今日のしごと。
- 午前中、税理士さんからの連絡。会社の清算にともなう残余財産のデータをもらって、株主総会の招集の準備。
- 午後。返却期限をすこし過ぎた林業問題の資料をもって南図書館へ。空いた借り出し枠で矢崎存美の『ぶたぶたと秘密のアップルパイ』を借りて帰る。
- 夕方。明日の立ち会いは抵当権設定がないため、不動産屋さんで実施とのこと。登記申請書を作っておく。今回の立ち会いでは売り主さんから登記原因証明情報作成費用を●万円もらえて、しあわせ。
- 日没後。示談書作成のお客さまが法律相談にくる。法律扶助で相談は無料にする。
- 夜。フリーダイヤルでの着信♪初めてのお客さまから、住宅新築に伴う登記の見積もり依頼。明日までに見積書を送る。
・・・そうだよ!
・・・いつかこんな一日にたどり着けると思ってたんだよ、十年前の今日は!!
登記が業務量の3分の1で労働紛争以外の裁判事務が3分の1程度あって依頼人は全部名古屋市内で年間売り上げが1200万あるような!
それが…こんな事務所になってしまって(以下略)
失礼しました。本日、当事務所は社会保険労務士としての先行開業以来、10周年を迎えたところです。
その記念日はおそらく創業以来空前の、ふつうの司法書士さんらしい一日となりましたとさ。
さて、まずはこのよき日を迎えることができたことについて、これまで当ブログにコメントをくださったお客さまにお礼を申し上げます。
みなさまが当ブログにくださったコメントのおかげで、上記のような情景描写にほど遠いこの事務所とその活動が本当に実在している、と信じた方もいらっしゃるやに思われます。それらの方の一部は新しいお客さまになり、あるいは長く定着される読者になり、またごく一部の方は
「先生のブログを見てるんですが、研修の講師やってくれませんか?」
などと言ってくるチャレンジャーな同業者さんになられた、ということになってるようです。
また、みなさまが随所でお見せくださった意志の強さ、思慮深さや思いやり、時として勇気や剛胆さは、私に上記のような情景描写にほど遠いこの事務所を維持するインセンティブを与えてくれました…そのインセンティブはたいていの場合、プライスレスなものでありましたが(笑)
つぎに、在職5年を迎えられた補助者さまにはこの変わった事務所とその経営者を見放さずにおつきあいいただいたことに対して敬意を表したいと思います。あなたをお迎えできたことは、当事務所ここ五年間でもっともすばらしいできごとでした。これからもあなたに見捨てられたり後ろ指さされたりしない事務所でありたいと考えておりますが、登記のご依頼は少しだけ増やしたいのでご容赦いただきたい(笑)
最後に、このブログをごらんいただいているみなさまに。
ここ数年で同業者さんがウェブサイトで情報を発信することは急速に一般的になり、それをやめる人もまた増えてきたようです。本県内でも昨年あたりまで目を引いた同業者さんのブログがいくつか止まったり消えたりしていますね。それぞれ思惑あってのことだと思うのですが、社長のブログにおもしろいものはない(経営上、ブログの維持が無駄だ)という見解もあります。本業が忙しくなってなし崩し的に卒業した、という方もおられるでしょう。匿名で無断引用して曲解したり中傷して騒ぐ、といったネットの暗部を見て嫌気がさした、という方もおられることと思います。それを残念に思う方も、それぞれどこかにおられるはずです。
このブログは大きく分けて旅・ウェブサイトの自作やパソコンの故障およびその修理・冬は加湿器の自作(笑)ときどき零細事務所や労働紛争の実情、とあれこれ書き並べたおかげで読者の方の属性もさまざまです。同業者さん・受験生といった法律系の方、紛争当事者またはそれに近い方、プリンタの修理や加湿器の自作に興味がある方、旅が好きな方など。みなさまが下さるコメントのおかげで、当ブログは一応は法律関係者のブログでありながらコメント投稿者が同業者に固まったり無料相談希望者に利用されたりしない、ちょっと不思議な状態が実現できています。それぞれおもしろくお読みいただけているならば幸いです。参考までに、本日時点での長期利用者の数は次のとおりです。
●●なのはあなただけじゃない、ということです。これからもよろしくお願いします。
できるなら、今後も僕と補助者さまとこの事務所に来られるお客さまが、あと、可能なかぎり当ブログの読者のみなさまが、できるだけ何事かを楽しめる、または、味わえる事務所でありますように。
…あ、不動産登記についてはふつうの司法書士としてごく淡々と仕事しますから(汗)
一言でいえば「こんなことになると思ってなかったけど、今後もよろしく」そんな感じであります。
開業時点で地縁血縁人脈金脈実務経験なし、リアルな世界での営業活動なし、司法書士としての配属研修の受講無し(中央・ブロックの新人研修は受けました)、ということでいったい何が事務所の経営破綻を阻止したのか自分でもよくわからないのですが、おそらくタイミングがよかったのでしょう。インターネットの普及に助けられて、変わった仕事の可能性を模索することができ、債務整理バブルが崩壊するまえに自分の居場所を見つけることができた、というだけです。
