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『受けない自由、ないから』

 まるで司法書士法第21条の解釈を講義するチューターのような口調で、副支部長先生が断言されます。簡潔に、そして力強く。

 今日は司法書士会支部の寄り合い=評議員会がありました。それが終わって少々和んでいる、司法書士会図書室でのこと。外は雨脚が少々強くなってきたようです。

 先日の記事でも触れましたが、来週18日から20日まで司法書士会による電話労働相談が行われます。これは司法書士会内の裁判事務委員会という組織の先生方がご担当です。僕はそうした委員会に所属していないのですが副支部長先生から引っ張られて後方支援要員として18日・20日に僕も参加するということで…

「とりあえず何かあったら、みんなしんちゃんに回せばいいって言ってるよ」

 というご発言に続いての、冒頭のお言葉であります。『しんちゃん』ですと…?当惑気味に尋ね返します。

「えぇとそっち(裁判事務委員会)に僕と面識のあるひといましたっけ?(←裏声)」

「いーや」

「職業選択の自由(日本国憲法)とか契約自由の原則(民法)とかないんですかねぇ??(←哀願調)」

「ない」

「そうすると僕って労働者じゃないから、労働は無制限♪ってことで???」

「そう」

 とりあえずは、何か素敵な歓迎準備が来週に向けて徐々に整いつつある…ことはわかりましたよ?

 さてさて今週はおとなしく事務所にこもって書類を作る日々。一日一つ以上のペースで準備書面やら陳述書やら訴状やらを作って送り出していかねばなりません。いよいよ訴訟代理人デビューできることにもなったのですが、記念すべき第一号事案は東京簡易裁判所に提出の予定で、さらに今月は大阪府内の地裁に起こす訴訟の裁判書類作成のご依頼をいただいたところです。

どうやら今月後半は、ちょっとした嵐が待ってる気配です。


 労働者じゃないから労働無制限、と言えば。

 今晩放送されていた『ガ●●の夜明け』を見て思わずひっくり返ったのですが、雇われない働き方ということで労働者が出資者として経営にも労働にも関与する協同労働に携わっている、という主婦が出資証券を見せながら

「(出資は)退職金にもなるし貯金にもなるし」と間抜けなことを抜かしておりました。

 こいつは一体何を馬鹿なこと言ってるんでしょう?

その出資に利息がつくわけでなし、さらに次の場面で出てきた間抜け現場長が「今月は(その施設は)赤字だ」などとほざいています。言ってしまえば収益分配も期待できない状況で、このままでは出資の強要と無制限な労働(みんなが経営するから労働者じゃない=だから労働基準法の適用を免れる、などという素敵なご見解が、組織内でまかり通る可能性があります。法廷でそうした発言をした奴も知っています)だけが続くことに、この主婦はいつか気づくのでしょうか?それともいつしか出資を強要する側に回ってしまったのでしょうか?たしかに赤い貴族ならぬ協同労働貴族とでもいうべき連中の存在を許す組織もあります。

 協同労働という考え方の、そうした影の部分には全く考慮がないこの番組、自分が内情を知ってる分野を基準にしてみれば『ガ●●の夜明け』ってこの程度のクオリティだったんだ…と、強烈にがっかりしています。

 協同労働の理想を掲げる団体を時間外労働割増賃金不払いで訴える裁判書類を作って一年ほど弁護士と殴り合えばそりゃぁもう、イヤというほどわかるんですが、この分野もまさに玉石混淆でしてうっかりはまると抜けられない、ということは今後どれだけ協同労働が賛美されても語り続けねばなりません。そして今後絶対に増大する『協同労働の被害を受ける労働者』のために戦う、という旗を掲げて当事務所が存在し続ける必要がある、と痛感させられました。

 協同労働の法制化がなされるまでに当事務所のウェブサイトに、『こちら協同労働対策室』というコンテンツでも作っておかないといけないな、と思っています。ふん!

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