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もらって嬉しい?解雇予告手当

今日の補助者さまの出勤時刻は13時。僕はランチが少々遅れたため、執務室に匂いが残ってしまっています。さて、なんとかごまかさなくては。

「今日はお部屋に焼き芋のアロマを満たしてみました♪これは食欲増進と便秘改善に効果があるアロマなんですよ~」

補助者さまはちょっとあごを引いて、というより何かからちょっと引いて、お気に入りらしいコンビニのコーヒーを差し入れてくれました。そちらの香りのほうがお好きらしいのです。

ヘルシオ(シャープのウォーターオーブン)で少し太めのさつまいもを焼いたら、所要時間が44分ほどかかってしまいました。とてもおいしくできるのでこの冬のお気に入りなのですが、誰かが来る前にやってはいけないようですね。


さて、先月は各分野合計二十数件のお問い合わせがありました。電話では匂いは伝わらないので対応に破綻をきたすことはないのですが、僕のライフワークである労働紛争関係のお尋ねでは時に相談者を煙に巻いてしまうことがあります。

※なにかごまかす、というわけではなく、相談者が何かごまかされたように感じてしまう、と(笑)

先日かかってきた電話は一見シンプルな、解雇予告手当の計算の是非を問うものでした。ある名目の賃金が平均賃金の計算に含まれるかどうかで争いになっている、労基署は指導にはいっており、今のところ会社側の計算額で支払いがありそうな状況だ、と言うのです。

「その解雇予告手当、もらった方がいいんですか?」

もらいたいんですか、と尋ねたかもしれません。
解雇予告手当が欲しいと電話かけてきた方に(苦笑)

当然のことではありますが、光ファイバー経由でなにか淀んだ気配が伝わってきました。

やっちまったか、と思いつつ、さらにたたみかけます。

「逆に考えればその解雇予告手当が払われるまでは解雇不成立、つまり離職してない、ということになるわけですが…最大30日だけ」

さらにいくつかの問いかけを通じて、なんとかご納得いただいたようなのです。

労基法第20条では、解雇の通告は30日前までに行うか短縮した日数に対応する平均賃金(いわゆる解雇予告手当)を払うことが義務づけられています。

解雇の効力そのものを名目上あらそって、社労士さんの手が届かない世界=労働審判手続きの申したてを経て解決金の増額を目指す、という戦略方針を採らないなら労基法20条の効力だけ考えていればいい、ということになります。

そうすると、労働者側が解雇の効力を争わない場合でも、使用者側の解雇通告のありようによっては解雇の効力が生ずる日は後ろにずれる可能性が出てきます。即時解雇したさそうなものいいをしながら解雇予告手当を払わない場合がそうですね。

もし相談者が解雇通告をうけた時点で、5ヶ月在職していたとしたらどうでしょう?

※その方が45歳で在職期間が4年11ヶ月、でもかまいません。

離職の日が、つまり解雇の効力が発生する日が1ヶ月程度後ろにずれれば何かいいことがある(雇用保険の被保険者であった期間が増え、受給資格を満たしたり給付日数が増える)、と考えなければならないパターンはたまにあるものです。

想定ほどシンプルではなかったものの、今回はしっかりとそうしたパターンにはまりました。

ならその解雇予告手当、今すぐもらおうとしちゃダメだよね、その後の対応は有料相談で(遠い目)

ということで問い合わせへの対応を終えたところであります。某テラスの相談では適切な回答は出てこないかもね、とも言い添えました。

さてこの質問、ご依頼になるかどうかはさておいて一般的には解雇予告手当の受け取りは『遅れただけ、損』になります。どうせ遅延損害金なんか払う奴はいないし、解雇の日は会社側の通告の日、とする離職票がでてきて一巻のおわり、お金の支払いがあった以上、労基署も手出しできません。

ただ、上記の通り論理上は解雇通告の日から30日後か解雇予告手当支払いの日に解雇の効力発生、とみることは可能です。

必要あって、そうした日付けで労働者が雇用契約に基づく地位を失ったことを確認する地位不存在確認請求労働審判事件、というのを労働者側から申し立てたことがあります。

とにかく無理矢理にでも解雇の日付だけ変えさせたい、というわけですね。

当然ながら、ほかに揉めそうな請求をつけてなければ第一回期日で終結する可能性が高い手続きになるのでその結果(調停成立となることが当事務所では多いです)をもって職安に行ってもらい、雇用保険失業給付を申請するにあたって重要になっていた離職の日を変更してもらう、ということになります。

雇用保険法所定の審査請求が理想的に機能していればこんなことをする必要はありません。でも実際にはそうではないので、こうやって牛刀でニワトリをさばいてるのですが…

僕にとっては喜んでお受けしたい案件、です。しっかり申立書を作って手続きに勝ちきれればよく、その後の債権回収を考える必要がないので、つぶれかけの会社でも遠慮無く申立ができるから(笑)

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