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忘れたころに、来たものは…

「空からお金が降ってこないかなー」

よく補助者さまにつぶやきながら執務をしております。

「仕事はしなくていいけど報酬だけくれるよ、ってお客さまいないかなー」

とも。そんなことあるわけないじゃないですか(あっても受け取らないでしょうに)、と苦笑混じりにあしらわれながら十数ヶ月、そうやって過ごしてきたでしょうか。

そんな零細事務所に、変事が起きたのです。


寒い寒い実家から帰ってドアを開けると、ドアポストに不在通知が入っています。すっかり見慣れた郵便物お預かりのお知らせ』が。

さてさてどなたさまからの簡易書留か、はたまた集合ポストに入らないレターパック350のご案内か、と問い合わせ番号の紙をめくりましたがチェックがありません。

さてなんの間違い?と思ったら。記入欄の一番上、貼付された紙のつけ根にチェックが入っています。

  • 01 書留(現金)

え?

冷え切った玄関で、おもむろに凍り付いてみます。創業以来9年5ヶ月、現金書留で決済したことなんてありません。私用で使ったこともありません。

むしろこの事務所がいままでやってきたことを振り返れば、現金書留を送っていただくより特別送達で仮差押決定でも貰うほうがほよど可能性が高いのでは、と常日頃思っております(中小零細企業のお馬鹿な経営者を向こうに回し続ける、というのはえてしてそんなもんでしょうよ)。

落ち着け落ち着け落ち着けよ、と自分に言い聞かせて差出人様のお名前に目をやります。

すぐには思い出せません。

受取人欄には、当然のように僕の事務所と個人名が書いてあります。

結論としてこの現金書留は、どなたかから僕に対して送られたと推認できます(立証済んでるだろコラ、とおっしゃらないで)。

しからばこれを受けとったものか否か。受け取らない場合、受け取り拒否にして返送させるか郵便局の窓口で『ちょっと訳ありで受け取れないブツなんで、保管期限経過で返送しちゃってくれませんかテヘヘ』などと頼もうか…

でも、この差出人様のお名前はどこかで聞いたことがあります。

試みに、創業以来蓄積してきた八千数百件のメールから全文検索してみました。

ヒットがでました。

  • 2006年に(愕然)
  • 2008年にも(呆然)

記録を見る限り、ご依頼いただいた業務はそこで終わっています。

するってぇと…なにかい?

  1. 実は差し出しは4年前だったが遅配でいま着いた、とか(それじゃファンタジーだよ)
  2. その現金書留のなかにはいくばくかの逃走現金と極秘データを格納した記憶媒体かなにかが入っていて、うっかり受け取ったと同時に某国秘密情報部の担当者との争いに巻き込まれるとか(それじゃサスペンスだよ)

それとも。まさかまさか。

  1.  そのとき某簡裁でそのお客さまが進めておられた訴訟が実は上告審までイッちゃってて破棄差し戻しされてうんぬんかんぬんやってるうちに4年経っちゃった…とか!?

いずれにしても(もう少し現実的に考えろよ)。

これは1人で開封すべきではない、と判断して受け取りを二日遅らせます。1月も8日になれば、補助者さまが出勤してこられます。

そして1月8日、15時過ぎ。郵便配達が一度だけベルを鳴らしました。

どうやら紙以外のものは封入されていないとあたりをつけて封を切り、そっと中をのぞき込みます。

セピア色した福澤さんと、目が合いました。
とっさに目をそらして補助者さまがいる隣の部屋へ撤退します。

「どうしましょうお金が入ってます」とかなんとか口走ったかもしれません。まぁ当たり前のことではあるんですが。

落ち着け落ち着け落ち着けよ、とさらに自分に言い聞かせて封入物件をすべて手に取ります。お手紙が入っておりました。

内容は極めて穏便かつ順当なものであります。文面を見る限り、どうやら僕はいくばくかの感謝と敬意の対象になっていると了解していいってことだよね、と補助者さまにも確認して当時送受信したメールをさらに解読すると、裁判書類の添削業務としてその仕事をお受けした僕はそのお客さまに一つ提案をおこなっておりました。

そして、その提案にかかる作業1時間ぶんの料金2000円(当時)の支払いは、訴訟で相応の成果がでたときに支払ってくださいな、と僕自身が書き添えておりました。4年4ヶ月まえに。

時は流れて…その支払いがなされた、ということのようです。

貸金業規制法の上限をはるかに超える金利で複利に回って!


「ここのところずっと、『空からお金が降ってこないかな…』って言ってましたよね」

ひたすら悩む僕の横でひたすら笑っていた補助者さまから、なおも笑いを含んだお言葉です。思わずとっさに言い返しました。

「お金は額に汗して働いて得るものです!」

そうしたわけで。

もう言いません。「空からお金が降ってこないかな」なんて。

※というオチにしようかと思っておりましたがそのお客さまも当ブログをご覧になっている可能性がありますので申し添えます。お送りいただいたお金はまことにありがたく頂戴いたしましたが、一つだけ贅沢を言わせてもらえれば…

その訴訟の結果が知りたかったな、と(笑)

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