不意に直面する恩義のはなし
労働者側で労働紛争に関与していると、さまざまな使用者側の主張をみることができます。
法的に無意味で紛争解決につながらず、読んでて「こいつダメな奴だな」と思うかこっちのやる気が2割増しになる反論が「○○してやった」というもの。
紛争発生前には、その労働者に対して会社から、あるいは経営者から、食事代を出した本やスーツを支給した社用車を使わせてやった、云々。
分かれた彼女にプレゼント返せという元カレと同じくらいに情けないと僕は思います。人の値打ちを下げると思うのですが、この反論に手を染めたくなる経営者は実に多いようです。士業だけでも行政書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・税理士・社会保険労務士・司法書士の諸先生方が敵対側当事者として(代理人や関係者ではなく、当事者として)、電話や内容証明や準備書面でこうした寝言を口にしておられます。
残ったいくつかの士業がまともか、といえばきっとそうではなく、こうした反論を書式だけ綺麗な準備書面にしてくださる先生方も、きっと事務所内ではあれやこれやがあるに決まってます。いわんや街の中小零細企業においておや。
今日も秋晴れの空の元、そうした自慢大会の録音を聞いて右脳が過熱する気配を感じていたところです。
…論理よりは情動が盛り上がってくる何かを感じさせられるのですよ。そういう主張に接すると。
僕も十数年前、僕自身が原告となった労働訴訟で「原告には土地家屋調査士講座の受験テキストをくれてやった」と準備書面で言われたことがあり、こうした反論を見るといまだに血が騒ぎます。
経営側で労働紛争に関与される同業者さんには、なるべくこうした不毛な反論は書面化されないほうがいい(ひょっとしたら僕が労働者側にいて、それ読んでモチベーションをアップさせるかもしれませんし…そうでなくても、会社側は代理人も含めてどうしようもない人の集団だと思われます)というお話なんですが、雇い主から放たれた言葉でなければ義理人情やら恩義は人の行動に結構影響します。
さて、静かな週末にふさわしい、くだらないお話にうつります。
「過払いの相談が」
久しぶりに電話をかけてきた姉が電話口でそう言っています。
「うん成功報酬7割で」
なめらかに切り返せるのはきっとウソだからです(苦笑)
ヤフオクで(姉の息子の)学生服を落札してくれないか、というご相談であります。あちらではそうしたサービスを利用していないけれど、こっちでヤフオク使ってなかったか、と。
どうせ何ヶ月も着るわけではないようですし、入札代行のみと思って快諾します。いちおう僕、よき弟です(遠い目)
入札すべきアイテムを指示され、僕がクレジット決済した後の費用を姉からどう送金して貰おう、という段になって電話の向こうから、日本語とは思えない音声が伝わってきました。
「甥っ子のために買ってやろう、とかそういうのはないの」
「あ、この事務所潰れる予定なんで」
切り返せたのはきっとウソだと信じてもらえるからです(失笑)
地裁への提出書類引き渡し未了の三人のお客さまにはこの事務所、少なくとも潰れる予定はない、と申し上げておきます。強気で言うことでもありませんが…それはさておいて。
●千円といえば相談一回分の稼ぎではないか!と切羽詰まった中小零細事業主そのままに激高しかけて、ハタとばかりにディスプレイの向こうに目線がとまりました。
数ヶ月前に姉から、いえ姉上様からお送りいただいた、まだ使えるA4対応複合機が鎮座しています。
-一瞬で左脳優位になって義理人情やら恩義のクリアリングに入ります。結論、出ました-
ぁ、お支払いします♪
超遠~い目、をして申し上げたことであります。ええ、たまには甥っ子のためにそうした負担をしてもよいではありませんか。はっはっは(←とってつけた鷹揚さ)
ただ、若干の条件をつけ甥っ子への伝言を依頼しました。
- 僕に足を向けて寝ないこと
- 一日五回は感謝の礼拝をすること
- 成人になったら毎月一件、相続登記の案件を持ってくること
たったこれだけ。最後の一件なんか義務の履行が数年後。
わーいなんて寛大なんでしょう、などと真顔で言ったらその人の値打ち、きっと下がるよね、というお話です。
もちろん、姉上からは一瞬で冗談だと断じられました。
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