退役前のPCで作るファイルサーバ
先日のこと。同業者さんの事務所からお客さまが来られました。
「(当事務所には)何台パソコンがあるんですか!?」
と目を丸くされておられましたので、
(貴事務所には)相談スペースにパソコンがないなんて!
と言い返そうとして止めました。後日補助者さまから諭されたところでは、そういうことは本当に言わない方がいいようで(笑)
さて、人員二名の当事務所には、現用4台・補用1台のPCが配備されています。
執務室で普段使うデスクトップPC2台にはWindows7が、相談室においたデスクトップPCは、昨年の業界団体支部総会の開会前に話題にしたところ支部執行部の先生方にドン引きされたPentium4搭載機が、これには今、Linuxを入れてあります。
このLinux搭載機、昨秋まではLinux Beanを入れてありました。ところがWindows搭載機とのファイルの共有がうまくいきません。Sambaを稼働させてもLinux搭載機の共有フォルダが見えないのです。
なにやら腹立たしい気分になったので。
年末年始にかけて集中的に調べあげ、Linux Beanでもちゃんとファイル共有ができることを確認したあとでシステム丸ごと消し飛ばしてZorin OS Lite Remixをインストールし直しました。無料でインストールできるLinuxならではのわがまま、と言ったところでしょうか。
Zorin OS Lite RemixもUbuntuベースの、軽量なシステムという位置づけです。なぜかこちらはファイルサーバとしての必要な設定がつつがなく進み、執務室のWindows搭載機から読み書きできるLAN上の共有フォルダができあがりました。
実は、創業以来11年分の文書の電子化がほぼ終了しつあり、このデータがLANに接続したハードディスク上に29GBのデータとして蓄積されているのです。
…このハードディスクが転んだら僕の事務所も転んじゃうよな(愕然)と、当然気づいています。暗号化した状態のバックアップデータをレンタルサーバの空きスペースに上げてありますが、これはバックアップです。データを随時参照するものではありません。
できればNASに蓄積したデータについて、リアルタイムで同期して保存ができるファイルサーバが欲しい、ということで、60GBの空き容量をもって相談室で昼寝している古いPCを活用しよう、という計画がようやく実現できました。
単純なファイル共有の実現であればとにかくLinux搭載機でSambaを動かしてしまえば、家庭用NASと同じようにLAN上で他のPCから見られる共有フォルダは作れます。余ったPCで高速なNAS代替品が作りたい、というのであればこれで充分ではあります。
単に共有フォルダ(あるいは、ネットワークドライブ)を作っただけだと、Windowsのインデックス検索にかけられません。29GBのデータをファイル名だけで検索したくはありません。これを解消するために、Windows7が標準で持っている仮想ハードディスクの作成機能を使うことにしました。
この機能ですが、簡単に言うと「PC本体のHDDではないどこかにある空きスペースに適当に作っておいたファイルについて、そいつがHDDだということにしてしまう機能」でしょうか。
適当に作っておいたファイル、というのはUSBメモリにあることもLANに接続されたHDDにあることも、今回のようにほかのLinuxマシン上にあることもあるでしょうが、とにかくそれはHDDのようなものとして認識・利用できる、そうしたしくみです。仮想ハードディスクは本体内蔵のHDDに近いものとして認識されるため、Windowsのインデックス検索も利用できる、ということになります。
以下、手順です。ここでは、ネットワークに接続した別のPCやHDD上にあるフォルダに50GBの大きさのファイルを作り、それを仮想ハードディスクとして使うことを目指しています。
同業者の皆さまにはこれをご自分で作ってみるときには、まず1GB程度の容量の仮想ハードディスクを作って挙動を試してから所要の大容量のものを作られることをおすすめします。
僕はこの作業中、Linux搭載機のほうだけが自動的にスリープに入ったのに気づかず仮想ハードディスク作成に失敗して右往左往させられました(苦笑)
1.スタートメニューから『プログラムとファイルの検索』で『コンピューターの管理』を検索
2.『記憶域』→『ディスクの管理』を選択します。利用しているPC本体のハードディスクやDVDドライブだけが表示されているはずです。
3.『操作』→『VHDの作成』を選択します。『仮想ハードディスクの作成と接続』のウィンドウから『参照』で、仮想ハードディスクとして容量を確保したい場所とファイル名を指定します。
この例ではUBUNTUというPC内のstoreという共有フォルダ内に、1.VHDというとても安直な名前のファイルを作ることにしました。
仮想ハードディスクのサイズは必要に応じて決めます。当然ながら、VHDファイルが置かれる場所に対応する空き容量がなければ配置できません。
容量可変にするとなにやら問題が発生するような情報がウェブに出回っていますので、安全重視で容量固定と、『OK』で仮想ディスクの作成を開始します。
4.実は時間がかかります。僕のところでは、100BASE-Tのハブで有線LANを組んでおり、容量50GBの仮想ドライブの作成には75分ほどかかりました。画面下部に作成状況が表示されますので、もうひたすら待ちます。
この作業中に、VHDファイルをおいたほうのPCがスリープに入ったりするとエラーメッセージが吐かれます。焦ります(笑)
ファイルサーバにするPCは、時間でスリープに入らないようにしたほうがいいでしょう。
5.無事に仮想ドライブが作成されると、ディスクの数が増えて表示されます。今回はディスク1が新しくできた仮想ドライブです。
画面上で『初期化されて…』のあたりを右クリックして『ディスクの初期化』を選択すると、『ディスクの初期化』のウィンドウが出てきます。初期設定通り『MBR』を選択した状態で『OK』とします。
6.初期化はすぐに終わります。さらにディスク1を右クリックして『新しいシンプルボリュームの作成』を選択します。最大ディスク領域をそのままシンプルボリュームサイズにすれば、約50GBの仮想ドライブができることになります。
ドライブ文字は割り当てるほうが便利なので、空いているもののなかから適当なのを選んで割り当てます。この例ではVドライブとしました。
クイックフォーマットであれば、50GBのフォーマットでも10分ほどで終わります。
7.できあがり。
この状態でエクスプローラーの『コンピューター』を見ると、ローカルディスクとしてCドライブのほか、『ボリューム』としてVドライブが新設されているのがわかります。
以後、このVドライブはハードディスクと同じように使えます。Bitrockerによる暗号化もしてあります。
ただし、VHDファイルをおいたPCがスリープしたりシャットダウンされたり経路上のハブの電源がはいってなかったりLANケーブルが抜けていれば…当然アクセスできなくなるほか、上記7.までの操作をして仮想ドライブを作ったPCをシャットダウンしたりログアウトするといったんボリュームの表示が消えてアクセスできなくなります。
この場合、『コンピューターの管理』→『記憶域』→『ディスクの管理』で『操作』から『VHDの接続』を選択し、上記3.で作ったVHDファイルを指定してあげればまた仮想ドライブが利用できるようになります。
いちいち接続動作が必要に思えますが、これはバッチファイルを作って対応することもできるようです。
こうして仮想ハードディスクが使えるようになると、空いているHDD容量を持っていてLANにつながる(もしXP搭載機なら、この際Linuxを入れてもいい)退役寸前のPCが空いていればそいつがファイルサーバになるかもしれません。安直にリプレースするのは少々もったいない気がするのです。
一つ気がかりなことがあります。
退役寸前のPCをファイルサーバにしよう、ということは当然、HDDのほうも年季が入っているのです。
…もう一系統、バックアップが必要かも(笑)
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