『労働基準法は法律じゃない』だとー!
証人あるいは当事者尋問を控えたお客さまに対して、僕の解説つきで地裁の訴訟、できれば労働訴訟を傍聴して尋問の何たるかの理解に役立ててもらう、というのは当事務所ではよくあります。
先日のこと。お客さまと傍聴した訴訟の被告は、開廷表を見ると公認会計士とのこと。労働側にはしっかりと弁護士がついているのに対し、被告側はなんと本人訴訟で対応中です。
…が、しかし。この被告、当事務所がやってるのと同じ本人訴訟に分類して欲しくないほど真っ逆さまに敗北への坂道を転落してくれました。とにかく原告側の反対尋問に無力なうえ、被告側が実施できる原告労働者に対する反対尋問が全然『お話になってない』。
その辺を解説したいところですがなにぶん傍聴席ですので、お客さまにはクリップボードに書いたメモを回して説明したり質問を受けたりしています。お客さまからも同様のやりかたで質問を受けることがあります。こんな感じで。
文中で『○に被』は被告、『○に裁』は裁判官。これは裁判官が原告に補充尋問後、被告本人から原告へ反対尋問(この順序になりました)を実施しているときに書いたものです。『たぶん墓穴になる』以降が反対尋問(の、ヘタさ加減!)に関する解説。裁判官が焦れるさまがよく表情に表れており、思わず紙に書いてしまいました…が、もちろん本人訴訟の尋問においても尋問者たる本人がよく裁判官の表情を観察しこれから何かを読み取ることは重要です。
ところでこの訴訟、原告の主尋問で有給休暇の扱いが問題になった際に、原告労働者が被告公認会計士から言われた言葉として
労働基準法は法律じゃないと言われました
と言うのがありました。
ええ思わず身を乗り出しましたよ(怒)
この馬鹿許せねぇ、なら公認会計士法も法律じゃないって言われて嬉しいかよ、と自分が司法書士法および社会保険労務士法の規制を受けてることは一瞬忘れて傍聴席で拳を握りしめたのもつかの間、まぁこの事案では弁護士さんが結構ご熱心な方で(少々打合せが出来すぎた印象も持ちました)、反対尋問で情け容赦なく被告のおっさん会計士をぶっ叩いてくれていましたので見ていて胸のつかえが下りました。
また裁判官の補充尋問の内容からしてわりと原告有利な心証であることもわかりましたので、訴訟の行方そのものは心配していません。事件番号はメモしてきましたので、後日この事件記録は閲覧して勉強したいと思っています。
ところで通常の訴訟(債権差押などの民事執行や、労働審判など訴訟でない事件は除きます)の書類の閲覧は、印紙代として150円払えば誰でもできます。事件番号と当事者名さえ開廷表からメモしておけばよいのですが、僕自身が書類を作った事案を自分で閲覧すると結構役に立つことがあります。提出した書類を裁判官や書記官がチェックしてあるのを見られることで、彼らが何を読み取ったのかがわかるのです。これらの事例を蓄積していくと、自分の書類の出来が見えてきます。先月申し立てた一般先取特権での債権差押命令申立事件でもわけあって裁判所側がチェックを完了した後の証拠書類一式を見ることがあったのですが、それはもう暴力的なまでの蛍光マーカーが入っていました(汗)
まぁ、裁判やらずに問答無用で会社の財産を取り上げる手続きですから書類に猛チェックが入るのは当然ですが、結果的にはそれらのチェックを経て立証については修正指示無しで差押命令発令となっており、それらチェック箇所を覗けたことはかなりいい経験になっています。
同業者のみなさま、騙されたと思って一度やってみてはいかが?地裁の事案は当事者としての閲覧ではないので150円はかかりますが(笑)
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蛍光マーカーは裁判官の確認の印だったんですね。
この前書類確認した際、一箇所だけマークがあった
ので「なんじゃらほい」とか思ってました。
でも一箇所だけということは、ろくに見てないという
ことかも・・・。
投稿: ぽっぽこ | 2010年1月20日 (水) 23時31分