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理解してもらうにも、努力が必要です

 会社側が作成した、ある準備書面にいま頭をかかえています。

 こっぴどく愚劣なのです。これが。法律上も事実上もとにかく無茶苦茶なことしか書いておらず、いちいち反論するのも面倒だがお客さまから見れば非常に腹立たしい、そういう作りになっています。

 今回は会社側も本人訴訟で、内容が無いような文章のわりには

 甲第●号証

 などと生意気にも書証にスタンプが使われています。つまり敵側には、能力がそうとう問題のある司法書士か、あるいは闇で裁判書類作成の仕事をしている●●書士が作成に関与していると推測しています。(そういう非司法書士兼税理士の事務所の補助者の求人に応募して、業務内容に『訴状および支払督促申立書作成』と堂々と書いてある点を突っ込んだらあっさり不採用♪になったことがあります。もう数年前のはなしですが)

 さてこの敵側裁判書類をよくよく読んでみると、あることに気づきます。

 この社長、自分が見ている自分の会社の世界が裁判官&司法委員に当然理解されていると思ってるようなのです。自分がわかっていることと同じことを、相手もわかってるとお考えらしい。

 これは労働訴訟において、敗北に直結する危険思想であります。裁判官がいちいちありとあらゆる民間企業内の実情なんか知ってる(あるいは、積極的に知ろうとしてくれる)はずがない。

 もちろん相手が勝手に負けてくれるんだからそれでよいのですが、負けるなら負けるで手早くばっさり叩き斬ってしまいたいもの。議論がかみ合わないと、それすらできないので大いに困る、というわけです。

 ある事実を、それを全く知らない人に手際よく分かりやすく説明する芸、というのはどこで身につくのでしょう?それは訴訟代理人を目指す人にとって、要件事実や尋問技術より、実はよほど重要なはずなのです…とはいうものの、司法書士特別研修に考古学者やルポライターが講師に呼ばれる未来は絶対こないはずで(苦笑)

 うーん、困りますねぇ。誰かこうした『事実を他人にわかりやすく説明する技術』を研究してる同業者さん、いらっしゃいませんか?

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