『名古屋に準じて』とおっしゃいますか
北陸地方某地裁本庁に電話をかけました。
このほど受託した通常訴訟の書類作成では例によって労働基準法第114条の附加金の請求がつけられることになっており、これが訴訟物の価額に入るかどうかを確認しておく必要があるのです。
この附加金の扱い、当ブログ格好のネタとなっております。東京地裁では訴訟物の価額に入らない、名古屋地裁では入る、大阪地裁本庁では入る、大阪地裁堺支部では入らない、という具合に…みんなが勝手なことをやってるわけで。
で、今回の地裁本庁への電話。ちょっと担当さんの対応が妙です。
担:「裁判所です」
僕:「通常訴訟の訴訟物の価額についてお尋ねしたいんですが…」
担:「はい?」
僕:「労働基準法第114条の附加金は、そちらの裁判所では訴訟物の価額に入りますか」
担:「・・・?」
はっきりと当惑の気配が伝わってきます!
- メタルな回線を伝って。
- 百数十kmの彼方から。
なにか誘導を要するパターンです。もっともこの質問で趣旨をくみ取って即答をくれたのは、これまでに大阪・東京・福岡地裁だけだったんですが(笑)
僕:「わたくし名古屋の司法書士なんですが、このほどそちらに提出する訴状を作成することになりまして…これに●●●●●●の請求と附加金の請求が着くのですが、このときに附加金の部分が訴訟物の価額に入るのか、そちらの扱いを知りたいと思いまして」
担:「えぇぇ…と」
こりゃお話が進まないパターンです、が!今回はいろいろオトナの事情があって訴額が増えたほうがよかったりします。だから…
僕:「名古屋では訴額がその分増える、ということになってますがどうなんでしょうね?」
担:「(間髪入れずに)じゃぁ名古屋に準じて、入ります」
僕:「ありがとうございました♪」
電話を切ってふと気になったのは、この回答まさか後日ひっくり返ったりしないだろうな、ということ。同一の地裁管内でも扱いが異なることはあるらしい、という話しもでてくるくらいなので、もし僕が『附加金を訴訟物の価額に入れたくない』立場だったら、「大阪では地裁本庁と支部とで扱いが違うんで困ってるんですよ」とかなんとか言って再考を求めるのかもしれません。
でも、僕は代理権にこだわらない代書やさんに過ぎないので附加金が訴額に入ろうが入るまいが特に困ることがない、むしろ地裁に訴訟を持ち込みやすくなるので入っていたほうがいいくらいなんですが、代理権を大事にしたい司法書士さんはこれをどうみるんでしょうね?たとえば71万円ぶんの割増賃金支払い請求に同額の附加金請求を付けた場合、附加金が訴額に入れば請求額合計142万円になって代理権が使えない、これを不便だというか地裁デビューできてラッキーだというか、はたまた当地と東京との扱いの差をくらべて問題だと騒ぐのでしょうか。
案外、『自分がいる都道府県だけで仕事してるから、当地の実情に合わせてるだけ』というのが正解なのかもしれませんね。
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