そこまでしなくても(笑)とつぶやいてみる
この事務所でも簡易裁判所における訴訟代理をおこなっています。
件数はそう多くありません。そもそも新件の受託そのものが少ない現実から目をそらしてよければ、あまり代理代理と言って前に出るのが好きにはなれないからです。
※おやつ・カレー・お酒・コーヒーなどくださる方々とそのご依頼は大好きです(遠い目)と特定少数の閲覧者の皆さまには申し上げておきます。それはさておいて。
そんな数少ない、というより記録を調べたら訴訟代理そのものが今年初だとわかってしまった最寄りの簡裁から、ファクスが飛んできました。定型書式の答弁書です。
- しばらく空欄が続きます。
- 見たことのない言葉が書いてありました。
- 意味を理解して、思わずつぶやいたことであります。上記のタイトル通りに。
全額払う
答弁書末尾には、そういう意味の言葉が書いてあったのです。
…はじめてみました。少なくとも労働関係訴訟では。
どう対応したらいいかわからなくなって思わず焦ります。これ、争っちゃダメだよね(笑)
第一回口頭弁論期日までは余裕があったため、支払い額をお知らせして振込あり次第訴訟取り下げの方向で調整し、先日つつがなくお支払いを得て一件落着、となりました。
これで、おそらく今年は訴訟代理人としての出廷回数ゼロ回で終われるはずです。
なにやら複雑な気分ではあるものの、相手方会社の側に立って考えると非常にうまく手じまっていることに気づかされます。
-以下、倫理観に厳しい方の閲覧に適しない表現があります-
中小零細企業の社長として、労働者への賃金はなるべく払わない方がいい、という考え方があると仮定します。
その場合、さまざま理由をつけて賃金控除を強化し、とにかく支払いを減らすのは適切妥当なルーティンワークなのかもしれません。
そのまま労働者が会社を去って泣き寝入りしてくれればそれでよし、万一バレたらその人の分だけ決然と悪事を手じまって一気に払う、というのは悪くありません。どうせ支払い原資は確保されています。
何も言わない奴からは引き続きピンハネ続行で行けばいい…と?
-以上、倫理観に厳しい方の閲覧に適しない表現のつもりでしたが、よく考えたら過払い金を巡る大手貸金業者の対応がそのまんまこれですね-
倫理や常識や順法精神をどこかにやってしまえば今回の会社さんの対応はまことに鮮やかです。訴状を受け取ったあとでようやくヘタな代理人を買ってウソや正当化に走ったり、よせばいいのに自分で裁判所に出てきて誰からも持てあまされて終わる、そうした駄目な社長よりずっと無理がありません。
こういうグレーな立ち居振る舞いを世の社長たちに身につけてもらう研修、ってのはあってもいいかもしれません。さすがにそんなコンテンツを作って公開したら非難されるでしょうが。
あくまで労働側でいるならば、30万円以下の(つまり、一ヶ月分以下の)賃金請求に限って着手金を減らして裁判外代理のご依頼を積極的に受けるのもいいかな、と思っています。
訴訟代理の件数が少ない理由の一つとして、裁判外で代理人となって特定記録郵便で支払いを催告することで穏便な回収に結びつける手法がわりとうまく行っている、ということもあるかもしれません。
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