電脳内職新時代
昨年から進めていたウェブサイトの改装の過程で、気になるウェブサイトを見つけました。
仕事の依頼者と在宅勤務者とのクラウドソーシングの仲立ちをする、というものです。
最初はこちらが仕事を出すほう、つまりウェブデザインやロゴ作成の相場をみるために利用していた、 クラウドソーシングサービス「Lancers」 というサイトに、試しに『仕事をするほう』として登録してみたのです。
仕事の内容は一言で言うと『パソコンと通信回線があれば、スキルに応じてできること全般』でしょうか。一プロジェクト百万円単位を標榜するシステム開発から、一件数円の単純作業まで。
これまでの=内職商法的なPC在宅作業との最大の違いは、発注者と作業者のあいだにランサーズが挟まっていること。これにはシステム利用料を徴収されるデメリットがあるかもしれませんが、膨大な種類と量の仕事を集めていること、報酬の支払が確実になされること、という状態を実現するという大きなメリットを作業者側にもたらすことになっています。
法社会学的には、民法上は想定されていてもここ百数十年間幻想だった(苦笑)元請けと下請けが対等な状態、の実現にかなり近いのではないか、と思うのです。
下請け側(下請けという言い方さえ不適当かもしれません)が発注者が示した納期や作業や報酬が不適当だと思ったら、『応募せずに他をさがす』ということが直ちに可能だ、という状態はインターネットや仲介業者があってはじめて実現できたといえるのではないか、そう考えています。いまあるシステムが無条件にすばらしいものではないでしょうが、発注者の大集団と受注者の大集団の対峙を通じて、公正な状態を目指しやすいシステム、ではあります。
試しに一件、仕事をしてみました。
指定されたキーワードで検索してみて、指定された順位のサイトのurlを指定のフォームにコピーして報告するもの。
検索二十数件で、報酬二十数円。
作業時間約20分。時給約60円(笑)
手持ちの技量や知識が生かせてすぐ終わる仕事を選んでみました。
不動産や資産運用関係の記事原稿を作成するもの。
400~700字の記事で、150~300円。
作業時間20~30分。これだと、時給約600円。一応仕事らしくなってきました。
おお、自分、フリーライターだ(笑)
その記事のクオリティは当ブログ程度の品質でもう少し穏便な表現にしてみたのですが、他の人の作業品質も見てみたくなりました。そこで。
他の人の記事のリライト、という仕事を選んでみました。
投資に関する約800字の原文をリライトするもの。
作業時間20分。250円。
…原文、FP3級のレベルの用語が使えてません。逝ってよし(笑)
どうやら一件単価数百円程度の執筆の世界は、いまのところ質より量が物をいうと考えてよいとわかりました。これは安心して参加できる材料です。
さて、そうすると。
デザインやプログラミングといったセンスや技術が問われる一件単価の高い仕事のほかに、多くの人が参加できる細切れな作業の市場がある、という状態も実現されていることがわかってきました。
これは、人の働き方や時間の使い方を大きく変えることになりそうです。
時給いくらになるかはさておき、30分ヒマな状態をただちにお金に変えることができます。
自宅にあってただちに就労を開始し完結できる、という可能性は、失業対策や障害者福祉にも役に立つはずです。『働きたいが働けない』といういいわけを撲滅するものにもなりそうですが。
その反面、今までより厳しい世の中の実現に寄与することにもなるかもしれません。
それまでなら企業内で対処していた単純作業を安価に外注できてしまう、という可能性は、企業内からの単純作業者の放逐に道を開くかもしれません。
あまりにも単純な作業は、よく考えたら日本語のできない人でもできそうです。つまり日本人が日本人の作業単価でやるものではない、と誰かが考え出すかもしれません。
そして、より複雑な作業については作業者を育成するシステムは全くありません。
ですのでとっても素晴らしいものではないのですが、多くの人に多くの可能性をもたらす極めて興味深いシステム…だと考えています。
いつの間にやら発注者から受注者になってしまいましたが(苦笑)
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