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日用品で行う中古ジェルジェットプリンタ(RICOH SG7100)修理実施の件

補助者の頃から使っていた18年物のインクジェットプリンタと入れ違いにやってきた、RICOHの現行機SG7100。とはいえ例によって、ネットで仕入れた中古です。さっそく裏蓋やら側面カバーを開けてご機嫌を伺ってみたら、なんだか見たいような見たくなかったような状況を発見してしまった…そんな先週の記事の続きです。

結論から言うと、暖かい春を迎えることができそうだ、という話になりました。

さて、RICOHのジェルジェットプリンタの特徴の一つは用紙搬送システムです。ローラーではなく静電吸着ベルトに用紙を吸着させて搬送し、トラブルを低減する…ということで、導入を決めた理由の一つになりました。

この機構を巡っては、amazonに気になるレビューもありました。曰く、『ベルトが切れた』と(愕然)

で、僕のところでは。元々のオーナーたる出品者は「インク切れ」以外の支障を口にしてはおりませんでした。でも現行機のくせに定価の10分の1のお値段…ということで、何かを期待しないのは野暮というものです(笑)

 

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期待に胸躍らせてカバーを外し、本体の後ろ側を眺めてみます。本体内、画像中央から右上に見える薄い縞のある平らな部分が静電吸着ベルトです。その手前では、ヘッドが待機位置におさまっています。

ベルトを駆動するローラーの部分が、予想も期待もしたとおりにひどいのです。まずヘッドのわきを覗いてみます。

 

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なによこのナミナミは(苦笑)

ベルトの縁が、妙に波打っています。

妙に、というより絶対見過ごせない形状と寸法で。

写真左側でピンぼけになっているのが印字ヘッドの待機部分で、このナミナミの箇所を通過してベルトに固定された用紙に印字する…ということで。

ためしに電源をいれるとヘッドがこの部分を通過し、

パン!

という異音を発するのです。合成樹脂を金属が叩くような音を。

ここで出品者にクレームを入れるようなことはしません、別れた彼女に貸したカネ返してもらえるか法律相談で聞くのと同じくらい野暮、というものです。

※という事案を扱ったことは、少なくともここ1年はありません。

 

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そんなわけで、自力で乗り越えるか諦めるかできるわけです。ちなみにこちら、反対サイドの健常側。ベルトの縁はまくれあがっておらず、きれいです。

いったい何が起きているのでしょう?さらに本体背面を見てみます。

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実は写真を撮るのを忘れていたのですが、最初はこの写真のローラーの白い部分が見えませんでした。

ベルトが大きく左に逸脱して、ローラーを支持する黒い部品をこすっていたのです。だからベルトの縁が波打ちながら損傷していたわけですね。納得。

って納得してる場合じゃありません。放置すればベルトの損傷が進んで最終的にはベルト切断になりかねないですし(ベルトそのものは、昔の銀塩写真のフィルムのような…それこそカッターで切れる材質の合成樹脂です)、めくれあがったベルトの縁に印字ヘッドの下端が接触することでヘッドが故障するのも恐ろしい。

-ここで10日間、作業が中断してしまいます-

たまたま切れている色のインクを出していた出品者が近年まれに見るダメな奴で、落札から発送までに2週間弱かけてくれたのです。

そいつが住んでるらしいのは御殿場市。なのにeBayで深圳から部品買ったほうが早いような進行状況です。10日待ってしびれをきらし、和歌山県の別の出品者から買ったインクと同じ日にそのダメな奴のインクも着いた、というのが今日午後の状況です。

-作業再開-

インクは(二つも)来ましたが、テスト印刷の前にこのベルトをなんとかせねばなりません。

損傷した部分を切ってしまうのは真っ先に考えました。荒技でありすぎます。

メーカーへ電話して助けを請い、相続登記2件分ほどのおカネを払って直してもらう…などとは考えてもおりません。なにしろ購入価格が、18年落ちの中古プリンタの売却価格より安い。

まず、位置がずれているベルトを本来の位置に直せそうでしょうか?
ベルトにはかなり強いテンションがかかっていて、ローラーとの間には隙間など作れません。

本体をどんどん分解して駆動機構を素っ裸にできればいかようにもできそうですが、僕もそこまでこのプリンタに入れ込みたいとは思えません。

そもそもなぜ、ベルトが本来の位置から…おそらく2cm以上もずれて別の部品に接触したのでしょう?

