真夜中の『和解予報士』
日付が替わった夜更けのこと。そろそろ寝ようか、と思っていたところにお客さまから緊急のメールが入ってきます。初めてみるようなことが書いてありました。
期日前日に、会社側訴訟代理人からバイク便で準備書面が送られてきた
ですって。なんじゃそりゃ?
もっとも、締め切りは期日の一週間前のはず。早速添付ファイルの中身を確認します。見かけ上は反論する気満々の書面を1時間ほどで検討した結果、一つの結論に達しました。お客さまにメールを起案し、送信手配をとったのは午前2時前。風の音がだいぶ大きくなっています。作業を急いだのは、どうやら今回の期日に和解希望が、しかも会社側から出てくる可能性大だと推測したからです。
もちろん一般的な指示として『和解の提案が出てきたら話しだけは聞くように』ということはほぼ全ての事案・全ての期日で申し上げているところですが、今回はそれよりはっきりと予想を口にしてよさそうだ、と思えました。地裁で複数回の期日を経てきたこの訴訟、会社側からも裁判所側からも和解の可能性について検討を指示されておらず、殴り合いが続いてきたのですが…
- もし会社側代理人の認識として、訴訟を続行して僕のお客さまである素人たちを圧倒できるつもりでいるならわざわざ『期日の前日に読めるように』準備書面を渡す必要はありません。半年後にきっちり勝つ気でいるなら今回締め切りをサボってもさしたる打撃は受けないはずです。
- いろいろ書いてある準備書面の割に、論理展開が微妙に粗雑になっています。勝利を狙ってない気配が漂っています…先月もそんな展開がありました。
さてでは敵は何を狙っているのか?
答え:反論する姿勢を示し、かつ労働者側司法書士が書面を検討できない(本人たちでは内容を精査できない)状況を一時的に作り出して、和解を持ちかける。
これまで準備書面の応酬をやってきて、その内容から推測できる向こうの代理人の心性を考えると…彼が合理的な行動を維持するならたぶんそうしてくれるはずです。
そうしたことを説明し、とるべき態度を記したメールを出しておいたところ、お客さまからは特に質問もなく期日の時間は過ぎ、夜になって電話がかかってきました。
会社側代理人から、和解希望が出てきたと(爆笑)
思わず笑ってしまったことでありますが、書面で殴り合ってるうちに『きっとこの人ならこうしてくれるだろうな』という妙な信頼感が芽生えてくることがあります。今回はまさにこっちが予想も期待もしていた通りに行動してくれたわけで、きっとお客さまも楽しんでいただけたのではないかと思います。もちろん和解を希望したのはあくまであちらさんなので、こっちは応じてあげるという態度をとって交渉に入ることができ、大変ハッピーです。
さて、親愛なるあちらさんが予想または懸念しているのかもしれませんが、今回出して来た準備書面にはきっちり反論しておく必要があります。次回の和解期日まで少々余裕がないのですが、今回までで決戦は終わって最後の一踏ん張りをしなければいけません。ここで十分な反論を加えておくことで、いくらか解決金が上がるかもしれませんから。
このこともあって、打ち合わせに出かけることにしました。今週末は東京に出張します。久しぶりに交通費をもらって東京へでかけることになりました♪まぁ、ここまで楽しい予想を出したのですからたまにはご負担をいただくとしましょうか。往復高速バス代相当額で9000円を、三名でシェアしているので出せない金額ではないはずです。あくまでも往復です(苦笑)
今月後半は、九州への出張を入れる予定です。向こうで一件、やっぱり締め切りに遅延した困ったちゃんがいるのです。
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