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現職と元職と事務員が作る、有料法律相談のカオス

クラウドソーシングのサービスにはここ2年ほど、注目を続けています。

今年に入ってからはここで作業をしてはいないのですが、ランサーズのアカウントを維持して同社のサービスを観察しているのです。

『過払い金』『相続』『ブラック企業』などいくつかの検索キーワードを登録しておけばそれにひっかかる案件募集の情報が配信されてくるため、そうした案件数の変遷を見ることで、当該分野の、主にウェブサイトやそのコンテンツを作りたい人の増減を探ることができます。

…ちなみに、2年前の時点ではまだ過払いだの破産だのといったキーワードを含む雑文書きのタスクが結構あり、現時点では見事に尻すぼみになっている、今のトレンドは離婚と交通事故、債務整理だったら任意売却、と(笑)

そんなランサーズが今年から始めたサービスが『ランサーズストア』です。

これは、従前のクラウドソーシングのサービスが発注者中心(発注者が情報を出し、受注希望者が応募する)だったのに対して、受注希望者がサービスメニューを出して発注を待つ、という形態になっています。

昨年までもときおりあった『会社設立の申請サポート』とか『確定申告書の作成』みたいなかなり黒い(ええ、無資格者がやったら業法違反の)サービスがきっとランサーズストアにも出てくるだろうな、と思ってこのほど検索をかけてみたところ。

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法律相談のサービス(っていいのかよ!というツッコミは後で♪)には、検索結果の右側三つ、それぞれ弁護士の方、元弁護士の方、事務員の方が受注希望を出しておられます。

なぜか現職の方の料金設定が一番安く見えるのはきっと何かの冗談でしょう。すでにこうしたサービスをきっかけに訴訟に発展した例も当事務所で扱っています。目に見えるものをそのまま信じてはいけません。

特に上記の検索結果で元職の方が書いてる紹介文は、『弁護士でない方が弁護士でないことを自覚して、有料で提供する法律相談類似業務のぎりぎりいっぱいの限界』を示唆するようで実に興味深い、と言わなければなりません。審判によってはボールと判定するスローカーブのような文章です。

楽しくなって、さらに調べてみます。いろんなサービスが出ています。

○解雇や残業代請求などの労働相談。2千~5千円。

 一般労働者がここに相談入れようと決めた時点できっと事件性アリだろうけど、そんなもん知りもしない、って感じの紹介文が出ています。

○遺言書作成。2万円。

 こちらは本職の行政書士さんのご様子。同業者から嫌われそうな価格設定です。

○最後に『登記』と入れてみたら。

これは現在、該当なし(安堵)。ハワイに会社を作る手続きの代行、とかいうのが一つ出ていました。

ランサーズストアではないのですが、離婚調停に添付する陳述書22ページ読んでコメントする業務、1500円とかいうのも出ています。利用手数料2割取られるので、受注者の手取り1200円。

※その業務が法的にいい悪いはさておき、そもそも家事調停に出す陳述書22ページなんて、調停委員が読みきれんだろ(発注出して受注させて納品させて満足した時点で戦略的に負けだろ!)、というツッコミは当然誰からも入りません。恐るべしランサーズ。

そんな文字通り混沌が広がりつつあるクラウドソーシングのサービス、まっとうなサービス提供者を見つけられたら確かに使える可能性を秘めてはいるのです。

たとえば僕が実験がてら1文字1円~0.3円で書いたいくつかの雑文は、確かに同業者さんのサイトに載っかってます。

ええ、お値段に応じた品質で納品した、相続やら雇用保険やらのコンテンツが(遠い目)

逆にそうしたクオリティのコンテンツが、ランサーズに案件を出したWeb作成業者と大元のプロジェクト発注者たるセンセイ方の審査をパスして世に出てしまう、そんなことがわかりました。ここ数年、法律関係でゴミコンテンツが増えて検索エンジン経由での情報収集が面倒になった理由に深く納得できたものです。

そんな冗談はさておいて、たとえば登記や訴訟でたまに必要な訳文添付なんかは、ダイレクトメールを送りつけてくるような会社に発注するならクラウドソーシングのサービスに同じ案件を2つ出して両者の成果を突合させ、まっとうなほうを取ることだって費用面では可能でしょう。(運がよければ同じような品質に収束してくるはずです。悪けりゃどっちも不採用、かもしれませんが)

このクラウドソーシング、今まではウェブ作成やイラストや翻訳に使うものだと思っていましたが、そのうちいろんな士業で元職やら現職やらを見つけることすら余裕で可能になりそうな気がします。

これらの一部は、まっとうなものなのかもしれません。残りのいくらかはそうでないだろう、とも思えます。

どうにも気になるのは、ど素人と現職はともかく、元職の方が市場を破壊できる可能性、を見せられていることなんですが。


このクラウドソーシングの案件観察、今月からキーワードに『信託』を加えます。

受注者募集に出てくる案件がゴミコンテンツのラィテングか、はたまたどうだっていいようなランディグページや事務所ロゴの作成になるかはわかりませんが、これ(民事信託という人も家族信託という人もいます)の募集が出てくるようになると、いよいよこの分野で金儲けをする人が出てくる、という指標になりますから。

いまのところは投資信託やら孫への教育資金贈与信託しかひっかかってきませんが、気長に様子を見たいと思っています。

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