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訴訟代理を控えめに

今年作っている最後の残業代請求訴訟の訴状案は、お客さまの対応待ち。年内に発送できる見込みです。御用納めのきのうまでに提出することになっていた敵対当事者の書類は…なぜか提出なし。

新しいご依頼としては労働審判手続申立書を二件いただいて、年越しとなりました。台所では今日の大掃除の主役、クエン酸鍋が煮えています。

クエン酸の効力をまつあいだに、来年なにをしようか考えているところです。

気になることがあります。

トップに挙げたいのはYahoo!ビジネスエクスプレスの審査料金です。司法書士と行政書士のウェブサイトが『慎重な審査が必要なサイト』にいつのまにやら分類されています。これには正直ショックを受けました。

リンク先を見る限り、風俗・探偵・出会い系・ギャンブルといった既存の怪しいサイトジャンルに加えてここ数年で設定を変えられたとしか考えられません。僕がビジネスエクスプレスの利用を経てYahoo!カテゴリに登録されたのは開業2年後くらい、今から6年ほど前のはずですが、この時点では普通のサイトとして5万円で登録が通っていたのです。

-じゃ、社労士はどうなの、というのはさておいて-

『支払督促 行政書士』で検索してくる人が一向に減らないのも気になります。むしろ微増かもしれません。当事務所ウェブサイトの同じページが『支払督促 司法書士』でも『支払督促 行政書士』でもトップ10位以内に入ってくるので、これは『支払督促 行政書士』で検索をかける人のほうが多いことを推測させる現象です。

つまるところネットで商売をしようとする人からは司法書士はしっかりと『怪しい職業』に分類が済んでおり、ネットを利用しようとする人からは行政書士と区別がつかない、ということに…ならないようには祈りたいものです。

当事務所にあっても気になる変化が出てきています。ひとつは、一件100万円台を超える残業代請求のご依頼の減少。数年前は九州からでもご依頼があった楽しくてやり甲斐のある依頼類型だったのですが、今年は県外からの残業代請求のご依頼がなくなりました。一方で1~2ヶ月分の給料未払い事案(当事務所ではこのタイプのご依頼を断りません)や、比較的在職期間が短い不当解雇で解雇無効を争うご依頼がそれを補っています。

これはおそらく、残業代請求バブルがやってくると数年前からいわれていた変化の影響でしょう。この分野で着手金を減額したり無料相談をおこなうと標榜する法律事務所がずいぶん増えました。いっぽうでそうした事務所がたとえば請求額百万円台~数十万円の事案に誠実に取り組むことを期待するのはなかなか難しいところがあり、そうした事務所で(半ば冷やかしで)無料相談を受けて萎える、で、あきらめる、という流れができているのかもしれません。つまり僕のところには、引き続いて儲からないご依頼がくる流れが…

ただし僕は、残業代請求は過払いほどバブル化しないと読んでいます。おそらく数年でこの市場のパイの分け前は僕のところに戻ってくるかと。

もう一つは、依頼人と上手く行かないパターンが見えてきた、というところでしょうか。詳細は言えませんが顕著なのは

  • 僕の容姿を誉める奴から、依頼を受けちゃダメだ(笑)

おそらくは、妙なところでこちらに媚びて依頼受託を求めてくるひとは後々まで都合のいいことを考えてる、ということだと思います。自分の正当性ばかりを言い立てる人やこの事務所が何か正義の実現を指向してると勘違いされている方もいらっしゃるようですが、そうした方々とは相談の段階でご依頼を回避できるからまだいいのです。

あとは依頼人本人が動く・事案に関与する、という部分が相対的にすくない依頼人ほど、中長期ではその人と上手く行かない可能性が高いように思えます。こちらの活動が依頼人に見えず、いわばブラックボックスからガラガラポンと飛び出してきた現実や選択肢に納得できない、と。

あともう一つは、『簡裁訴訟代理で派手に負ける』。

当事務所における裁判書類作成業務で、裁判所の判断としてこちらの申立を完全に否定されたということが簡裁訴訟代理を始めるまでは皆無だった(全面勝訴後の破産で全額踏み倒されたことはあっても、訴訟そのもので全面敗訴したことがない)のが昨年までの密かな自負だったのですが、今年は複数の完全敗訴判決を、訴訟代理人としてもらってしまいました。で、その判決書をみるとどうも論理的に破綻してる、そうとしか思えない。

