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勝敗見込みは…お察しください(遠い目)

労働紛争の相談で大変よくあり、ほぼ間違いなく回答不能なお尋ね。

  • 勝てますか?

というものです。労働紛争において会社側は倒産という最終兵器を使えるので、労働者側が絶対勝てる(訴訟の勝敗ではなく、権利の実現ができる)案件なんか絶対存在しない、とい身も蓋もない現実のほかに、このお尋ねに回答不能な理由はいくつかあります。

その理由の一つが、僕が司法書士である…というより弁護士でないため、地方裁判所で扱う手続きについて法律相談権がない=法的判断を示せない、というもの。請求額140万円を下回る紛争でのお尋ねの場合、「通常訴訟でしたら勝てそうですが労働審判ですと回答不能です。ただし通常訴訟をおすすめするものではありませんがその理由を労働審判との対比において説明することはできかねます。ちなみに制度上の扱いとして、労働審判に対して異議が出た場合には通常訴訟で争うことができます」などという実にわけのわからない回答をせざるを得ない、そうした状況にあります。

※ちょっとオーバーに書きすぎました(笑)

実際にはもう少し救いのある回答や説明を出すよう工夫するか、ごく一部のどうしようもない質問者にはシンプルに原則論を突きつけてバッサリ断るようにしています。内容証明の代筆をしろ安くしろタダでしろ、などという連中には「それ裁判所に出すのものじゃないんで、僕の仕事じゃありません」と後者よりに、何らか配慮を要する方には…前者よりの工夫を。

自分に都合のいいことしか考えてない方々のことはさておいて、問題は

  • 諸々の状況がそのお客さまの依頼を受けるべきであるという方に向いており
  • そうした方から地方裁判所における手続きの見込みを尋ねられたときに

どう答えるか?です。

相談者として、やっていいことに制限があるなかでお客さまの希望も僕の立場も守らないといけない、そのうえこの質問は、大抵の場合お客さまとの信頼関係ができていないどころか対面したこともないごく初期の段階で放たれるものと相場が決まっています。

言い方は時と場合によりいろいろです。

中小零細企業の馬鹿な社長がなんとなく従業員をクビにした場合なんかはシンプルです。

  • 当事務所では不当解雇事案における労働審判手続申立において、解決金を得ずに終わった事例は皆無です

これだと単に事実を伝えているだけです。あくまでこちらの立場を守りたい場合には「ただし、あなたがその第一件目にならないとは限りません」とは…申しません。申していません!

事案が多少複雑な場合は、当事務所の料金体系に依拠します。

  • 書類作成とはいえ報酬の半分以上を成果実現後に支払われるという契約条件を提案するわけですから、負けると考えられている状況下でそんなことばっかりやっていたらこの事務所はどうなると思います?

これも一応あり、です。そりゃそうですよねぇ。お客さまが勝ってくれなきゃ報われない報酬体系で手抜きができるのは、着手金が十分高い場合に限られます。ただし当事務所でも原則的には枚数にしたがった料金で裁判書類を作成することとしており、今日もそうした相談があったところです。

もう一ひねりしてしまうと。

一般論としてはそうした事案は勝てるよね、というブログの記事を投稿する、というのもあったりします。別にお客さまにはこの記事がそうだ、なんていいませんが。

いずれにせよ、そうした働きかけを通じてお察しください、と遠い目をして言うしかないのです。そんなハンディキャップを楽しんでいたりもするのですが。

そんななか、ごくごくまれに

「先生に頼んで負けならあきらめます」

などと有料相談終了時におっしゃる豪傑さんが現れます。二~三年に一回くらいの割合でしょうか。

そうした方には、ひょっとしたら若干踏み込んだ見解の表明や、それを実現するための努力をすることがあるかもしれません。

そうした方に会えるのは、結構しあわせなものなのです。

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