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便利なんだけど…怖いような

 『官報』がインターネット上から閲覧できるサービスがあります。この春から、直近30日ぶんの記事を見ることができるようになりました。

 先ごろ労働紛争で相談を受けた会社の関係者が破産申立を行ったことを確認したくなってこのウェブサイトを利用し、実際に確認できてこれは便利だ、と思ったのですが…待てよ?

 僕が司法書士として登録した平成16年春の時点ではまだ過払いに狂奔する業者など影も形もなく、手抜きな債務整理の主流はまだ『誰でも彼でも片っ端から破産させてしまう』という手法だったはずです。そうした手続きを誘うウェブサイトの常套句として

  • 問 破産の申立をしたことは、隣の人や勤め先にわかりますか?
  • 答 破産開始決定は確かに官報に載りますが、官報なんて日常的に見てる奴はいませんから発覚の可能性は低いでしょう

 なーんて呑気な想定問答が掲げられてあることが多かったと思います。というより、今でもこんなサイトは結構あります。しかし。

 この前提は、すでに崩れ去っているのではないでしょうか?

 ちなみに僕が開業当初に債務整理の相談を受けていたころは、上記の質問に対しては

  • 答1 破産開始決定は官報に載る
  • 答2 官報そのものは、今は一般的には誰でも見ているものではない
  • 答3 だが、官報そのものは現に紙媒体で提供されており、破産者という情報を欲する人は常に存在する以上、紙媒体の情報をなんらか蓄積して検索可能な状態で提供しようと企む会社も今後出てくるだろう。予断禁物

 という脅迫的助言(苦笑)をしており、そのせいもあってか未だかつて破産申立書の作成を受託した実績がありません。

 さて、もし誰かが官報から破産・民事再生申立関連の情報を抽出したいとします。これが3年前なら紙の官報を買ってきてスキャンしてOCRにかけてデータベースを作って、という手順を踏む(あるいは、文字情報として有料で提供する業者と契約する)必要があったはずですが、いまならちょっとしたプログラムを組む技量があれば、毎日自動で官報のウェブサイトの『公告 相続、失踪、破産、免責、特別清算、会社更生、再生関係』のリンクをたどって全ページダウンロードしてOCRにかけるくらいはできそうに見えます。

 つまり、官報記載の個人情報の蓄積および悪用はここ数年で、飛躍的に容易になったわけで。極論すれば就職の面接なんかに応募してきた人の破産歴なんかをサクッと検索できてしまう、そんなサービスがすでにあるのかもしれないな、と思ってしまいます。少なくとも、官報に載ったって誰にもバレないさ、などという前提に立って債務整理の相談に応じるのは危険です。

 そういう意味での関心ではありませんが、ちょっとチェックしたいことがあって数日に一度はウェブから官報をみています。

 さすがに僕の知ってる名前は…まだ出ていません。

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