自分のデータが入らないように(第8次開廷表調査準備の件)
明日から10月。過ごしやすくお天気のいい季節がやってきます。
だから、というわけではありませんが例年この時期に、名古屋簡裁・地裁・高裁の開廷表調査をしています。第8次となる今年は、調査期間を一ヶ月とることにしました。偶数次の調査で1ヶ月~4週間、奇数次の調査では2週間のパターンができてきています。
さてこの調査、とってもアナログな手法でおこないます。用もないのに毎日裁判所に通い、裁判所ロビーに出てる開廷表から労働関係事件を探し、見つけたら事件番号&当事者名with代理人名をメモってくる、というもの。
…お馬鹿なことでも続けてみるもので、訴訟記録が破棄されてないここ5年分だけでもコンスタントに100件を大きく超えるデータを集積できています。これをアップデートするのがいつもの目的。
加えて昨年は…残業代バブルは実はなかった(笑)ということを確認する、という目的もありました。
今年の関心は、簡裁訴訟代理(特に労働事件)への弁護士の進出状況です。
司法統計によればあの人たち、簡裁訴訟全体では司法書士と違って関与の件数を減らしていません。なにやら下値抵抗力が強い相場を見ているようです。
司法書士の訴訟代理件数はここ数年、ほぼ過払い訴訟の消長に従って伸びたり縮んだりしてるようにみえるのに。
…あの人たちが意外とまじめだったのか、単に地裁以上の活躍の場が狭まってるだけなのかは不明です。ただ、割合によれば20%ほどのシェアは持っている、ということで、簡裁で10件の訴訟記録を閲覧したら1件出てくる可能性は相当高い、と思えます。
※簡裁の開廷表には代理人名が出ないため、代理人の有無を知りたければ時間を合わせて傍聴に行くか、訴訟記録を閲覧するしかありません
そんなわけで、まずは件数が集まらないと閲覧にも適しないのですが、代理人の就任状況にも興味があります。例年名古屋簡裁では、1週間あたり2~3件くらいしか労働関係訴訟が検出できないのでこの件数そのものがどう変わっているか、も興味深いところです。
ところで。こうしたデータそのものは他庁での開廷表から引いてきたものと合わせて250件ほどあるわけですよ。
事務所としての関与件数が多い代理人ランキングはすぐできるのですが、これは実際にその訴訟を担当してる方と単にボスとして一番上に名前があるから開廷表に名前が載ってるだけの方が違うはずなのであまり意味がありません。
手持ちのデータにしたがって閲覧できる訴訟記録を全件閲覧かけたら、事務所あるいは代理人ごとの勝訴率が出せるのでしょうが…これは世の中によっぽど恨みがある時でなければ公開してはいけない不都合な真実、いえ研究テーマです。
あとはこれ、裁判所外の公開データと突合するとどうなるんだろう?
たとえば登記情報提供サービスの法人のデータをつかって
- 賃金請求訴訟の被告になった企業の5年生存率
とか出せるんでしょうか(汗)業界団体の名簿と突合すれば、訴訟代理人のも(だからそれはダメだって)
世の中には定期的に会社設立→給料不払い→会社休眠または廃業を繰り返す方もいるようです。調査費用がふんだんに使えるなら、被告になった会社の登記情報を片っ端から取得して代表者名を調べ、それをつかって東京商工リサーチのtsr-van2で代表者名から企業を検索することでこうした廃業リピーターと彼らが次々に設立した会社も見えてくるかもしれません。
そうした何に使えるかわからないデータに自分のお客さまの案件を入れたくないという(←勝手な)理由もありまして、今回の調査期間は10月3日~31日としています。
そう、順当に行くと11月に口頭弁論期日がくる案件が僕のところにひとつあるのです。
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