昔は過払い、いま残業代請求、そんな事務所の見抜き方
今日は当ブログにたまたまたどり着いた、残業代請求その他労働紛争の相談先をお探しの方々にお話ししましょう。
同時に、一部の同業者さんが気を悪くされるであろう記事ですが…事務所の方向性を迷走させると痕跡は残るもの、そんな話です。
さて、過払いバブル崩壊後の業務分野の一つとして司法書士やら弁護士が未払い残業代請求の分野に参入しだしたのはここ3~4年のことです。
依頼先を探す側がそうした新規参入事務所をふるいにかける方法は、まずウェブサイトを落ち着いて眺めることです。労働紛争ではまさに残業代請求しか扱っていない、それ以外の紛争類型に言及するページがないというのが典型的で、そうした事務所では残業代請求は労働者の権利だと権利意識をあおりながら基本給の未払いに対してどうするかの説明が皆無だったりします。
そうした事務所が5年前に何をやって儲けようとしていたかを推測することは、過去のウェブサイトの閲覧から可能です。
これを実現するのがインターネット・アーカイブで(Wikipediaの説明)、その事務所のドメインを入力すれば過去のウェブサイトの内容とその変化を見ることができます。
…で。
はっきり言ってしまえば、いま事務所のトップページに残業代云々といってる名古屋市内の士業の事務所の大部分(司法書士に限れば9割以上でしょう)は、5年前にはそんなトピックス一行も扱ってなかった、ということも実はわかってしまう、まぁそういうことになります。
ためしにインターネット・アーカイブで『daishoyasan.jp』を入れて検索してみます。
僕のサイトの記録は2005年末から不定期に保存されており、補助者さまがいまだに懐かしがる(下記のサイトの方が現行のサイトよりトップページの一覧性、ひいてはサイト全体の可用性に優れていた、と)5年前のトップページでは
つい最近事務所の文字情報からあらかた消し去った『無料法律相談』の文字がファーストビューに入るよう配慮されていたことがわかります。
ええ、僕にも節操はないのですが(苦笑)、それでも給料未払い事案を扱っていたことはわかる、というわけです。
他の事務所さんの来歴も、当然知ることができます。
労働紛争では比較的コンテンツ量が多く、同業者さんなら誰でも知ってる全国系大手事務所のウェブサイト成立時期をみてみましょう。
ここは成立後約3年であれだけのサイトを作って依頼誘致に成功しているわけです。一般消費者の方に対して、これをいい悪いとはいいません。
それは過払いの時と同じです。きれいなサイト、繰り返し流されるCM、きらびやかな大事務所が好きな人は依頼して…成功すればいいですね(遠い目)、というだけです。
官報がオンライン全文検索できるようになって破産歴が昭和20年代から丸わかりになってしまったときも恐ろしい世の中がきたものだと思ったのですが、事務所経営上はむしろこちらのほうが厄介かもしれませんね。
実はこの一年で、少し気になっていた同業者さんのブログが相次いで消えました。
お一人は死亡された、もう一人は廃業後の情報がはいってこない、という状況です。
そうした、今は直接見られないサイトやコンテンツであってもURLがわかっていれば読み直すことができるかもしれない、そうしたお話でもあります。
« さようなら、『無料』相談 | トップページ | 登記費用自動計算、増強の件 »
「労働法・労働紛争」カテゴリの記事
- AIの助力で作る死傷病報告の略図(2024.05.31)
- 歓迎か謝絶か自分でもよくわからない回答(もちろん労働紛争労働者側)(2021.11.27)
- 言い放題な就業規則の納品説明-飲食店編-(2020.07.28)
- 週末の、就業規則三点盛り(2020.07.26)
- ブラック社長 of The Year 甲乙つけがたい候補の件(2018.11.30)
コメント