はあるのです。というより、かなりおかしいのです。

よくある行きがかりで債権者は債務者の預金口座は把握しており(たとえば、債務者への振込でお金を貸したようなパターンですね)、陳述書が出てきたあともその口座が生きていることは確認できています。

ところで。

債権差押命令申立書は地裁に出しておりますが、この差押命令が仮にヒットしていた場合は簡裁の手続きで手じまう可能性を残します。第三債務者があくまで非協力的だった場合に起こすはずの取立訴訟は、請求額にしたがって簡裁に提起できることになっており、今回の請求債権額は余裕で140万円を割ってますから。

司法書士の簡裁代理権with法律相談権、ここで復活になるわけです(苦笑)

そんなわけで、第三債務者への照会書を粛々と起案します。先日取引無しって言ってきた陳述書だけど、この口座番号あるよどうなってるの、と。当事務所には珍しく、内容証明郵便など使ってみました。

で、出張から帰ってきたその日。

歓喜…とは言わないまでも転倒状態から歩行可能状態に回復したような報告が、お客さまから入ってきました。予想はしていましたが理由は単純で、債務者には数年前に転居歴があり、債権差押命令申立書には現住所しか書いていなかったため住所不一致により取引なしと回答した、今回は訂正に応じて残高については差し押さえられたものとした、と。

ただ、現時点で自力で債権差押命令申立書起案中のお客さま方にはこうしたシンプルなハッピーエンドがあるときもないときもある、と思っておいていただきたいのです。

金融機関によっては再度の申立をせよと言うところもあるようですし(ただ、こう言われてしまった場合はそれこそ取立訴訟を起こすことを本気で検討すべきですが)、今回のような右往左往を嫌って差押債権目録などに旧住所を併記しておこうとすると、申立書提出時点で窓口担当者と揉めることもあります。

地裁案件で個別のお客さまに個別に法的判断をした個別の助言をすると弁護士法違反になってしまう可能性がありますので当ブログに一般論として書いておくなら、債務者に転居歴が疑われる場合は申立書提出時に多少揉めても(申立には、その時間ぶんの余裕を見ておいて)旧住所を書いておくよう運動すべきではないか、と思っています。

3万人弱いらっしゃる同業者さんのなかには、昨年以降地裁での書類作成業務返上論を提唱される人もおられるとか。だったらその論者、家裁への成年後見関係申立書作成業務も手放す気なのかちょっと知りたい気はします。あくまで興味があるだけですが。

業務の範囲にいろんな重たい制限が課されている職業ではあるのですが…制限が大きいほど妙な発達があるのかもしれません。最近、図書館の書棚で手に取った本を見てそう思わされました。

 


ちくま文庫ですが何か?

 

この世界に見られる男性女性のあれやこれやに関する描写の多彩さは、どうやら書き手と発行人と警察との攻防を経て数十年がかりで洗練の度を増した…あとがきによれば、そういうことらしいのです。

なんかこう、小説の書き手も辞書の編み手もみんなガンバレー(*^_^*)とまぁそういう気になれたのは、僕も一応物書きのはしくれでいたいから、かもしれません。上記リンクの先にある、レビューもなかなか読み応えがあります。

最後にお客さま方には安心していただきたいのですが、上記参考文献所載の語彙を僕が仕事で作成する書類に(所載の意味で)用いることは、ほぼないかと思います。

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