一方で、お客さまが少々難しい簡裁判事に出会いかけた訴訟で第一回口頭弁論期日後に訴訟代理人として割り込み、試しに事案そのものを難しくして地裁への裁量移送を申し立ててみたところ、簡裁判事があっさりとこれに乗る方向で話がうごき、なぜか被告側と和解が成立してしまった、という事案にも会いました。

つまり。請求額が少ないから一応簡裁が管轄を持つ事案でも、複雑な事案で代理権(つまり、簡裁での訴訟維持)にこだわると地雷を踏む可能性がある…一方でそれが本人訴訟による書類作成だと、裁量移送で地裁に移送されていたので地雷で吹っ飛ぶ可能性はこれまでも避けてこれた、ということなのかもしれません。

これらのことをひっくるめて考えると。

来年は不動産登記だね♪

というのはもちろん冗談です。この分野、育てはしますがあくまでファイナンシャルプランニング業務の一分野と考えたほうが楽しく仕事が出来そうです。むしろ今月公開を始めた不動産登記のページからご依頼をくださったお客さまに、関連する裁判書類の作成をおすすめしているくらいで(笑)

やっぱり来年は、というより今後は訴訟代理を少なく、裁判書類作成の仕事を増やすのがよさそうです。自分でやってみたい、という方に、それができる選択肢を提供する、それは必ずしも万人向けの正義の実現を目指すわけではないと割り切ったうえで、ご依頼があれば受ける、と。

妙な言い方かもしれませんが、そのほうが楽しそうです。代理権の拡大を望む方や代理権が広いから偉いと思っていたい方々は『依頼人は紛争で悩んでおり、そこから遠ざけることが役に立つのだ・平日昼間に裁判所に行かせようなんて非現実的だ』等といいますが…

それはそうかもしれないし、そうでないかもしれないのです。

そうでないかもしれない人たちが、コストパフォーマンスよく裁判所を利用できる・自分の紛争が自分の目の届くところで解決されていくのを見る・あるいは、職業代理人を向こうに回して成果を挙げる可能性を提供する、それもよいではないか、と思っています。

要するに先祖返り、なのかもしれません。

そう言っておけば全審級で訴訟代理ができる職業代理人たちからは、あまり警戒されずにすみそうですし、世の民事訴訟の大部分が事実認定を巡る争いである以上、事案と依頼がある程度限定されますが『書類の記載や事実の調査・把握・その、裁判書類への適切な描写』が重要な事案でコンプライアンス上なんの問題もなく司法書士が成果を挙げる、というのは当然あり得る話だ、と思っています。

※お話しがそれますがこの点、労働紛争だと働き方の実情=つまりお客さまが語れる事実の整序が最大の焦点ですので、裁判書類作成にあたって過払いほど複雑な法的判断やってない、と言えます(笑)。

さて大阪のSさんには、久しぶりのご連絡ですね。どうもありがとうございました。この事務所のウェブサイトやブログを外から見てる人のなかにはこの事務所が弱者救済や正義の実現に関心があると思い込んでる方もたまにおられるようで、僕が単純にそうした存在ではない、とご理解いただいたからこそご依頼をくださったのだと僕は理解しています。昨年実現できた内容にはご満足いただいているようで、これも嬉しいことですね。

…で、せっかくの事例公開許可ですが事案が事案です。相手の主張の不確かさを書類をよく見て丁寧に丁寧に突いていく、という事案だった関係上、相手の書面が出せないとこちらが何を言ってるかわからないのが残念なところですね。ただ、事実に関する主張が対立した事案で本人で反対尋問を準備した事例として貴重なので、その準備をした部分が(もちろん、個人が特定できないかたちで)公開できたらとてもいい、と考えています。何か上手な対処ができそうならご連絡を差し上げますのでしばらくお待ちください。

そういえば先日会食した土地家屋調査士さんから、僕は労働紛争専門の人だと思ってた、そうでないなら家賃不払いで困ってる家主さんの話があるのに、とも聞きました(愕然)。

労働紛争は専門というよりは高水準を維持する重点分野、として大事にしながら、家裁での書類作成や債権回収も受ける、ということをもう少しはっきりアピールしていったほうがよさそうだ…それは、これまでもやってきたのだから、と考えています。

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