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出張報告3日目「Kさんのおかげで、今日はシアワセでした」

  1. 自分のじゃない布団で目がさめた。
  2. 前夜の就寝時の記憶がない。記憶が絶えた時期も不明。
  3. 誰かがかけてくれたらしい毛布が、腰のあたりにかかっている。
  4. 足はあらかたはみ出して、布団から45度の方向に向いている。
  5. おそるおそる起き出すと、男が微笑んで言う。
  6. 「昨日はよかったよ」と。

女性になった経験はないのでわかりませんが。男性としてもきわめて気まずい朝です。

 

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周りの人の報告を総合します。

昨晩、弟子の布団の上で呑みながらしゃべっていた僕は、みんながふと目をそらした隙に事切れていて、そのまま朝を迎えた、というようなのです。

「師匠にもそうした面があるんだ、よかった」としきりに安心する弟子とその他の人たちが別の予定に出発し、僕は社屋で今回のご依頼の仕事をしてしまわなければなりません。

朝7時半を過ぎたところで、いまからKさんを迎えにやるという電話がお客さまからかかってきましたが…見送ります。部屋を掃除しておかないといけません。僕自身の依頼人とのメールも溜まっています。

今日の執務開始は9時台にして、社屋で作業に入ります。

お昼になりました。Kさんが言うのです。

お昼に連れてってくれる、と。

キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

Kさん号は世間一般のそれとは異なる意味で、素敵な車です。僕は鉄ちゃんなのですが、この方がどれだけの情熱をこの車に傾けているかはよく伝わってきます。社用の買いものに行くついでだ、ということであれやこれやの話題が弾みます。

なにより共感できる話は、入る前から味が見えてるようなチェーン店には入らない、と。

キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!

当初の目的地だったカツ丼屋さんが見つからないということで、有名なチェーン店ではない、味噌ラーメン専門のお店に入ります。

やっぱりランチはこうじゃなきゃ、と堪能し、「Kさんのおかげで今日はシアワセでした」とお礼を申し上げて苦笑されたところです。

なんとか当初の作業予定を終え、夕方になってお客さまが戻ってきます。一応、今日が出張最終日。当地には20時頃まで滞在可能と告げてはありますが、腹案を隠して話を続けます。

今回の出張でようやく取れた、お客さま本人から話を聞く時間です。

  • この方の理想はいったい、どこにあるのでしょう?
  • それへの障害はいったい、どこにあるのでしょう?
  • その克服方法をいったい、どうお考えなのでしょう?

20時前になって思いついたように一泊延長・宿泊所利用の許可をとりました。

お客さまの計画の詳細について話を進めます。残念ながら僕の判断は消極的なものと受け取られたようです。守秘義務に反しない範囲でいえば、

あなたには失業者の気持ちなんかわからない

そう申し上げました。僕は元、失業者なので。

21時も過ぎました。晩ご飯にカレーでもということで話をうちきって外へでます。

別にお酒を飲んだわけではないのですが、僕は先刻から出来上がっています。

「せっかくお金をかけて僕を呼んだのに、もったいなくないですか?こんな使い方して」

ほぼケンカをふっかけてるに等しい言い方で水を向けたのですが、少なくとも相手が車を運転している間は双方逃げられません。

せっかくサシで話せるのです。さらに話を詰めます。

到着した「カレー」屋さんは、やっぱり、というべきでしょうか。coco壱番屋です。

冷めたカレーが薄い膜を張るのを下に見て話は続き、とりあえず今回で僕への新規発注は停止、という結論を見て全日程を終了することになりました。

宿泊所への車の中でもさらに話は続き、相談終了時刻は22時56分。

今日もまぁ、よく拘束されました。後半は自ら望んだことですが。

さて。

僕はもう、ここには来れない可能性が高いと考えねばなりません。

で、お客さま自身がそれを言うまでは黙ってる必要がある、という特殊状況です。今日の同宿者は、弟子・野外活動に詳しいYさん・学生さんと僕の4名。

話題を変えることと、なにか手がかりを残して去りたいな、という思惑がありまして、起きていてくださったYさんに話しかけます。

「(ある面積・ある種類の場所。守秘義務に関わるので省略)を一晩借りられて、何をやってもいいと言われたらどうするか、というのを聞いて回ってみたんですが」と。

回答件数が少ないのですが、ここで伝えておかないともうその機会がないかもしれません。幸い、この話題は彼の管轄です。

未熟なフィールドワークの結果を伝えたら、一部で盛り上がれる話題がありました。

しかし。

脇の布団で横たわっている弟子から、前日のプレゼンに向けられていたような気配が伝わってきます(戦慄)

ややあって弟子、おもむろに起き出して曰く「それは受け入れられないだろう」と。

めでたく一刀両断していただいたところで、同じ質問を弟子にも向けてみる気力は残っています。一応僕、明日の朝までは彼の師匠です。怯んではなりません。

さすが僕の弟子だけあって、当分のあいだ守秘義務を自主設定するほどのえげつない回答ととっても綺麗な回答を二つ並べて出してくれました。

弟子には聖俗二つの可能性を追求していただくことにしてその晩は横になったのですが、ちょっとくやしいのです。

このこともあって少々寝付きが悪く、外の木が風に揺れるのを眺めておりました。

さて、今日残念だったこと。

第一に、晩ご飯がcoco壱番屋だったこと(笑)

第二に、せっかくのフィールドワークの結果が弟子にぶったぎられたこと。

最後に、出張最終日のいよいよ最後になるまでお客さまとまとまった時間、話ができなかったこと、ですね。

 

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