素敵な資料は、どこにある?
ある労働訴訟。お客さまである労働者の作業技量をおとしめるために作られたらしい会社側陳述書には、こんなことが書かれていました。
タクシー運転手として入社した原告には、当社は新車のハイブリッドカーを担当させておりましたが、原告はあるときパワーウィンドウの操作を誤って、安全装置の交換を余儀なくされたことがありました。
この費用は数万円で済みましたが、もしその事故で走行用モーターが焼損していたら、損害は数百万円に達したはずです
窓をいじって車を走れなくできる超能力者がどこにいるもんかよッ!
と、誰もが一瞬で突っ込めるのは常識としてその程度のことを知っているからですね。これは架空の説例で、実際には違う機械で問題になっています。
『ある業界に属している人相互間でなら常識として否定できること』を、それが通じない人(裁判官)に堂々と言われてしまった場合にそれをひっくり返すのにはなかなか骨が折れます。まさにそうした作業を要する事態が発生しておりまして…
- まず、お客さまの陳述書で反撃したくはないな、と考えました。これだと水掛け論になりかねません。
- それが業界内での常識で否定できるものならば、裁判所も認める権威の見解、少なくとも出版物になっている記載を提出して社長の陳述が愚劣であることを明らかにできればステキだ、と考えました。
- 当然ながらその業界に属するお客さまには、業界人からみてわかりやすい説明のあるウェブサイトを探して教えてくれるようお願いしました。
- お客さまに示されたウェブサイトからさらにリンクをたどって、参考文献がたくさん示されているサイトにたどり着きました。
…で、今日。
そのサイトに示されている40点ほどの参考文献を指定して、補助者さまに作業指示を出しました。
その参考文献について、
- 愛知県立図書館
- 名古屋市立図書館
- 大阪府立図書館
- 大阪市立図書館
- 国会図書館関西館・本館(東京)
これらに所蔵があるか調べてくださいな、と。
ふと思い立って豊田市立図書館と、大阪府立図書館のOPACで横断検索できることがわかった京都・滋賀・奈良・兵庫の各府県図書館も検索対象に加えてもらいます。
…で、結果。
どうやら所蔵がないのは2点のみ、あとは東京から兵庫までのどこかに所蔵があることがわかりました(笑)安心できたか失望したかはさておいて、うち31点は愛知県立・名古屋市立の図書館で入手できるようです。
期待以上に健闘しているのが豊田市立図書館です。名古屋市立図書館では17点の所蔵だったのに対し、18点でヒットがでました。自動車会社の城下町だけあって機械ものの書籍は充実している、ということでしょうか。
全く期待していなかったけれど注目せざるを得なくなったのは、滋賀県立図書館(滋賀県から当ブログをごらんの方、ごめんなさい)。ここと大阪府立をめぐることで、残りの書籍もカバーできることになるようです。
京都府立でも国会図書館関西館でもなく…滋賀!ビバ滋賀!こうなったら春の青春18きっぷで、一度滋賀県立図書館に行ってみないといけません。
さ、そのまえに週末一日つかって、市内の図書館を渡り歩いてみるとしましょう。運がよければ、なにかわかってくるはずです。
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