残業代バブル不存在確認の件(第7次開廷表調査をはじめました)
このところ、いいお天気が続いています。外業にはいい日和です。
今年も開廷表調査を行います。毎年10月頃に行っており第7次となる今回の調査では、10月19~30日の10日間の簡裁・地裁・高裁の開廷表をチェックして労働関係訴訟に関するデータを収集する予定です。
もう誰も口にしなくなった、過払いバブル後の残業代バブルなんてものが存在しなかったことを確認する、というのもまぁ目的ではあります。あれは士業向けコンサルタント業者のセミナー商法の世界にだけ存在したんだ、と(苦笑)
さて、調査に入った最初の二日で確認できた事件は簡裁一件(賃金)、地裁一件(残業代)、このほか遺族補償年金の不支給処分を争うものが一件ありましたが、これは行政訴訟です。今次の調査も、予想通りひっそりとスタートすることになりました。
本当はもう一件、僕が訴訟代理人になる賃金請求訴訟の期日があるはずだったのですがこれは取り下げましたのでカウントできず、ということになっています。
どうせチェックする開廷表ですので気になるものも探してみます。
地裁では、奨学金返還請求の訴訟が増えている印象があります。
簡裁に一件、研修受講料返還請求という事件名の訴訟がありました。会社が原告、個人が被告です。これはひょっとしたら労働紛争かもしれません。短い在職期間で飛んだ労働者に対して会社側からこうした請求をすると言ってみる、それだけなら賃金不払い事案でよくある話です。
…もっとも、もしそんな訴訟を起こすとしたらその会社ちょっとどうかと思えます。
いつもながら、官署の無料労働相談=総合労働相談コーナーの利用件数と比べて訴訟の利用が少なすぎる気がします。インターネットの普及や無料相談で集客する事務所の増加は、どうやら労働紛争解決のための裁判所の利用増加に強く結びつくものではなさそうです。
もともとは数年前にお受けした研修のお話しのネタとして始めたこの調査、第1次の調査開始以来蓄積した事件番号・事件名・当事者名は200件を超えました。
その過半数で代理人の氏名データも握ってるので、あとは訴訟記録の閲覧手数料を投じれば、実際に提出された裁判書類に照らしてあの人達どうこう、と論評できることにはなります。
当地の裁判所管内開廷表における代理人氏名の表示が、もうしばらく続くことを祈ります。東京・大阪ではもう、代理人の表示がなくなってしまっているのです。
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