少額事案、どんとこい(←虚勢)
ふと気づいて、たじろいだ。
ここ1週間で受けた新件が三つとも、価額10万円以下の紛争だ(汗)
これから1週間で受ける最低二つも…(後略)
司法書士登録11年を経てなお暮らし向きが一向に楽にならない構造を発見してしまった気がします。(みんなこの分野に見向きもしなかった)過払いバブル期真っ最中は月に二つは常に持ってた100万円越えの残業代請求事案、今は一つしかありません。
そういえば、全般的に関心が高まってるはずの残業代請求、僕のところにあまり来ないのはなぜだろう?しみじみとウェブサイトを眺め、ふと気づいて…たじろいだのです。
残業代云々、というコンテンツがない(大汗)
しかも付加金なんかとれねーよ、なんて情報がブログに転がってます。
暮らし向きが一向に楽にならない構造的問題はむしろ、こちらにあるのかもしれません。
合法的に残業代請求に割り込む工夫はつぎの出張時にゆっくり考えるとして。
関東からも関西からも愛知県内からも普通にやってくる、少額請求事案に今後どう対処するかはなかなか悩ましいものがあります。
ここで少額、とは専門家側からみた勝手な言い分としての少額、でして、アルバイトから正社員までのおおむね一ヶ月分の給料、つまり数万円から約30万円までの多額、の金員の請求、あるいは、言いがかり的に放たれるこうした金額の損害賠償請求の踏み倒し、です。
請求されるほうでの対処はわりと楽です。さっさと代理人に就任して数千円もらって回答書か通告書か警告書を一発放ってそれでよし、にできます。自称債権者が電話をかけてきてくれれば、自動録音付きの電話機でご用をお聞きするだけの話です。なにか失言をしてくれればそれがオウンゴールになって(そこを突いて和解を提案して)ゲームが終了し、そうした電話もほぼありません。
こうした事案では、通告書作成と相談二回の料金込みで1万円、これで自称債権者を黙らせよう、という制度設計になっています。だいたい成功します。
今も昔も問題なのは請求をかけるほうです。主に賃金、そうでなければ業務委託報酬の請求で、こちらの相談が徐々に増えてきています。
相手になにか弱みがある場合、代理人になってそっとそこを突いてあげる、というのはわりといい手法です。これが上手にできると、内容証明なんてお高い郵便使わなくてもある程度望んだ反応を相手から引き出せます。とはいえ度が過ぎると脅迫だのなんだの、ということになりますので注意は必要です。
よく考えたら残業代請求に備えた時効中断以外の目的でここ数年、内容証明を出した記憶がありません。特定記録かファクスで何とかできてる印象がありますが、それより訴状や労働審判手続申立書の作成件数のほうが多いのでは、という疑いもあります。
戦わねばならない、ということもあります。
こうした場合は仕方ありません。本人訴訟を前提に請求額の5%を払ってもらって訴状作成作業開始、以後延々と書類つくって成果の実現時に15%もらう、という契約にするのですが、これはあくまで費用の上限だ、実際は書類作成枚数で報酬を計算し、どちらか安い方を収受する、というのがいかにもわかりにくいのです。
特に、やってはいけない労働審判支援をやってる社労士さんの標榜する(法的な正当性はなにもない)報酬体系と比べると…到底僕の事務所に依頼しようなんて思えない(笑)
残業代請求:着手金32400円+成功報酬15%。わかりやすいですよね。違法かどうかはさておいて。
ああしたごく低額(または無料の)着手金+成功報酬または完全成功報酬制に一本化する報酬設定は昨年まではよかったでしょうが、同業者さんが行方を見守ってるあの訴訟の上告受理が蹴られたら(たぶんそうなるでしょうよ)これは危険な選択肢になるはずです。
上記の赤字の部分を8ポイントで書いて(なんの契約書だよ!と消費者法に詳しい先生方がお怒りになるかもしれませんが)パーセンテージで報酬を定めるのはあくまで上限だ、という表示の手法をつきつめて考えてみたいところです。
すみません、お話がそれました。
おおむね30万円以下の賃金請求のご依頼をお受けするにあたっても、基本的には代理によるより本人訴訟を基本に対処します。相手より強い立場でアプローチできる場合のみ、裁判外代理の活用を検討しています(イヤな考え方ですが)。
というより、裁判外で代理して決め手のない交渉を続けたり不本意な妥協をするよりはさっさと見切って本人訴訟にスイッチしたほうが解決が早く、お客さまの手取りが減らないようにもできる、と考えているのです。
逆に、相手方にある程度賢明な代理人がついてくれればアンダーザテーブルで裁判外で調整の余地は多分にあるのですが、そうした素敵な交渉相手は年に一回くらいしか拝めません。
仕方がないので裁判所を使いたいし、そうであれば大阪だの東京だのまで僕を呼んじゃいけないよ、ということで本人訴訟になるわけです。
しかしながら、ウェブサイト閲覧者の中にはどこかにいる給料取り立て屋さんに1割から2割の手数料を払えば未払い給料が回収できる、というファンタジーの存在を期待している人がいるようなのです。
ふつう取り半だろ?とは申しますまい。それはナニワ金融道の世界です。
先日は一件、そうしたご依頼を即決で断りました。依頼人が決めた、せいぜい2割弱の報酬(しかも全額後払い!)で給料取り立ててこい、少額訴訟を起こすと言って相手を説得してみろ、といった態度が気に入らなかったからです。報酬も交渉手法も依頼人が決める代理人なんて、見たことありません。それは子供のお使いでしょう。
…あ、結局そういうことなの?と言われればもう、創立以来そのとおりです。
そんなこともあって労働紛争関係のページの大部分から電話番号の表示を消してしまった関係で、新しくやってくるお問い合わせの量は減りましたが質がぐっと上がりました。
そうしてできた余裕で、もちろん30万円以下の請求の本人訴訟支援に注力するわけですよ(←虚勢)
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