『最後の』準備書面、執筆準備中
どうやら和解で終われない、そんな労働訴訟を担当しています。地裁で残業代の請求をするその訴訟は、すでに証拠調べが終わって和解のための期日を残すのみ、となりました。
期日の前に、これまでの主張立証を総括する書面を『出してもよい』ことになっています。新しい主張等はもう出すな、という指示も出ています。ここで僕の仕事は、証人尋問の結果を踏まえて相手方の主張立証活動の何カ所かを弾劾すること、可能なかぎりこちらの主張の正当性を根拠づけてみせること、です。
つまり今回の準備書面、弁論終了後に出す最終準備書面になるものです。
そして、ここでの大問題。
こればかりは、まさにオリジナルであってひな形などない(笑)
もちろん、記載してほしいことがらはお客さまからデータになって来ているわけですが、これらをどう整序して準備書面のかたちに作るか、は僕の芸であるはずです。
そうしたこともあって、若干泥縄的ですが最終準備書面の執筆に向けていくつかの準備をしています。
先週は国会図書館で興味深い書籍を見つけ、後日郵送複写の手配を取ってきました。『反対尋問』というキーワードで検索をかけて出てきた、弁護士会の研修資料が書籍化されたもの。証人調書の調理法みたいなものが記載されており、なかなか使えそうです(って弁護士会の研修資料なんだからこれが使い物にならなかったら大変ですが)。
さらにこの出張の行き帰りで、このために買っておいた本をもう一度読み込んでいます。
あまりにもわかりやすいタイトルに惹かれて衝動的に買ってしまった…ということはありません。ない、と信じていたいです(苦笑)
著者がアメリカの弁護士ということだからでしょうか、『プレゼンテーションに用いる文書としてのわかりやすさ・説得力の向上』という関心の対象が裁判書類に向いている、そうした貴重な本です。ただ、記載の大部分は一般のビジネス文書にも応用可能なのかもしれません。手の届くところに本書を置いておくと、気合いを入れて書類を作りながらも自分に酔ってくだらない書類を作らずに済む、そうした境地に一歩だけ近づけそうな気がします。
もう一つの準備は、実は新しいデスクトップPCの導入です。
この訴訟に限らず、この事務所で扱うすべての案件について彼我の書類はすべてスキャンしてDocuWorksでOCRにかけて保存してあります。もちろん事件が終わるまでは紙媒体でもとっておいてあるのですが、結構な厚さの書類がやりとりされる地裁通常訴訟の書類精査ではキーワードで検索したら数秒でその文書が出てくる機動力は手放せなくなるのです。
そう。この機動力だけが…おそらく普通の訴訟代理人より明らかに優れている点であるはずです。
そうだ、と信じていたいです(苦笑)
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