調べなければ、見えない
昨日までの大阪出張。オマケのバスと出張相談のお客さまのおかげで、2日の時間は使いましたが費用として持ち出しにならずに大阪地裁・簡裁での開廷表調査を終えることができました。
-西成区にある一泊2200円の宿、ってのを使ってみたのですが案外快適でした-
それはさておいて。5月28日・29日の二日間での、両裁判所における労働関係事件数の合計です。
大阪地裁
- 賃金 6
- 地位確認請求 5
- 退職金 1
大阪簡裁
- 未払賃金支払・賃金 3
以上です。高裁には地位確認請求控訴事件が3件ありましたが、簡裁からの控訴事件は観測されませんでした。
さて、同業者の皆さんと一般人の皆さんとで別々の感慨を抱かれるでしょうか。賃金請求その他の労働事件は東京簡裁でも一日あたり4件弱、大阪簡裁でも2件弱なのです。
おおざっぱな事件数の傾向として大阪は東京の3分の1くらい、名古屋は大阪の3分の1くらいと前々から考えています。今回の結果もそこから大きく外れてはいない、ということは名古屋での件数もさして増えてはいないはず。これは来週確認してみます。
はっきり言ってしまえば、東京・大阪以外の簡裁にふらっと傍聴へ行って労働関係の裁判にお目にかかることなんてないし、もっと言ってしまえば東京・大阪も含めて、簡裁で労働関係の事件を積極的に訴訟にしている事務所なんてほとんどない。
事件数が笑っちゃうほど少ないうえに本人訴訟が混じるのだから、そう言わざるを得ません。以前、名古屋簡裁で一定期間の労働事件について訴訟記録を閲覧したことがありましたが、4分の3程度が定型訴状への手書き=司法書士が作るタイプではない訴状での訴訟提起だったと記憶しています。
残業代請求がバブル化することはまぁ今後もないと考えましょう。あれは過払い請求亡き後の夢を追ってる事務所さんが、なにか間違ってウェブサイト作成にお金を突っ込んでしまっただけのものです。ああした事務所の残業代請求はおおむね裁判外和解をかせいぜい労働審判の申し立てを目指すもので、残業代請求訴訟の件数を5年前の1.5倍に増やす、というまでのインパクトもありません。
過払いと同じように、誰かが一生懸命戦いぬいて最高裁で判例が次々に作られてそうしたパイオニアの功績が簡裁まで広がって…という意味での盛り上がりはまぁ、期待するだけ野暮です。
だったら、というのも変な話ですが。
残業代請求の分野への参入を明言してかまわないな、と考えています。この事務所ではお客さまが戦い抜きたいならそうするだけの力を持つし、コンパクトに収拾したいならそれを試みるのもよい、という立場を採るならよさそうだ、と。
ただ、今までこの事務所のウェブサイトには個々の手続きごとの特徴を解説したコンテンツはあったのですが、他事務所さんみたいに紛争類型(つまり残業代請求)ごとに依頼を集めるページは持っていなかったのです。
出張前に作って公開をはじめたところ、一日に数件ずつのアクセスが観測されています。まだご依頼にはつながっていません。
え?見せなければ見えない、って話じゃないのか、って?
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