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その相続登記に、異議あり!

もう何年も前のことになりますが、そのとき見た相続登記を超える不適切な相続登記には、まだ巡り会えておりません。

愛知県ではない甲県の司法書士がおこなったその登記は、乙県の山間地域の田んぼの『仮登記の移転』。仮登記権利者はその乙県には住んでおらず、転用する目的があるでもなく、転売することも間違いなく無理、それどころか現地調査で物件を特定することさえ不可、というもの。

仮登記、というのは、不動産の権利の登記において普通の人が単純に『不動産の名義を変える手続き』と考えている本登記に対して、将来あり得べき本登記に備えて権利者の順位を守っておくために行われる登記、程度に考えておいてください。僕はお客さまには

ま、ツバをつけとくわけですよ。

と適当な説明をしています。でもツバをつけただけでもらい受けた=本登記を終えて名義を変えることができたわけではない、とも。

この仮登記、農地にあっては農地法上の許可が必要でそれが取得できていない場合や、事実上の担保に取る(仮登記をされた土地の持ち主が勝手に第三者に売却することを防ぐ)ような場合にも用いられます。

…あとは、一種の原野商法にも。まったく無価値などうでもいい農地を都会人に『売りつけたような外形をつくる』ために用いられた形跡が、僕がみた仮登記にはありました。昭和50年代になされたその仮登記が30年間放置され、このたび相続によって移転されました、と。

使えるかよそんな仮登記(怒)

そもそも客観的にみて相続人がその農地を所有することも利用することも転売することもできないばかりか農地法上の許可申請に協力させる権利が時効消滅してんじゃねぇのか、ということはその司法書士、考えなかったのでしょうか?経済的価値がないかどうかは司法書士が助言するべきことではない(僕はファイナンシャルプランナーなので助言しますが)としても、その権利実現に法的不安定性が無視できない、ということならばどうなのでしょう?

これは遺産分割協議と相続登記があらかた済んで…つまり、僕のお客さまの権利が草刈り場にされた後でその後始末の依頼を受けたものなのですが、さらにそのお客さまも亡くなられてその相続人になった方にはこう助言しました。

  • こんな仮登記、放っておきましょう!
  • これを相続登記やったって僕が儲かるだけです(笑)

と。常に正確な権利変動の記録をするのが職責という考え方からすれば正しくありませんが、僕は今後もこうした態度でいたいと思っています。もちろん、相続後にすみやかに抹消登記に協力する、というのであれば粛々と相続させなければなりませんが…かえって登記上の所有者のほうが消息不明な気配がします。このあたり、相続であれなんであれ自分で不動産の名義変更をしたい方へのコンテンツでも情報提供しておく必要があるかもしれません。


さて、このほどもう一件『やりたい放題やられた相続登記の後始末』のご依頼を受けることになりました。

そうした依頼の素晴らしいところはまず現地を見てみないと問題点が把握できず、したがって当座の報酬は出せないようなお客さまでも交通費だけは快く出してくれる、ということ。素敵です(苦笑)

ただ前回は原野やら山林、うち捨てられた別荘地がメインだったのに対して今回は農地がからんでおり、遊休農地や遠隔地の農地を相続してしまった人に対して何事ができるのかを知ることができそうです。前回の依頼と今回の依頼とで調査に行くべき土地が全然違うのは、きっと司法書士の神さまの思し召しをもって…あまり懐が温まることがないかわりにいろんなところに行かせてやろう、というところなんでしょうか。

そうした意味ではまさに旅行書士むけのご依頼ではあります。なにか工夫をしたら、こうした案件がもっと集まってこないか検討してみたいところです。

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