三年ぶりの和解予報士
場所も立場もひどく離れているのに、どうしてこんなに思いが通じてるんでしょう?
そんな相手が、数百キロ離れたところにいます。
某地裁本庁の、裁判官です。
和解に向けての協議が徐々に煮詰まってきた労働訴訟。従前二回の期日の展開は、和解に向けての個別の説得を原告被告どちらからはじめるか、から裁判所にとって受け入れられる解決金額の上限まで重要な点でほぼ僕の予想通りの展開だったようです。それはもう、楽しいほど。
で、今回。久しぶりに和解予報士になった僕はこの訴訟、今回期日での終了、そうでなくても裁判官の活躍による被告側の抵抗の完全な排除を予測したのですが、お客さまへは
- 今日の期日で勝利するのは原告でも被告でもありません。裁判官です。
と和解予報を告げて送り出しました(お客さまとは大笑いになりましたが)。あの裁判官ならどうあっても今日で終わらせるか、終わるような手を打つぞ、と伝えて。
予報はおおむね当たりました。前回期日でお客さまが提示した解決金額から全く引かずに会社側とは和解成立となり、これで一年越しの訴訟は勝利和解として終結することになったのです。
ただ、僕は三年前に続いて今回も、少し予想を外しました。
実はこの裁判、会社側で不法行為に関係した個人を一人、被告に加えています。会社と連帯して慰謝料を払え、ということで。そうすることで、その個人と会社が被告陣営内でお互い足を引っ張り合って原告側が有利になったらいいな、という思惑も込めており、実際にそうなりました。
この個人は法律をいくぶん知ってるつもりで自分で準備書面を書いたりする素人=当事務所でもごくたまに見かけるのですがまことに度し難いタイプの人だったようで、なにやら意味不明な理由で反訴を提起してきました。
しかもそれで自分が勝てると確信していたらしく、僕が傍聴に出かけたある期日で裁判官にあれこれご自分の立場を説明していた際に裁判官から思い切り冷笑されていたのが、わからなかったようなのです。傍聴席から見ていた僕が慌てるほどの冷淡な対応、だったのに。
で、今日の裁判官。こいつの態度にどうやら腹に据えかねたのだ、と僕は推測しています。
最初は反訴の取り下げをその素人に勧めたらしいのですが、それが拒否されるやさっさと弁論を終結させて、判決言い渡しの日を決めてしまったとか。この素人の訴訟活動を評してお客さまが「逆ギレですよね」と裁判官に申し上げたところ、書記官と三人で大笑いになったという報告が入っています(見てみたい情景でした)。そいつの命運や、推して知るべし、と言ったところでしょうか。
僕はてっきりこの反訴、裁判官が穏便に取り下げを勧めて終結(で、お客さまは会社からお腹いっぱい解決金取れるからいいよね、という結論)になると思っていたのですが…
最後になにか興味深い判決書をプレゼントしてもらえるようで、この秋が楽しみです。裁判所に出頭を続けたお客さまのために、いまから訴訟費用額確定処分申立の準備をしたい気分でもあります。
また、このことは労働紛争に限らず、いま様々な訴訟で訴訟は自分でできる、と信じている人に対して、それが誤信だった場合に陥る事態の一つの可能性を示している、とも考えねばなりません。自分が勝てる・正しいと呑気に思ってる奴ほど脆弱な奴はいない、と僕は思っています。
さて、すでにお客さまから連絡を受けておられると思いますがこの訴訟で陰に陽にお客さまを支援してくださったみなさま、この訴訟は勝利の和解で終結となりました。これも皆さまのご協力あってのことと考えております。どうもありがとうございました。
最後に、本件で僕に断り無く祝勝会をやってはいけません。ちゃんと呼んでください。というか、呼びなさいってば(笑)
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