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こんな証拠がとれるなんて…

  • ある人が、
  • どこかで何かをすれば、
  • その痕跡が、のこるものです。

…その痕跡をかき集めるのが、裁判に関わる職業では時として重要な仕事になります。典型的なのは殺されて山に埋められた死体の捜索、といったところでしょうか。あれは、『人を殺したひとが』『遺体を山に埋めれば』『埋めた遺体が残るものだ』…その痕跡を集めているわけで。

 そこまで派手でなくても、『労働者が』『仕事をすれば』『●●が残る』という論理なら、このブログにたどり着く人達にもいきなり身近なものになってきますよね?残る痕跡は事案に応じていろいろなんですが、決定的なものがないときに

 SuicaやPasmoの利用履歴はありませんか?

 と尋ねてみるようにしています。勤怠管理が全然皆無な会社を相手取って給料未払いに関する請求をかけよう、という時に、せめて『家から会社まで移動した痕跡』を出そう、ということです。もちろんこれは正確には

家の近くの駅から会社の近くの駅まで電車にのった痕跡

に過ぎませんので、こちらが立証したいことを直接明らかにできるものではありません。ないよりまし、という程度だよ、とお客さまには断ったうえで、証拠調達のお願いをしています。

 しかし、今回お見せいただいた利用履歴はちょっと違いました。個人情報開示請求でPasmoの利用履歴を取り寄せてもらったのですが、自動改札機を通過した時刻が書いてあります。

 手書きで。

 …謎です。Suicaの履歴では時刻が書いてあるものを見たことがありませんし、券売機で可能な履歴の印字やPCから表示可能な履歴では時刻は表示されないはずです。

 それに、手書きで書いてあるということはそれ自体『印刷設定のなかに、時刻を表示するものが存在しない』可能性が高いことを示しているはずです。

 そりゃそうでしょう?個人情報開示請求を受けたオペレータがクリック一つで時刻を表示して履歴を出力できるなら、みんなそうするはずです。

 さてでは、一体何をどう頼んだらこんなデータがもらえるのか?お客さまに聞いて見たのですが、どうやら普通に頼んだだけ、らしいです。もちろんICカードや自動改札機というシステムからして改札通過の時刻をデータとして蓄積しておくくらいは朝飯前であるはずですから、あとはデータの保管者が『その気になりさえすれば』開示してもらえる、ということなのでしょうか。このあたりを検索エンジンから探ってみましたが、OKwaveなどの掲示板でも個人情報開示請求までして時刻入りのデータを取った話しが出てきません。

 まぁとりあえず、一件出てきたのだから二件目以降も出てくるものと期待して、時刻のデータが必要な場合は今後も個人情報開示請求によって利用履歴を入手することにしましょう。そのうちシステムがかわって単に履歴の印字をしただけで時刻が出てくるようになるかもしれませんし、逆に個人情報開示請求によっても時刻のデータが得られなくなるかもしれませんが…とにかくその日まで。

 こうした利用履歴一つにしてもそうなのですが、ある分野においてどんな書証が存在するのかについて親切に解説した本、というのがあまりないよな、と思っています。僕の知る限りでは下の2冊くらいでしょうか。

 両者の傾向はだいたい同じで、紛争類型ごとに参照可能な書証が説明されています…で、僕は右側の本を半分ほどコピーしてDocuworksに取り込み、OCRにかけて全文検索しています…弁護士さんたちに印税を献上するほど儲かってるわけではありませんで(笑)

 しかしながら上記2冊とも、労働紛争についての著述は数ページしかありません。しかも左側の本は労災中心で、給料や割増賃金の未払いについては参考になりません。右側の本も、極めて一般的な資料の紹介にとどまります。

 実はそれが、不満なのです。誰か労働紛争について、本人訴訟を志向する普通の人にも役にたつ証拠収集マニュアルを作ってくれないかな…と。

 それが当事務所のコンテンツとしてできれば、面白いんですがねぇ。ただこれは、僕と補助者さまだけではちょっと荷が重い作業です。

  • Docuworksが使えて!
  • HTMLが書けて!
  • 労働法に詳しくて!
  • 文章がわかりやすくて!
  • 仕事熱心な人が!

手弁当で手伝ってくれれば、今年中にはできるかもしれませんが。

 無理ですよねぇ(溜息)

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コメント

先生、お元気ですか?オペレーション エイプリルフールは、納得の戦果を残し敗戦者は身を屈め相変わらず頭だけ光ってます。(笑)
エクスパックにて書面無事受け取りました。労働紛争に宣戦布告から2年余り、仕事に着く事も出来ず苦労しましたが、苦労したぶんいい勉強をさせて頂きました。込み入った案件がキャンセルとの事…、お客様も色んな面で挫折したんでしょうか…。請け負う先生や補助者さまも、継続戦力の維持は大変なことなんですが、依頼した側もそれなりの覚悟は、必要なんですよねぇ~。先生、FP試験頑張って下さいね!やはり『継続こそ力なり!』です。

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