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不動産ババ抜き時代の足音

持ってるだけで金がかかり、捨てることもできず、もちろん物好きが引き取ってくれることもない。ときには争いごとのもとになることもある。

財産と言えますか?そんな『不動産』。

…などとお客さまに言ってるから司法書士としてもファイナンシャルプランナーとしても安定経営を確立できないんでしょうが、当事務所にもそうした案件があります。

裁判書類作成のために受付停止期間中ではありますが、登記の仕事も少しずつ進めています。今日は豊橋へ打ち合わせに。お住まいとは全く関係ないところにある相続財産の土地をようやく売却するめどが立ったのです。

売却、というより文字通り捨て値ではあるんですが、住む人も買う人もいない更地のくせに年数千円の固定資産税を発生させるこの物件、資産ではなく『負債』ではないかと本気で思っています。もっとわかりやすいのは建物でして、これは土地とちがってなくしてしまうことはできるものの、解体費用として百万円単位の出費を余儀なくさせられます。最近の僕の持論は

「家は負債だ」(笑)

まぁこれは極論です。こんなことばっかり言ってるから自分は持ち家を実現するほどの財産も所得もない(爆)

冗談はさておいて、気になることがあります。原野商法に巻き込まれた最初の世代(昭和40~50年代に中高年だったひとたち)は、これからどんどん相続が発生するはず。
先日でかけてきた法務局出張所では、不動産登記の本人申請が徐々に増えてきている気配があります。登記済み書類の引き取りの際に捺印する、一ページあたり30件弱ある受領印簿をパラパラめくると不動産登記の申請日・申請地・申請代理人が読みとれることになっています(いまどこの事務所が流行ってるかがわかることになります)。
この記載状況を継続的にチェックしていると、昨年あたりまで1ページに1件なかった本人申請が、1ページに1~2件は出現するようになってきた印象があります。

これ自体は特に脅威ではない、というより影響するほど登記で稼いでいません。むしろ僕の事務所の仕事は増えるのではないか、と考えています。
本人申請を直接支援する、というのではなくて、その失敗を収拾するとか、もっと積極的には紛争に対処するものになるはずです。不動産登記は代理人がやっても時に紛争に巻き込まれるものである以上、本人がやる申請のなかになんらか不適切あるいは不正なものが混じるのはあたりまえ、と考えなければなりません。一方で不動産登記を本人で行おうとするのは平日昼間に役所に行けて、何事かを安くやりたい、という客層ではあるはずなので親和性はあるように思えます。

で、考えてみました。
自分が不要な不動産を、誰かに所有権移転登記して押しつけてしまうことは、倫理を無視して本人申請を強行した場合に可能なのか?
世間一般には財産だと思われているモノがいきなり自分に押しつけられた場合、押しつけた奴にこれを引き取るよう求めることは、いかなる論理構成によって可能なのか?どんな立証が必要か?

結構難しそうです。

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