全力で実験して…大失敗(笑)
なにか妙だ、どこかおかしい。
そういう異常への対処が、もっとも難しい。
今日はそういうお話しでして、5ヶ月前の当ブログ「全力で作れ、『実験設備』」のちょっと不本意な続き、です。
5ヶ月前に当事務所ウェブサイトの不動産登記等のページを大改装しました。ほどなくして新しい登記のご依頼があったのに気をよくした一方、問い合わせ件数・売り上げとも伸び悩んでいた労働紛争関係のサイトも一丁綺麗にしてしまおうかヒマだから(苦笑)、ということで改装作業をともかく終えたのが先月、3月29日のことです。
実際にはヒマでもなんでもなく、この月だけで自腹新幹線での出張を二回行うことになってしまったのですが…錯誤は今月もやってきました。
- なんだか妙な気がしたのです。
- どこかおかしい気がしたのです。
労働紛争のウェブサイトを改装してから、問い合わせの質が変わったように思えたのです。
全般的に、とにかく軽い感じに。より具体的には、電話で無料相談を希望しそれが無いとわかるやさっさと撤退する、そうした問い合わせの比重が増えました。
この謎をしっかり解いておかないと、事務所が傾きます。
そう思って、春の青春18きっぷラスト2枚の使い道を東京に決めました。もう一回、ウェブサイトの扱い方を検討しなおす資料が必要で、それをウェブで探すのは実は結構無謀です。
さしあたっては書籍で、ということで国会図書館に出向いてあれこれ情報を集めて帰り、アクセス解析の記録をあたっている間に状況は悪化していました。
冗談ではなく当事務所ウェブサイト、閲覧者の皆さまに嫌われていたようです(愕然)
グラフはウェブサイト改装公開前後1週間の、ウェブサイトに滞在した時間を記録したもの。公開後の4月に、滞在時間の底を記録してしまいました。
一方で一訪問者あたりの閲覧件数は、改装前後でほぼ変わらず。直帰率=検索エンジンなど外部からの流入者が当事務所ウェブサイト内を複数ページ閲覧せずに直ちに退出する割合も改善されておりません。
結論。
- デザインを大きく変えたが、単に読んでもらえる時間が減っただけ。
- ウェブサイト改装実験、大失敗(笑)
さらに分析を進めてわかったのは、実は登記のウェブサイト改装時にもそういう傾向が出たものの、もともと登記のほうでは読みものと言えるコンテンツが少なかったから影響がわかりにくく、サイト改装後にいいタイミングでご依頼をもらってしまったこともあって真剣な考察を怠ったから気づく機会を失ったようだ、と。
ま、要するにデザイン関係ないんだ(嬉しいような悲しいような)
そうすると。
おそらくは外注業者に適当に依頼して適当に小綺麗なサイトをでっちあげてもらった各事務所さんは、きっとみなさん同様な手詰まり状況にあるから大丈夫だ♪とちょっとだけ安心できてきます。
この境地に達したのが先週末、だいたい4月12日ごろ。
とはいえここまで来るのに結構時間がかかり、この間は先月派手に時間をかけた準備書面作成と同様にハードな分析作業となりました。
とりあえず見かけを小綺麗にすることは抜本的改善にならない、というなら今回適用したテンプレートを捨てて元の殺風景なのに戻してしまおうか?とも考えましたがそれはちょっと悔しい気がしたのです。ブログのネタとしてはとっても愉快ではあるものの、未来につながりません。
だったらテンプレートを適切にいじって状況を改善できないのか?