これが日曜大工なら、ベルトの両端を支えるローラーが平行でない、ということを考えねばなりませんが。もう少し現実的な可能性として、どこかで脱落した部品や破れた紙が引っかかっていたりして、一部に妙な力がかかっていたりするのかもしれません。

試しに動かしてみようかね。手で。

直上の写真で、ローラーをカバーする部品を外せばローラーを直接手で回せます。

当然、ベルトには手で触れることになりますが…別にかまいません。

あ、正確にはマニュアルに「搬送ベルトには手を触れないでください」と書いてあるのを無視することを承知していれば、別にかまいません。

そんなわけで、手袋なんかせずに素手でベルトをぐるぐる動かして、ついでに住宅用洗剤で拭きながらベルト一周ぶんの様子を見ますが、別に異常はなさそうです。

でも、ベルトを右にずらすことは無理に思えました。進行方向にベルトを送って回すだけなら普通にできるのですが。

発想を変えてみましょう。

  • 長期に少しずつ妙な力がかかればベルトがずれるかも。
  • 短期に派手な力をかけたらベルトをずらすことができる…かも?

具体的には、ローラーを回すときには当然ローラーの外周を回るベルトに手を触れて、いわばベルトの上からローラーを回しているわけですが、このときにベルトの進行方向に加えて、その直交方向の力をかけてやったらどうでしょう?

ずれろずれろ右にずれろ、と念じながらベルトを2~3cmずつ、進行方向に送り出します。

このときに、進行方向に向かって斜め右にベルトが送られるようにも、少しだけ力をかけるのがミソ、らしいのです。最初はずれないのですが、ずれだすと一定のペースで位置を変えてきます。

必要な量だけ位置を変えたら、今度は進行方向にだけ力をかけてしばらくの間ベルトを送ります。

※最後の動作で、ベルトの進行方向と直交方向に想定外の力をかけた影響が除去できればいいな、と考えています。

所要時間10分ほどで、ベルトはローラーの中央に戻りました。逸脱、解消。

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ベルトの位置が戻ったときの、ローラーの逆側の端です。もう1枚上の写真と比べると、ローラーの白い部分が左右だいたい同じ長さだけ露出しています。

さて、あとは冒頭で見た、ベルトの端のナミナミをなんとかできればいいはずです。

印字ヘッドがベルトの上を通過する、せいぜい1mmとかそうしたクリアランスを確保するように、薄くて硬い何かで上から押さえればいいと思うのです。

どんな素材が入手しやすいでしょう?

地位や立場により、いろんな人から送ってもらえるらしい生活用品。ステンレス製。

僕はまだカミソリの刃を匿名希望の方からプレゼントしてもらえるほどの仕事はしておりません。なにか別のものを探しましょう(遠い目)

何か…たぶん金属製の硬いものがベルトの縁を押さえつつ、厚みと押さえる力はベルトの走行に支障させないようであればいいはずなのです。問題箇所を落ち着いて眺めます。

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ネジを外してみたところです。

理想的にはこのネジとねじ穴を使って部品を固定する、ということになるはずです。

別の素材なら、お客さま方から郵送されてくることに気づきました。

寸法をよく計ってからラジオペンチで2ヶ所直角に曲げ、少しねじって形を変えると。

 

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ぴったり、です♪

もともとがゼムクリップなのでほどほどにバネがあり、上からやさしくベルトを押さえつつベルトの走行を阻害しない、という用途にはまさにぴったりであるはずです。

最初はふつうの金属製ゼムクリップを加工したのですが、2枚上の写真のとおりこのねじ穴は金属製のフレームにつながっています。ベルトは静電吸着ベルト…つまり静電気をかけて用紙を吸着する、ということでこの部品に金属製ゼムクリップをくっつけて金属製のフレームにつなげたら、なにか電気的によくないことがありそうな気がして樹脂製の被覆があるゼムクリップで作り直すことにしたのです。

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別に、決して、カラー写真のコントラストを重視してみたとかそういうわけではありません。単に緑色しかなかっただけです。

人事を尽くしたところで、最後にマイナスドライバーを一本差してカバー解放の警告を黙らせます。

 

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駆動機構を見ながらおこなった初めてのテストプリントは、それこそ何事もなかったかのように終了しました。

エビスビール500mlに見切り品半額のお総菜を二品加えて、新しい中古のプリンタ就役を祝ったところです。


中古のジェルジェットプリンタを導入された方々へ

皆さまお探しの通り、リコーのプリンタをばらしてどうこう、というコンテンツはほとんどありません。まぁ基本的に保守契約下での運用を想定しているメーカーさんだからなんだとは思います。

で、このシリーズの心臓部であるはずの静電吸着ベルトがなぜか本来の位置からずれる!という目に遭ってそれをどうにかしてしまった、という経験を公開してみることにしました。

理想的にはベルトの位置を定期的に目視して、挙動が怪しくなったら手で元に戻してしまえばいい、ということのようです。仮にベルトがヘッドに接触するほど逸脱しても、この記事のような方法で少しは使い続けることができるかもしれません。

最後にお約束ですが、作業にあたっては自己責任で、楽しくやりましょう。

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