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真夜中の和解予報士、再び

昨晩のこと。そろそろ電話受付状況の表示を『終了』に切り替えようと思っていた22時過ぎ、某地裁での期日を明日に控えたお客さまからメールが入りました。

期日一日前になって、会社側の弁護士から準備書面が提出された、と。

前回までに裁判所から和解の方針が示されていたこの訴訟、お客さまとは和解案を練ってあったのですが今回期日直前に準備書面が出されてきたことに、会社側は和解に応じる気がないのかとのご下問です。

へーえ。そういえば去年見たような展開(苦笑)

押っ取り刀でお客さまに電話をかけて、和解予報士として説明を開始します。

これはむしろ、会社側が和解したい意向を強く持ってるとみるべきだ、と。

理由です。

    1. 会社側の弁護士は原告労働者側を(妙に整った訴状は出してくるが)一応素人だと評価しているはずです。
    1. しかしこの訴訟で会社側が横綱相撲を取って労働者を揉みつぶせると考えているなら、期日の当日に準備書面を渡したって同じ結果にたどり着けます。
    1. 逆に考えれば、期日直前に主張としては特に意味がない内容の準備書面を出してくることはむしろ原告側に『期日前にこれを必ず読んで欲しい』思惑が隠れているとみるべきです。
  1. この場合、配達時刻がうまく調節できれば原告側で相談を行っているかもしれない誰か(僕のこと)の事務所がすでに閉まっていて相談不能な状態で期日への出頭をさせることもできる…かもしれません。会社側弁護士が一般的な司法書士事務所の存在を前提として作戦行動を立案するならば。

 

  • そうまでして、ある弁論準備期日で仕掛ける価値のある作戦行動と言ったら『和解。そこでの少しでも有利な条件の獲得』しかありえません。適当な準備書面で素人の労働者を脅してみて、少しでも会社が支払う解決金額が下がればラッキーだ、それを実現するための準備書面だと、これは考えてかまいません。

だから安心して出頭してきてください。可能なら裁判所の廊下で弁護士どもと行き会った際に「打ち合わせはしっかり済んでますんで」とか余裕たっぷりに言ってやれば少しは気を悪くしてくれるでしょうよ、とも付け加えました。

僕は本人訴訟を戦う人にこういう姑息なことをする弁護士が、嫌いです。

世の本人訴訟を戦う皆さんにはこういう展開もあると考えておいてほしいですが、僕もたまにはこういった作戦からさらに一ひねりして仕掛けてみたりもしますね。拙劣な反論をするふりをして実は重厚な準備書面を隠しているとか(笑)


…そして本日。予報通りにその訴訟、大勝利ではないものの納得できる水準での和解で終結となりました。労働事件専門部のあるその地裁本庁では最近、通常訴訟も労働審判なみに速いです。当然とはいえもう一つの予報通り、会社側弁護士が出してきた準備書面には裁判所もな~んのコメントもなく和解となったとか。

しかしながら一つ、僕は予想を外しました。

社長本人は出頭してこない。なぜなら自分が負けることを見るのが我慢できないはずだから、という予想を。

つまり会社側の弁護士、出頭にむけて社長を説得することはできたのだからわざわざ無駄な仕事をすることもなかったのに(連中の報酬体系なら書類作成枚数で報酬が増減することもあるまいに)、と思ってしまったのですが…ともあれ僕は和解予報士ならぬ出頭予報士には、当分なれなさそうです。残念!

2020.12.12修正

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