それでもあなたに会いたいの(遠い目)
わあああああん!
ああああああん!
相談室に響きわたる、幼児の主張。たぶん全力。
僕はとりあえず、契約書と委任状の確認を進めます…OK。
あああああん!
ああああっ、うう。
さらに盛り上がる主張(苦笑)。
準備書面の締め切りにいつも遅れるあの職業代理人に弁論準備室で30分これ聞かせたら、更生する気になるんじゃなかろうか。裁判官からのクレームより効果ありそう。
などと思いつつ、僕はさらにさらに身分証明書の写しと幼児をあやす父親の顔を対照します…OK。
仕事とはいえ、いたいけな幼子をかような事務所に呼びつけたことにいささか良心の呵責を感じながら、次のステップに進みます。さらに。
「では登記費用をお預かりしていいですか?」
そう、今日は生前贈与の登記のお客さまが事務所にお越しになったのです。
過払いバブル華やかなりし頃、街金の事務所に似てると多重債務のお客さまに言われたことがあるほど殺風景な当事務所相談室ではありますが、基本的には本件、ハッピーな不動産登記の案件なんです。
さりながら、お客さまのお嬢…さまは別の感慨をお持ちのようで(苦笑)
・・・・・・.
あら?
お金の話になったところで、お嬢の主張が止まりました。
別に契約締結そのものに異議を申し立てていたわけではないはずですよね(汗)
おもむろに一万円札を数え出す僕を、思いを込めた上目遣いで見つめてきます。
40歳年下の女性に見つめられてこんなにドキドキさせられるとは思ってみませんでした。脇の下を嫌な汗が流れ落ちます。
「別にお母様からお金を奪おうとしているのではないのですよ」
それこそ街金の事務員でも、もう少し洗練された気休めが言えるだろうとは思いつつ、そう口にしてはみます。目をそらしてくれないお嬢にむかって。
別に怪しい者ではない、と名乗る怪しい人はきっと、こういう気分を味わってるのだろうとも思いながら。
どうやらなかなかのしっかり者らしいお嬢は、僕がお金を数え終わるそのときまでじっと僕の手元を見つめていてくれました(嘆息)
さて本件、よくある生前贈与の登記です。受贈者の人数を増やして一人あたりの持分価格を減らすことが基本方針ということで、就学前のお子さんにも一口ご参加いただいた、と。参加する人数を増やして増やして一人一年あたり110万円の免税点を下回ってしまえば当然ながら、贈与税はおさめずに済みます。受贈者の人数を増やすほか、少々面倒ではありますが複数年にわたって贈与する、というのも悪くない手です。
しかしながらそうすると、必然的に全参加者の本人確認はしなければ、ということになります…司法書士の仕事として。
で、冒頭の光景になるわけです。うわああああん(苦笑)
さて、本件登記申請での必要書類と登記費用は残らず収受しました。
よくあることではありますが…贈与税対策の観点から、いつかは不明ですが残りの持分も動かそう、という計画になっています。
そんなわけで、このお嬢さまにはまたお会いしたいと考えております。
そう、僕が嫌われていなければ(遠い目)
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