ならば今後もこれでいい、とは言えない状況になっています。創業時にはまったく予想していなかった、『過払いバブル後の残業代請求ブーム』のあおりをくってこの分野の依頼が今年上旬、ぱったり止まりました。
その後事情をよく探った結果、これは過払いバブル後の儲けの手段として営業熱心な方々に選択された業務分野に過ぎないとわかってきた一方、そうした調子のいい弁護士・司法書士事務所が儲からない依頼(というより、依頼人)を切り捨てることで泣き寝入りを促進している、ということと、それに積極的に対処する術がこの事務所にない、ということもまた明らかになっています。
周りの都合もあったおかげでともかく平和に暮らしてこれた島国に南の海から怪獣が上陸してくるらしい、しかたないので戦力に該当するようなしないような態勢を整えて迎撃しなければならない、ハッピーエンドに導いてくれるようなヒーローがどこかから加勢してくれる目処はいまのところ立ってない、そんな感じでしょうか。
うっかりしてたら、ペシャンコにされそうな状況です(笑)東宝映画で怪獣にもてあそばれる新幹線の車両に同情してそれらの映画を見た人がどれだけいるかはさておいて。
ただ、まったく無力ではない、ようにも思われます。同業者や隣接他士業による市場(というより、労働紛争に巻き込まれた人たち)の攪乱を食い止めることはできないし、どうやらネットとスマホの普及は人々が情報に触れる機会は増やしても情報を処理する能力を上げるものではない(ある程度多量のコンテンツを持つサイトを運営し、アクセス解析の内容を分析している同業者さんには来訪者の検索語が個々数年で徐々に口語的になったり、誤字が増えたりしていることにお気づきだと思います)、これは受け入れなければなりません。
でも、そうしたゆがみの存在に気づいている方がなんとかここにたどり着く、という可能性はまだあるし、そのためにネットの世界で見えやすい位置にこのブログやウェブサイトを出しておく意味もあると、特にこの6~7月で相談した方々を見ていて再認識させられました。
そうした方々はネットでの情報収集やリアルな世界での試行錯誤をある程度受け入れて自分で何かを考えてここを選んでくれるので、思い切って(儲け以外の観点で)顧客選別的なサイトを作ってもかえってその方々には(僕の態度が)わかりやすい、という印象を与えるようです。これは僕にとって、一つの救いになっています。
軟派なウェブサイトをつくって法律扶助で無料の相談たくさんやって稼げるようにしよう、とこの春思いかけましたがそれはもう無し、ということで…と時々書いておかないとまた方針がブレそうで恐い(苦笑)
しばらくは、特に労働紛争解決支援で
- 賃金・残業代について、少額の請求でも裁判書類作成の依頼を断らない
という方針を主張していこうと考えています。いっそ『仕事はオレが選ぶ』と言ってみようかと思いましたが、きっと20年は早い(汗)
つぎに同業者さん向けになるかもしれませんが、これまで作った研修教材をウェブで公開したらどうか、と補助者さまから提案がありました。素敵です。うまくやったら県外からまた講師のご依頼がくるかもしれません(笑)
もちろん、そうした資料から僕の力量を推定できる方がお客さまになってくれる、というのも歓迎です。この資料を含めて、労働紛争で『調査・研究』というカテゴリーでの情報を発信したいですね。
あとは登記(笑)
…くどいかもしれませんが、この分野でも少しひねってみたいのです。
一つは街の人向け。
今春うけた個人間での信託登記のご依頼で新たな知見を得ました。ファイナンシャルプランナーからみて興味深い信託商品も出てきました。これらをつかって司法書士兼FPとして信託契約をつくる、という仕事はなかなか意義深いと思えます。
もう一つは田舎での仕事。
大学時代に研究していた森林・山村の世界に戻ってみたいと考えています。もともと林学を専攻していた過程で戒能通孝の『小繋事件』を読んでしまったのが、僕が法社会学への興味を経てこんなふうに転落変化するそもそものきっかけでした。
今なら不在村地主対策=森林の境界・登記・相続・経営という切り口でまたその世界にいけそうな気がしています。ただこれはコンテンツを新設して数年がかり、ということになるでしょうね。
少額の労働紛争も不在村地主問題も、状況はこの先どうなるかわかりません。でもやってみたい仕事なのです。可能性は少しだけ見えている、ようには思えるのです。
ここまで10年は技量向上を最優先にして、労働紛争では一通りの手続きを身につけた、と言える状況にあります。誤算だったのは地域に定着して口コミで依頼が集まるどころか、全依頼の三分の二は県外からだったということで。
ここから10年は経営安定を優先に、と言ったらつまらなさすぎるので、山林に近づきながら登記につながる仕事を探してみたいところですね。
ところで、
- つまりこいつは法学部を出てもおらず司法書士としての経験もないのに開業しちゃったのか?
と思われてしまった方がおられますでしょうか。
ええと…そうです。許してください。十年たったら大抵のことは時効ですよ時効(遠い目)
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