分析を重ねていくと、こんなことがわかってきました。
- 今回採用したテンプレートはグローバルナビゲーション(画面上部を横に走る青い帯の部分)とサイドバー(左側で縦方向に配置された、メールフォームへのボタンの直下の部分)に同じページへのリンクが載せてあります。
- さらに、複数ページを持つコンテンツではグローバルナビゲーションの下にパンくずリストを設けて、各コンテンツの目次に戻れるようになっている、そういう構造です。
そこで、僕も同じようにしたのです…が。
これによって、複数ページを配下に持つコンテンツ内で、特に検索エンジンから来た人がとても動きにくくなったのです。
従前の殺風景なデザインでは、同じコンテンツの他の各項目へのリンクをサイドバーにでかでかと(それこそデザイン無視で)つけてあったため、たとえば『給料未払い』などの漠然としたキーワードでコンテンツ内のページに降りてきてもほかの項目をすぐ探しに行けたのに、今回それができなくなった、と。
ただこれは、直帰率が改善しないか悪化する理由が説明できても滞在時間が下がる理由が説明できません。
なぜなら、アクセス解析のシステム上1ページのみを見て帰る人の滞在時間は計測できないからです。
滞在時間は複数ページへの移動時間を計測しているため、僕が見ている滞在時間の低下は『この動きにくいサイトで、あえて複数ページの閲覧を試みたが、そうした人の滞在を拒む何か』が別に存在しているはずなのです。
…なんかこう、申しわけない気分になってきました…
さらにさらに調査を重ねた結果、どうもここではデザイン以外に状況を悪化させる要素がない、と思えてきました。
ものすごく簡単なことなんですが、そもそもテンプレートの設定そのままでは文字が小さくて読みにくいのではないか、と。
実は導入時から気になってたんですがねぇ(遠い目)
見た目がきれいなテンプレートを根付かせる、ということで見た目をなるべくいじらないようにしていたんですが、見事に裏目に出たようです。
先週末を目一杯つかってそれらに対策する工事を施していたのです。サイドバーには各コンテンツ内で流動できるリンクを加え、本文の文字を拡大し、文字の色を黒から濃い灰色へ、背景の色を白から薄い灰色へ変更し、行間隔を広げて可読性の向上をはかりました。
効果がでました。
まず、先週中旬に底を打った滞在時間数が、改造工事を施すそばから増加に転じだしました。
今週に入って、直帰率が三日連続で70%を下回っています。前の週には70%台半ばを中心に行ったり来たりしていたのと比べれば、これはかなり大きな変化なのです。
しかも今回、こうした工事を行っていることはブログで今日はじめて触れたわけですから…
物見高い当ブログ読者の皆さまがさっそくあちこち見て回られたことによる影響、というのはないはずです(たぶん)
かくて今回の実験はみごとな失敗におわり、どうやらその復旧には成功したようです。
その一方で、目障りなダイレクトメールがちょうど先週末に送りつけられてきました。ウェブサイトを保有するほかの同業者さんたちのお手もとにも届いているはずです。内容は僕にとっては挑発的なもので
- これからはスマートフォンによるウェブサイト閲覧が増大する!
- スマートフォンの利用者は現行のPC向けウェブサイトに大きな不満を抱えている!
- わが社のコンテンツマネージメントシステムを導入すれば、たった月額1万8千円でスマートフォン向けウェブサイトが開設できる!
・・・ケッ(唾)
なにやら腹立たしい気分になったので、ついでに新たな実験を開始することにしました。
すでにテンプレートを導入している、ファイナンシャルプランニング業務と労働紛争関連業務のページについて、スマートフォンで可読性をあまり落とさずに閲覧できるようにCSSを改造してみたのです。
- デザインは最低限の配慮でいい、ということはもうわかりましたので、とにかく文字がちゃんと読めてリンクが辿れるように(笑)
特に画面幅方向の解像度300ピクセル台のiPhoneのユーザーの皆さまには、先週末から当事務所ウェブサイトの表示が変わったり変わらなかったりすることに焦れておられたかもしれませんが…別に皆さんをからかってたわけではありません。CSSの変更はあらかた終わりましたので、ブラウザで再読込をかけてもらえれば表示はほぼ安定しています。
とりあえず今回導入したテンプレート、デザインを気に入った閲覧者から依頼が殺到する…といった妄想的ハッピーエンドにたどり着けるものではありませんでしたが、サイト内の移動の利便性と文章の可読性に留意すれば、結構きれいなサイトとして気にいってもらえるものと期待したいです。
そうしないと、もう一つテンプレートを導入しようとしている僕が浮かばれません。
…いけませんか?
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