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キャンペーンガールから、はじめろよ…って?

先日読みなおした「ブラック企業ビジネス」によれば、在京の某法律事務所における本人訴訟のための支援サービスは1時間あたり料金2万円、期日が重なれば訴訟代理より高くなるんだとか。

…そんな。

僕の所では一式で一万円、に挑まなければならないのに(苦笑)

この本いずれ紹介しなければと思っています。黒い企業に荷担する弁護士や社労士の一面の真実は描かれているんですが、合同労組&NPOになんの欠点もないように立ち居振る舞われると…ちょっとつきあいきれません。

さて、裁判書類の添削の案件で重要な作業の一つは、いい参考文献をお客さまに紹介することです。

今回はお客さまがセレクトされた書籍の候補をいただきましたので、僕の所でも確認してみます。うまい具合に近くの公立図書館に在庫がありました。

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初心者向けに、かんたんな書式や手続きをちりばめたいわゆる「弁護士本」、僕の所では手続きの説明だけ読んでもらうことにしています。書式の細かい部分はどうせ、こうした本ではわからないのです。

そんなわけで久しぶりに目を通したのは、これら書籍の労働関係訴訟の書式たち。

まず一冊目。非正規労働者の賃金請求です。どれどれ?

被告がイベント業者で原告は臨時雇用されたキャンペーンガール、労働時間は50時間、と。

なるほどこれはごくふつうの、簡裁定型訴状の記載例です。

つぎ二冊目。非正規労働者の賃金請求です。なになに?

被告がイベント業者で原告は臨時雇用されたキャンペーンガール、労働時間は50時間、と。

…オイ。

中身が全く同じです。強いて違いを挙げるなら、被告の名前が乙川産業か○○産業か、その程度です。と、いうことは?

妙な期待を込めて、三冊目。非正規労働者の賃金請求です!

被告がイベント業者で原告は臨時雇用されたキャンペーンガール、労働時間は50時間、と。

よっぽどこの監修者たちは、キャンペーンガールが好きなのか(笑)

それとも素人向けの解説本は書式の内容を統一すべし、といった編集方針でもあるのでしょうか?実はほかの紛争類型でも書式は結構ダブっています。

ただ、これをよしとしなかった監修者が一人いたのです。

これらの本の中には解雇予告手当とその付加金の請求例も含まれています。

うち二冊が付加金に対する遅延損害金の起算時期を解雇予告手当の元本と同じにして「訴状送達の日の翌日」としていたのですが、これは不正解。どの裁判所に持っていっても補正がかかるか、少なくとも絶対とれない判決を求めたものになっています。

一冊だけ、ちゃんと「本判決確定の日の翌日」にしてあるものがありました。

個性は発揮してもいい、ということなんだと推測できます。

このほか調停申立書や内容証明による催告書の記載例なのに付加金の請求をしているとか、答弁書の記載例のページなのに訴状の記載が載ってるとか、さまざまつっこみどころがあるんだな、ということもよくわかりました。

この手の書籍の紹介にあっては、手続きの説明だけ適当に読んでくれ、しかも図書館で借りて、という説明を堅持するようにしなければいけない、と思ったことです。


紹介しそびれておりました。先週から、新しいブログ「アシスタントの資料棚」の運用を開始しています。おもしろいものではありません。

そちらでは、僕自身と補助者さまを「自分で手続きをする方々のアシスタント」と規定して、主として本人申請・本人訴訟に取り組む方向けに、参考になるような書籍とかんたんな書式その他手続きに関する情報を紹介していこう、と考えています。

あくまでも情報提供が目的の新ブログ、この事務所との関連を不明な状態に保った上で、儲からないお客をたらい回しする事務所や挙動の怪しいNPOへのリンク集など設置してみようかと思ったこともありましたが…やめておきます(実はこっそりやってるかもしれませんね)

これも含めて、少し考えていることがあります。

今回、お客さまからの問い合わせに対応しようとしてわかったのですが地方都市での法律関係図書の所蔵の状況があまりよくないことがある、そんな実情にも気づかされました。労働審判についてここ五年で出された書籍の所蔵がないなんて、とは思ってはいけないのかもしれません。

一方で、国会図書館をはじめとする大規模図書館でのリーガルリサーチ、その他地図等の資料探索や説明の代行あるいは同行、というのは仕事になるのかもしれません。裁判書類作成業務の(巨大な)オマケとして地方のお客さまのためにそんな作業をすることもありましたので、実際に有料の作業実績もある、とは言えます。

報酬をタイムチャージ制にするか、それともいい資料が見つかった場合だけお金がもらえる完全成功報酬制にするかはさておいて、年に一回ぐらいご依頼がもらえそうなら新しいページを新設するのもいいかな、と考えています。

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